第79話 お見送りされます!

カールフェンリルとダモフェンリルがフリーズしている。

モテないトリオからエマの短期留学を告げられた時から、まったく動いていない。

衝撃を受けた顔のまま小一時間が経過した。



――――― その頃、エマは・・・。


「テオ君!ニナちゃん!エンマ、来週から留学です!!」

「よかったわね、エマちゃん。」

ニナがエマの頭を撫でる。

「えへへ楽しみです。エンマ、学校も人間界も初めてです。」

「エマ、人間界では気を付けるんだよ。」

テオが心配そうだ。

「大丈夫です!サアたんもルーちゃんも一緒ですから!」

「俺たちも一緒なんだぜ!」

「お喋りできないけど一緒に行けて嬉しい!」


・・・その頃、エマはめっちゃ喜んでいた。



「ひんっ・・・・・ひん・・・・一か月も・・・エンマ・・・・ひんっ。」

耳と尻尾を倒したダモフェンリルがポロポロと涙をこぼす。

「モンたん・・・・。」

お目々いっぱいに涙を溜めたカールフェンリルがデイモンを優しくつつく。



泣き止んだカールとデイモンが猛烈に抗議するが、留学の原因となったのが2人の甘やかしだったため、決定は覆らなかった。

しかも二頭を出迎えたモテないトリオが超怖かった。



エマの出発まで日数もなく、2人にできることは少なかったが、少ない時間でデイモンはエマのワンピースやカーディガンを仕立てた。

「ありがとう!ダモ!エンマ、がんばってお勉強してきますね!」

デイモンの心の籠った贈り物にエマが感謝を伝える。


「エマちゃん、ワシからはこれ・・・エマちゃんは可愛いからな、怪しい者がいたら迷わず使うのだぞ!」

「それ何ですか?」

「これは火炎瓶、これは手裏剣、これはメリケンサック。手裏剣は才蔵の伝手で特注じゃ!」


ぺしっ!


フギンが黒い翼でカールの持つ武器を叩き落とす。

「な、なにをするのじゃあ!ちゃんと時代を考えてスタンガンは止めておいたのに!」

「あ?陛下はエマを犯罪者にするつもりかの?」

ムニンが地の底から響くような声で言う。

テオとニナからブリザードが吹いている。

ダイアナがカールを引きずってどこかに消えた。


暖かく見送られ、人間界に出発した。

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