文学少年(変態さん)は世界最恐!? 〜明らかにハズレの【書誌学】、【異食】、にーとと意味不明な【魔術文化学概論】を押し付けられて異世界召喚された筈なのに気づいたら厄災扱いされていました〜
クレアシオン〜開闢の魔法少女な七賢者〜 その2
クレアシオン〜開闢の魔法少女な七賢者〜 その2
異世界生活百七十日目 場所ラグナ・ヴァルタ島、ヴァパリア黎明結社本部
【三人称視点】
「……おいおい、なんぼなんでも酷過ぎるやろ!」
少林寺拳法と
敵は薙刀のような形状のグレイブを持つピンク髪のショートヘアの学生服タイプの衣装を纏った魔法少女だ。
ただでさえ攻撃のリーチが長い上に、平城山のあらゆる攻撃がまるで予め予知されていたように呆気なく躱される。
逆に空乃は平城山が最も嫌な場所に攻撃を仕掛けて来る。受ける暇もない連続攻撃は夜叉の如く正確無比で、突き蹴り等打撃攻撃に対する守備反撃方法の「剛法」も通用しない……まあ、敵は常人離れしたスペックの身体と、それを十全に扱えるポテンシャル、心を読む魔法という魔法少女という生き物なので例え総合格闘技の達人でも勝利は不可能だろうが……。
剛法の技で一発逆転を狙うも、その思考すら読まれ、薙刀のような形状のグレイブで阻まれる。
ピンク髪のショートヘアの学生服タイプの衣装を纏った魔法少女――姫川空乃の虚像はグレイブを二、三度回し、そのまま振りかざした。
鮮血が吹き出し、平城山の腕が地面に落ちた。激痛が走り、平城山は焼けるような痛みに耐えられず膝をついた。
「ぐァァァァァァァァァァァァァァ」
鮮血が止まらない。なんとか意識だけは気合で保ち、残された足を使って
平城山には【物理無効】があった。にも拘らず、空乃の攻撃は【物理無効】を貫通してダメージを与えた。
「…………どういう……こと……やで」
平城山は最後の気力を振り絞ってカラクリを探った。
そして、平城山は自分に致命傷を与えたカラクリの正体に気づく。
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【貫槍聖女】LEVEL:1
→あらゆる物理防御を貫通してダメージを与えるよ!
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数多の魔法少女の中で一際は鋭く細い槍を持つ蜂をモチーフにした魔法少女――彼女の固有魔法が、空乃のグレイブに【物理無効】を貫通する力を与えたのだろう。
「……卑怯だって言われへんのが、えらいな」
草子と白崎から
「すまんな……後は頼ねん、草子、みんな」
平城山の頭上からグレイブが勢いよく振りかざされた。
◆
「氷遁・氷製手裏剣超分身」
隠形印、内縛印、大金剛輪印の順に印を結び、織姫は無数の氷の手裏剣を顕現した。
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NAME:穏田密
LEVEL:1
HP:99999999/99999999
MP:99999999/99999999
STR:99999999
DEX:99999999
INT:99999999
CON:99999999
APP:41
POW:99999999
LUCK:99999999
JOB:魔法少女
SKILL
【忍者聖女】LEVEL:1
→魔法の忍術で敵と戦うよ!
