第62話 梨花様は無類の猫好き
「ぐおおおおお・・・・・・、ぐおおおおおお・・・。」
「すうすう・・・。」
大の字で眠る閻魔大王の横で、横向きで丸くなったエマが眠っている。
エマにくっついてジジとマリーも丸まっている。
「はふう・・・かわいいわあ・・・・。」
早朝に帰宅したガネーシャが、閻魔大王のポテ腹に頬杖をついて、エマと子猫たちの寝顔を眺めていた。
エマを保護したと聞いて予定を早めて帰宅し、ずっとチビたちの寝顔を見ていたのだ。
「ぐぅ・・・・ガネーシャ?」
「おはよう、閻魔。少し前に戻ったの。」
ぼそぼそと話していると、エマたちが目覚めた。
「・・・・・・・。」
少しだけ目が開いた状態で、もぞもぞと無言で起き上がる。
「おぁよぅ・・ジジくん・・マリーちゃん・・・・・。」
「ふああ、おはようエマちゃん。」
「あふぅ・・・まだ少し眠いんだぜぇ・・・。」
「いやあ・・・・かわいいいいいいい!」
マリーとジジの可愛らしいあくびが、ガネーシャのハートを打ち抜いた。
「いただきます!」
ガネーシャに身支度を手伝ってもらい、元気よく朝ご飯だ。
ほかほかの肉まんが湯気を纏っており、食欲をそそる。
「ジジ君!マリーちゃん!エンマが小さく切ってあげますね。・・あつっ!」
「エマ!」
「エマちゃん!」
「ヒール・・・大丈夫です。自分で治しました。熱いので気を付けてください・・・。」
涙目のエマに寄り添う二匹。
「さあどうぞ。」
「美人の姉ちゃん、サンキュウだぜ!」
「ありがとう!」
ガネーシャがジジとマリーのために小さく取り分けてサーブしてくれた。子猫たちに感謝され、ガネーシャも嬉しそうだ。
「ちび、少し大きいから半分にしたからな、冷めるまで待つのだぞ。」
「ありがとうです。」
その横で閻魔大王がエマにサーブする。
地獄が、ちょっと浮かれている中、魔界ランドはお通夜のようだった。
「エンマが帰ってきません。」
「エマちゃん・・・・。」
尻尾をだらりと垂らし、耳を倒した2頭のフェンリルが項垂れていた。
「カールとモンたんが悪いわね・・・。」
唄子さんとヒースが重々しく頷く。
「閻魔大王から、心配無用、迎えも不要と連絡があったけど・・・。」
「そ、そそそそそ、そんな・・・・・うっ・・・・ひんっ・・・エンマ・・・エンマ・・・・・。」
青褪めたデイモンがぽろぽろと涙を零す。
「カールは仕事に行きなさい。・・・・モンたんは・・・・・・今日はお休みでいいわ。明日までに立ち直りなさい。」
カールもデイモンもダイアナに口答えする気力はなかった。
その頃、地獄では・・・。
「エマお嬢さん、ジジ君♥マリーちゃん♥」
閻魔大王とガネーシャも甘々だが、
ジジとマリーに甘々なエマと
「まあまあまあ、ジジ君とマリーちゃんは賢いのですねえ。」
「使い魔になったから言葉が通じるようになったんだぜ。」
「エマちゃんの言葉で好きって言えるの、嬉しいわ。」
「エマは最愛の主なんだぜえ。」
「まあまあまあ!可愛くて賢いわあ♥」
「ぐるるるるる・・・・。」
びくん!
地獄で1番強い
「何の音ですか?」
聞きなれない音にエマが振り返ると、ドアの影から険しい顔のユキヒョウが覗いていた。食肉目ネコ科ヒョウ属に分類される体長150㎝近くある、しなやかな生き物がいた。
「わあ!かっこいい猫ちゃんですね!!」
「すてき!」
「美人な姉さんなんだぜ!」
エマとジジとマリーは大きなネコ科の生き物に憧れているのだ。
エマとジジとマリーが惚れ惚れとユキヒョウを眺める横で、
「あ、あのね、ユキちゃん、浮気じゃないのよ。これはお仕事で・・・。」
ぷいっ!
怒りに燃えた目で梨花を睨みつけたユキヒョウが無言で走り去った。
「待って!ユキちゃん!!」
必死の形相で
「
「ユキを放って、子猫ちゃんたちとラブラブしていたからな。怒ったユキを宥めるのに相当時間がかかるだろうから、当分ここには来られないと思うぜ。」
エマと二匹が首を傾げていると、傷だらけの青鬼が現れた。
エマがジジとマリーを抱き寄せる。
「変態さんは、この絨毯の中に入らないでください!」
「俺は別に変態じゃねーよ!ただちょっと猫好きなだけだ!」
エマとジジとマリーが疑わしい目で見返す。
「そう警戒しなくても大丈夫だ、俺がついているからな。」
ジジとマリーを狙う青鬼を一撃で倒した赤鬼の登場に、エマが安堵の表情を浮かべる。
「怖がらせちまってすまねえ、こいつは悪い奴じゃないんだ。ただちょっと変態的なくらい猫好きなだけで仕事はできるんだ。猫さえからまなければ・・いや、猫が絡むからこそ、ものすげえ力を発揮する場合も少なくない。」
エマが青鬼を胡散臭そうに見る。
「んで、
「飼い猫?・・・ユキヒョウですよ?」
ペットの猫扱いするには大きすぎるし、立派すぎる。
「そこは、まあ・・
エマとジジとマリーの目がまん丸に開かれる。
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