第46話 セクハラ研修
「エンマ・・・!」
「エマちゃん!」
カールフェンリルとダモフェンリルがエマを抱きしめてすりすりした。
30分後、ギャン泣きのエマがダイアナに抱っこされており、ダイアナの前には耳を倒し尻尾を垂らし項垂れた2頭のフェンリルがお座りしていた。
「エマちゃんが可愛すぎて・・・。」
「愛するあまり、つい・・・。」
「それは言い訳になりません!」
怒りの炎を纏ったダイアナが2頭を叱る。
「おいおいおい・・・・・・おーいおいおい・・・・・。」
ダイアナに抱かれ、泣きじゃくるエマは全体的にしっとりしている。
いつも元気にあちこちを向いている赤い巻き毛も、ぺしょっとしている。
「爆舐めはいけませんと、いつも言っているでしょう!」
「可愛くてつい・・・・・」
「好きすぎてつい・・・・」
「それは言い訳になりません!」
項垂れる二頭のフェンリル。
「二人とも、明日コンプライアンス部でセクハラ研修を受講しなさい。」
ええっ!
ガーン!という文字を背負って、この世の終わりのような顔をする二頭のフェンリル。
容赦なくフェンリルたちを睨み据えるダイアナ。
翌日、早速受講させられた二頭は元気がない。
帰宅後、それぞれダイアナとエマの足元に横たわるが尻尾も振らないし、タッチもしてこない、もちろん舐めてこない。
あまりにも様子がおかしく、コンプライアンス部に問い合わせると担当者がやってきた。
「失礼いたします。」
コンプライアンス部の研修担当が入室するなり、ビクン!と飛び上がった二頭のフェンリルが怯えるように後ずさる。
「こんな具合で・・・困っているの。」
ダイアナが問いかけると、担当者も困ったように返す。
「通常の研修を受講していただいたのですが、その後の質疑応答がアレで・・・。」
二頭がビクン!と反応した。
「好きすぎて舐めるのは本当にダメなのか?とか、可愛いくて舐めるのはダメなのか?とか・・・・いったい何を受講したのか?我々の研修は無意味なのか?と無力感に打ちのめされまして・・・。」
ダイアナが真っ赤な顔を恥ずかしそうに背ける。
「もちろん、陛下たちの普段の勤務ぶりを知っておりますし、それは立派にお勤めさせていらっしゃいますので、普段のご様子と質問ぶりに、あまりにも隔たりがあり、不思議に思っていたのですが・・・、陛下、デイモン君、職場の同僚と家族は違うのですよ。ご家族に対しては、いくらでも好きと言っても良いし、愛情表現しても良いのです。」
研修担当者がにっこりと笑った。
その瞬間、二頭のフェンリルがエマを抱きしめて、スリスリして、ペロペロした。
ペロペロが・・・・爆舐めになり・・・・・。
「ぴぎゃああーーーーーーーー!」
エマがギャン泣きし、みなぎるフェンリルたちから、泣きじゃくるエマを救出する。
「おいおいおいおい・・・・・おーいおいおい・・・・・・・おいおいおい・・・・。」
「新しく、家族向けの研修を用意しますね。」
一部始終を目撃したコンプライアンス部の担当者たちがきっぱりと言った。
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