ITEM
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黒色のサイドテールで、手裏剣型の髪飾りで纏めている紫紺の瞳を持つ臙脂色のマフラーで顔の半分を隠し、上はビキニ水着のようで着物風のミニスカート、腰に無限に忍具が出てくるポーチを嵌めている。脚は網タイツに下駄という格好の忍者風魔法少女に向かって織姫は顕現した氷の手裏剣を放った。
密の取り出した苦無に炎が宿り、投擲された苦無があり得ない角度で織姫の手裏剣を全て撃ち落とし、織姫に迫る。
「そうはさせないわよ!」
織姫は【忍者聖女】の効果で『百発百中狙ったところに投擲したものを命中させる』性質が宿った苦無を
――戦場は大混乱に陥っている。クレアシオンの召喚した魔法少女達は今もその数を増やしているが、白崎達側には当然増援はない。
勇者固有技で敵を圧倒可能な白崎を筆頭に、朝倉、北岡、一ノ瀬、ゼラニウム、メーア、ジュリアナ、コンスタンスといった
「収束して迸れ、魔を滅する聖剣技――《
「確率操作――確定斬撃・九烈斬閃」
「
「
「〝漆黒の雷内包する嵐、今大地を削る竜巻となりて塵一つ残さず殲滅せよ〟――〝複合魔法・デスストーム〟」
「
「〝神聖なる輝きよ! 邪悪を貫く槍となれ〟――〝
「〝付与は新たな境地に到達した。環境を変え、気候を変える力は最早付与術にあらず〟――〝
「荊棘操作! 薔薇の束縛。薔薇よ、無数の槍と成って貫いて!!」
「秋桜さんを守るのが騎士である僕の務め……我が愛よ、
「嬉しいことを言ってくれるね♡ 麗緒クンは。それなら、私の愛はこの薔薇に宿っているよ♡ いっけー!!」
「〝紅煉の世界の灼熱よ! その熱で全てを焼き尽くせ! 一切合切を焼き尽くして浄化せよ〟――〝
一部余裕そうなイチャラブしている者達がいるが、基本的には供給過多な敵に苦戦を強いられている状況である。
一度に戦える魔法少女は全体攻撃勢を除けば一人から多くても二、三人。そこで大きく時間を掛けている間に新たな魔法少女が桃色の輪から召喚される。
一方、アイリスはといえば、魔法少女達を白崎達に任せてクリプを守りながらクレアシオンと対峙していた。
「出でよ、
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LEVEL:99999
HP:99999999/99999999
ΣΑ:99999999/99999999
STR:99999999
DEX:99999999
INT:99999999
CON:99999999
APP:99999999
POW:99999999
LUCK:99999999
SKILL
【舞台装置の堕魔の呪法】LEVEL:999999999999
→舞台装置の堕魔の呪法だよ!
ITEM
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七体の黒い縁取りの青い豪奢なドレスを身に纏ったような姿の
アイリスも【星霜の理】を発動し、
「まさか、貴女も《Hexennacht》を召喚できるとはね」
「……はぁはぁ……この力は草子さんが紅葉さんとブルーメモリアさんと戦って手に入れた力です。――貴女は《Hexennacht》と――フリズスキャールヴの尖兵達と死闘を繰り広げてきたんですよね! なら、何故その力を、フリズスキャールヴの力を使っているんですか! その力を何故、あんなマッドサイエンティストに与えたんですか!」
「力は力よ。力に善悪は関係ないわ。貴女の仲間の能因草子も敵の力を奪って使っているのでしょう?」
「それは…………草子さんは、命を奪った相手の顔を、その戦いの全てを覚えています。……名前はたまに忘れているみたいですが。……あの人は全てを背負い、歩く覚悟をしています。そうやって、一つの意思を通してきたんです! クレアシオンさん。貴女は、全ての魔法少女を救うために超因果魔法少女になったんでしょ!! なら、なんでこの世界の魔法少女は……いえ、他の世界の未来ある魔法少女達を何故救済しようともせず、それどころか研究の礎にしようとするブルーメモリアさんと紅葉さんに協力した! 貴女のやっていることはフリズスキャールヴと全く同じです!! なんでそんな簡単なことに気づけないんですか!! 自分が魔法少女になり、味わった経験を、何故平気な顔で同じように味わわせようとするんですか!」
「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいィ! 私を、私をフリズスキャールヴなんかと一緒にしないでよォ! 私達はこいつらのせいでなにもかも失ったの! 貴女だってそいつを庇うのなら同罪だわ! 私にはどうでもいいの、この世界の人がどうなろうが……私が守りたいのは、私の大切な仲間達がいたあの世界であって、この世界がどうなろうと知ったことでは無いわ。他の世界の魔法少女がどうなろうと興味はない。それに、私はブルーメモリアに情報を提供しただけよ。それを行使したのはブルーメモリア……私は何もしていないわ。私は、フリズスキャールヴと同じじゃない!! これで分かってくれたかしら?」
「……つまり、クレアシオンさんは元の世界の魔法少女が救われれば、後はどうでもいいってことですね。……見損ないました! クリプから貴女は素晴らしい、正しい魔法少女だって聞いて憧れていたのに……やっぱり、貴女は敵です!! クリプを守るためだけじゃない――貴女という悪を倒すために、私は戦います!」
「私は悪ではないわ! 私は正義の魔法少女――フリズスキャールヴを倒して魔法少女達を救った英雄。それを、身の程知らずの悪の使徒に堕ちた魔法少女に思い知らせてあげるわ!」
蓮の蕾をイメージさせる魔法の弓にエネルギーを圧縮した矢を番える。
アイリスも既に一度見たことのある〈世界を遍く照らす慈悲の矢〉と呼ばれる強力な聖属性攻撃だ。
「世界の時よ、凍り付け。
クレアシオンの【開闢の理】に取り込まれて強化された黒希空の時間停止能力が発動し、クレアシオン以外の全ての時間が止まる……が。
「〈
天輪の時計が高速で加速し、凍てついた時間が加速され、そして時が動き出す。
停止された時間の中で放たれたエネルギーの矢を、【星霜の理】の効果で顕現した水晶玉に写し。
「〈
【星霜の理】化によって【水晶聖女】の空間干渉面も強化されたことにより、指に括り付けた髪の毛を媒体にする必要がなくなり、水晶玉に写り込んだ非物質を任意で転移させることが可能になった。
〈
「私に私の魔法を当てようなんて……いい度胸ね」
他人の心の声を聞く【聞心聖女】によってアイリスの思考を読んだクレアシオンは奇襲を二発目のエネルギー矢で相殺し、三発目のエネルギー矢を生成する。
「これならどうかしら?
