第168話 プリンは固いのが美味しいです

「そうだ、おやつがまだだろう。式部、しきぶー。」

「はいはい、ご用意していますよ。」

式部が土鍋を乗せたワゴンを運んできた。


……土鍋?

麗華れいか千寿ちず佳寿かずの頭上に疑問符が浮かんだ。

「エンマ、式部ちゃんの土鍋プリン大好きです!」

エマは嬉しそうだが、プリンが何なのか分からない麗華れいか千寿ちず佳寿かずだった。


「エマお嬢さん好みに仕上げましたからね、卵の風味が濃いめでカラメルはほろ苦く焦がして固めに蒸し焼きにしましたよ。」

式部が土鍋の蓋を外すとクリーム色の何かが見えた。湯気は立っていない。


「さあ、お嬢さんたち、席について。」

光が子供達をエスコートする。

「あ、ありがとうございます。」

源氏族らしく、例え相手が子供でも性別が女性なら完璧にエスコートする。麗華れいか千寿ちず佳寿かずも大人の女性のように扱われ、嬉しかった。


「さあ、どうぞ。」

ひかるが子供達をポーッとさせている間に式部がプリンを盛り付け、配膳した。

「プリンは一般的じゃないかな?でも僕はまだプリンが嫌いだという人には会ったことが無いから心配しないで試してみて。」


「いただきまーす!」

エマが美味しそうに食べる様子につられて麗華れいか千寿ちず佳寿かずもスプーンを運ぶ。


「美味しいわ…。」

「初めていただいたけれど、やみつきになりそう……。」

「毎日でも飽きないわね。」

3人とも気に入ったようだ。


「牛乳と卵と砂糖を混ぜて蒸し焼きにするだけだから簡単だよ。それに君たち成長期のお嬢さん達に必要な栄養素が詰まっているから身体にもいいんだよ。病気の時にもいいよね。」

ジジ&マリーにミルクをあげながらひかるが説明する。


固いプリンを褒められてエマが嬉しそうだ。トロトロでゆるゆるのプリン好きなデイモンに良いお土産話が出来た。


ジジ&マリーと戯れるひかるは美しかった。

思わずチラチラと見てしまう麗華れいか千寿ちず佳寿かず

3人は将来、宝塚にハマるのだが、そのキッカケというか下地を作ったのはひかるだった。

ちなみに千寿ちず佳寿かずは男役を理想の恋人として、男役のかっこよさを楽しむタイプのファンで、麗華れいかは意外にもコンビ萌えを楽しむタイプのファンだった。


しかも麗華れいかは孫娘が少女漫画家になりたいと家族に打ち明けた時、反対する息子夫婦から孫を引き取り、パトロンとして支援する事になる。

麗華れいかの支援を受けて孫娘は少女漫画家として成功した。もちろん代表作はバディものだ。

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