第55話 番を大事に

顎が落ちそうな格好で凍りつくデイモンを鼻先でつつくカール。

「モンたん!しっかり!」

ぷるぷるぷる・・・・・。

俯いてギュっと目を瞑るデイモンを、心配そうに鼻先でつつくカール。


興奮気味にダイアナとお喋りしていたエマがデイモンを振り返る。

「ダモ!みてください!ジジくんとマリーちゃんです!!」

ポフポフの子猫たちをデイモンに差し出す。


プイッ!

デイモンが顔を背け、エマの眉間に皺が寄る。

「ダモ!」

エマが怒ったような声で再びデイモンを呼ぶが、デイモンはそのまま伏せてしまう。

伏せたデイモンが恨めしそうにエマを見つめる目に、じゅわ~と涙が溢れる。


「ダモ・・?」

いったいデイモンはどうしてしまったのか、訳が分からないエマが困ったような声でデイモンを呼ぶ。


「ダメよ、エマちゃん!」

「俺たちの主は鈍ちんなんだぜえ・・・。」

マリーとジジがエマを困った主のように見つめる。


あれ?なんでしょう、この空気。エンマが悪いことしたみたいですが、何かした覚えがありません・・・。

「エマ、番は大事にしないとダメなんだぜ。」

「私とジジみたいに仲良くしなきゃダメよ!」


ぴく。

デイモンの耳が動いた。

・・・・・・話の分かる猫畜生の可能性がありますね。


「エマちゃんの番さんはダモさんというの?」

「俺たちはエマの使い魔なんだぜ、よろしくな!」

「ダモさんとエマちゃんが番の時間を持つ時は、私たちも二匹でラブラブに過ごしましょうね。」

「主が番持ちでよかったんだぜ!」

・・・・・いい子たちじゃないですか。


「・・・・番じゃないですし。エンマは天使族ですから番とかないですし。」

湯気をたてて真っ赤になったエマのつぶやきは、誰にも届かなかった。

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