第158話 式部ちゃんも一緒です

ひかるとエマはジジ&マリーを伴い、明治37年の横浜に到着した。山手居留地に暮らし、現地の女学校に通うのだ。


今回の設定は…

・父であるひかるの仕事の都合で一時的に横浜に引っ越してきた。

・母親のレティはロシア人

・レティは病弱(嘘)で日本の気候が合わないため同行を諦めた。

・ジジとマリーは同行する(ただし人間界では一切喋ることはできない)

・留学期間は1か月


今回の留学で暮らす屋敷は洋風で、前回同様に魔界ランドの関係者が勤務する。

「式部ちゃん!久しぶりです!」

源氏の里のひかるの屋敷に努める式部も一緒だ。

「お正月は私も実家に帰っていたので会えなくて残念だったのですよ、久しぶりにエマお嬢さんに会えて嬉しいですねえ。」

「エンマも嬉しいです!」

「今回はひかる様の乳母だったという設定なので、ちょっと老けてみたのですが、どうですか?」

「式部ちゃんは綺麗です!」

「あらまあ、嬉しいわねえ。」

源氏族である式部は老けても色っぽい美女だった。


「エマちゃん、式部、お出かけするよ。」

「パパ、どこに行くのですか?」

「エマちゃんの女学校の準備だよ。必要なものを揃えよう。」

エマの顔が喜びに輝く。


「にい!」

「にゃあ!」

「ごめんね、ジジ君とマリーちゃんはお留守番だ。」

「パパ、どうしてもだめですか?」

新しい場所をジジ&マリーと一緒に見たいエマが食い下がる。

「ジジ君とマリーちゃんは可愛いからね、外に出たら浚われてしまって、二度と会えないよ…。」

ひかるの顔が悲し気に曇る。

「に、にいー!」

「にゃああ!」

焦るジジ&マリー。

「ジジ君!マリーちゃん!お家から出ないとお約束してください!」

泣きながらジジ&マリーを抱きしめるエマ。

離れたくないと我儘を言って連れてきたことを後悔しているようだ。

——— エマちゃんは騙し甲斐があるなあ。


実際には、そこまで危険ではないのだが、ちょっと脅し過ぎた。

後日、この嘘がばれてエマとジジ&マリーに嫌われるひかるだった。

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