第140話 魔王、お休みします

「ふんふんふーん♪」

「陛下、ご機嫌ですね!」

嬉しそうなカールに女官の弥生が声をかけた。


「ふふっ。聞いてくれるかの!」

「はい、なんでしょうか?」

「クリスマスにね、儂が前から欲しかったプラモデルをダイちゃんがプレゼントしてくれたのじゃあ。」

「陛下はプラモデルがお好きなのですね。」

「うむ、夢中になるとご飯もおろそかになるからって、普段はダイちゃんに止められているのじゃが、特別よ💛って。」

むふふー!と嬉しそうだ。


フェンリル姿の時は、わがままでシャンプー嫌いで甘えん坊だが、人型のカールは弥生の妄想が捗るタイプのダンディなオジサマだ。

「陛下とダイアナ様はラブラブなのですね!」

「ダイちゃんは最愛の奥さんなのじゃ!」

堂々と惚気るダンディな魔王様に腐女子な弥生のお耳と胸がときめきトゥナイトだ。


『ダイアナ様とラブラブな陛下が淫魔族である娘婿のヒカルさんと禁断の浮気ていうのもいいわね…。』

弥生のBL同人活動が捗る会話だった。



翌日、カールの部屋のドアに張り紙がされた。


「ガンプラ作りが佳境のため、魔王をお休みします。 カール」


中から鍵が掛けられ、外からの呼びかけにも応じない。

「じいじ、どうしちゃったのでしょう…。」

エマが心配顔だ。

「来年こそガンプラの世界大会で1位を取るって燃えているの。籠っていいのは3日間だけと伝えてあるから心配いらないわ。」

ダイアナと話し合った上で引きこもっているらしい。


「陛下!出てきてください!」

「年末だってのに何やってんすか!」

「カールにだって有給くらいあっていいじゃない。ちゃんと申請したわよ!」

「ダイアナさん・・・それはそうですが、時期が・・・。」

「あなた達が頑張れば問題ないわ!」

モテないトリオもダイアナには叶わない。

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