三発目の矢はこれまでとは異なり小さな矢となってアイリスへと殺到した。
「【創造聖女】――壁を作って!!」
アイリスは【星霜の理】に取り込まれた【創造聖女】でウルツァイト窒化ホウ素の壁を形成するが、クレアシオンの矢は拡散した状態でもウルツァイト窒化ホウ素の壁を貫いた。
「――まだです!!」
だが、アイリスもまだ諦めてはいなかった。展開した大量の水晶玉で〈
「貴女も超因果に至ったようね……でも、無駄よ! 私の救済の意志よりも貴女の意志は弱い!! 背負っているものが違うの!! ――
クレアシオンが新たな矢を番え、再び拡散した矢を放つ。更に、〈
『――アイリス!!』
絶体絶命のアイリスの前にクリプが飛び出して身を挺した。
◆
「そんな……クリプ…………死なないでよ」
『ごめん……でも、良かった、よ。アイリスが無事、で。…………どのみち、僕は君と一緒には行けなかったんだ……本当は君が
「…………喋らないで! 今、
「――そんなこと、させると思ったかしら?」
アイリスが取り出した
確実にマスコットを殺すために、そして、アイリスを絶望させた上で殺すために……その悪意ある思考は女神として多くの魔法少女を救済した慈悲深い少女とはあまりにもかけ離れてしまっている。
クレアシオンは、知らず知らずのうちに歪んでしまった。もし、今のクレアシオンの姿を二人の親友が見たとしたら、果たしてどう感じるだろうか。
『いいんだよ、アイリス…………僕は死ぬべきなんだから。フリズスキャールヴの端末として、それで罪を償えるのなら、僕は死んでも構わない』
「これであなたの罪が消える訳ではないわ、マスコット。フリズスキャールヴの罪は、私達に与えた傷は一緒消えない。フリズスキャールヴが消えるのは当然のことよ。協力した魔法少女が死ぬのも当然……死んで当然なのよ、お前達は!!」
「ふざけないで! クリプ、ねえクリプ!! 死んじゃダメだよ!! クリプは私の希望なの……草子さんならきっと見つけてくれるから! 私達が一緒に地球に行ける方法を……クリプが救われる方法をきっと……だから、生きて!!」
アイリスの想いに反し、クリプはアイリスの腕の中で冷たくなっていった。もうクリプは髪の毛に執着するアイリスにジト目を向けることも、親のような暖かい視線を向けてくれることもない。
「全て……全てのお前達のせいだ! お前達がいなければ、
もしかしたら、クレアシオンもクリプが他のマスコットとは違うことに気づいているのかもしれない。だが、クレアシオンはそれを頑なに認めない……いや、認めたくはないのだ。
それを認めてしまえば、全てのマスコットを殺すという覚悟が鈍るから。今までの行いを否定することになってしまうから。
クレアシオンは理解していた――超因果魔法少女に至るということは並大抵の覚悟ではないことを。
マスコットと共に歩むという覚悟が、『魔法少女を生み出す元凶を滅ぼし、全ての時間軸の魔法少女を救いたい』という願いに匹敵することを。
それを認めてしまえば、クレアシオンは戦えなくなってしまう。だから、アイリスとクリプの正論を無理矢理捻じ曲げ、自分を正当化することでしか戦えなかった。
「…………草子さんは、きっとこうなることを予感していたのですね」
涙を袖で拭ったアイリスの瞳には、クレアシオンが超因果魔法少女に至った時と全く同じ――覚悟の光が宿っていた。
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