第3話

 夜、風が強く吹きはじめました。たんぽぽはもうすぐ旅立ちます。


「灯台さん、わたしにはきっと知ることのできなかった景色を、毎日教えてくれてありがとう。最後にお願いがあるの。もうすっかり暗いじゃない?わたしが迷子にならないように、照らしてほしいのだけど…。そしてどこかの海辺に辿り着いて、そこにもあなたのように海を守る仲間がいたら、また、わたしお話するね。どこかの灯台さんもあなたと同じように、毎晩、立派な仕事をしているのよって。」


 お別れが寂しくて、またここで何年も何十年も一人でいなくてはならないと思っていた灯台は言いました。


「勝手に寂しがって、困らせてしまってごめん。君とお話するまで、自分の足元にどんな世界が広がっているかなんて、考えたこともなかった。お礼を言うのは僕のほうだ。たくさん、たくさん飛んで、仲間を増やしておいで。僕の仲間にもよろしく伝えておくれ。」


 灯台とたんぽぽは、互いにお別れを告げました。そして灯台は、たんぽぽが心細くならないように、暗い海上で迷子にならないように、飛び立つたんぽぽを照らしました。

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