文学少年(変態さん)は世界最恐!? 〜明らかにハズレの【書誌学】、【異食】、にーとと意味不明な【魔術文化学概論】を押し付けられて異世界召喚された筈なのに気づいたら厄災扱いされていました〜
新ルルイエにできた異世界カオス初の娯楽施設が入るだけで発狂しそうな「ネオ・ドリームランド」という名前だった件。
新ルルイエにできた異世界カオス初の娯楽施設が入るだけで発狂しそうな「ネオ・ドリームランド」という名前だった件。
異世界生活百六十八日目 場所新ルルイエ、ネオ・ドリームランド(神々不在の
昨日はミンティス教国の新神殿宮で地下大迷宮millefeuilleのお披露目を行った。
勿論、プロジェクションを利用して国家同盟に所属している全ての国の主要都市で映像を流したのでミンティス教国だけを特別扱いした訳ではない。
まあ、男の俺よりも受けがいいだろうと超因果魔法少女カタリナに変身して、地下大迷宮millefeuilleのシステムについて説明したのだが、各国で卒倒する者が続出したらしい……しくじったか。
まずは死亡してもゼロ階層で復活できる復活機能という名の救済措置があることを発表した。外の世界で魔獣と戦う時についつい迷宮の感覚で戦うと最悪命を落としかねないことを伝えておく。あくまで訓練用の施設だからね。
次に各層のボスに関する情報を伝えておく。今回、βテストバージョンよりも更に迷宮を拡張し、主街区、迷宮区、迷宮区と主街区を内包するフィールドにより構成される。
前回の迷宮だったところが丸々迷宮区になったということだな。ちなみに、前回は十層単位でボスのいる大部屋、二十五層ごとにクォーターボスが配置されていて、残りは雑魚敵の出現する迷宮だったが、今回は大きく拡張し、一層ごとに迷宮とボス部屋がセットになり、合計千体のボスが待ち受ける過酷な迷宮となった。……勿論、罠も大きくバージョンアップしている。
食べられる魔獣がいることを伝えるのも忘れない。地下大迷宮millefeuilleに挑戦するためには冒険者ギルドに申請する必要があり、挑戦を申請するとこの食べられる魔獣のリストが貰える。
かなりの経験値を稼げる食材だが、冒険者ギルドでかなりの金額で買い取ってもらえる。小遣い稼ぎを選ぶか、経験値を選ぶかは冒険者次第だ。
宝箱から稀に得られる希少武器と合わせてお金か戦力強化かという究極の二択を冒険者に迫ることになるだろう。
地下大迷宮millefeuilleで初めてボスを倒した冒険者にはボス討伐の称号が与えられる。この称号は冒険者ギルドが定めるランクとは別にその冒険者を示す指標となる可能性が高い。この層のボスを倒せるレベルだから、この依頼を任せたいというのも十分にあり得る話だ。まあ、地下大迷宮millefeuilleがそこまでの知名度を得れば、だが。だってモブキャラ作だしね。
また、各層の主街区には転送装置があり、攻略した地点まで一瞬で移動が可能になる。
基本的には主街区しかないが、実は九百九十五層には高級宿、特別な武器や防具などを販売している武器防具屋、夜の街などが存在する幻の秘境都市と呼ばれる場所がある……まあ、ここの話は伝えないけどね。ちなみに、店員は使徒天使のようなホムンクルスに人格を
夜の街ではエルフ並みの美女がお酌してくれる店は序の口、遊郭みたいな場所で楽しむこともできるが、まあそれも
だが、ここで終わらないのが幻の秘境都市だ。絶世の美女と身体を交換して異性を体感できる交換屋、そして文字通り異性になれる性転換屋の二つがある。異世界カオスでかなり危険を犯さなければできない性転換をお気軽にできるということで、需要はあるんじゃないかな? と作ってみたけど……うん、俺の予想みたいに繁盛するかは正直微妙だな。
ってな感じで地下大迷宮millefeuilleを正式に冒険者ギルドに譲渡することを宣言したのが昨日。
そこから初回ということで志望者の冒険者パーティに何グループか突入してもらい、実際にチャレンジしてもらっているところを映像を交えて中継し、制限時間の一時間が終わったところでお開きになった。
しかし、イオン、ライヤ、リーシャ、キール、シュオンで再結成されたチームクインテットや〈
でも、まさかあの三人がね……タカフミ達は別の意味で驚いたけど。
ちなみに聖達には今回の挑戦は遠慮してもらった。まあ、その分βテストの方で楽しんでもらった訳だし許してもらおう。
リーファが「あの方が最後の“精霊王”なんですか?」と目を輝かせていたので「絶対に関わるなよ」と釘を刺しておいた。
ユエに「腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐」なんて言わせたくないからな。えっ、そんなことをいう奴がいるんかって? ……“
そうそう。ヱンジュ、ツバキ、ユエの三人だが、なんと
なんでも、つい先日異世界ガイアに討伐した筈の異界の天使達の残党? というか規模からして既に残党とは呼べないと思うけど、
ヱンジュ、ツバキ、ユエ、メルド、セフィーレア、レイミア、ミュレニムを中心とするクローヌ王国・フェアボーテネ教連合軍は異界からの侵攻者達と戦った。冒険者ギルドの上層部は不在、裕翔と美春の不在、召喚勇者パーティは英里以外まともな戦力にはならない(いつものこと)という状況の中、ヱンジュ、ツバキ、ユエが
ちなみに、ミュレニムは村娘に転生した状態でも魂そのものは変化していないので
ミュレニムの新たな超越技の効果で最終戦の女神の姿と力を一時的に取り戻すことができるようになったようで、
今後も異世界ガイアに残党が侵入してくる可能性が高い。ユエ達に「そっちを手伝った方がいいか?」と聞いてみたのだが、断られてしまった。
『気持ちは嬉しいけど、お断りするわ。いつまでも貴方に甘えてはいられない……私達は貴方に十分過ぎるものをもらったから。……草子さん、私と契約を交わしてくれないかしら? 貴方はもうすぐ貴方の目的を達成するために最後の戦いに赴くのよね。その時に私は貴方の剣になるわ』
逆に契約を交わして俺の力になると言い出す始末。勿論、お断りしておいたよ? この非常時に俺の都合に巻き込む訳にはいかないし、ユエは既にヱンジュと契約を交わしている。それなのに無理を言って契約するとか寝取ったみたいでなんだか嫌だからね……まあ、ニュアンスはちょっと違うんだけど。
別に契約することが全てじゃないんだ。共に戦った人達が今ここにはいなくても生きていてくれている、俺達の戦いを知っていてくれているというだけで力になるからね。
そして今日……何故か俺はクトゥルフに協力してネオ・ドリームランドという名の神々不在の
なんでも、異世界カオスには娯楽施設がないということで、娯楽施設を建設して異世界カオスの住民と親密な関係を築きたいらしい……うん、気持ちは分かるけどさ。なんで俺が手伝うことが最初から前提になっているのだろうか?
ネオ・ドリームランドという明らかに発狂しそうなネーミングの娯楽施設は、文字通りドリームランドをテーマにしており、要素をアトラクションと結びつけながら大人でも子供でも楽しめるようになっている。
焔の洞窟と深き眠りの門……風な場所を抜けると、カダス、レン高原、ングラネク山、ハテグ=クラ、ナスの谷……と様々なエリアがあるネオ・ドリームランドに辿り着く。
クトゥルフ神話に関わるアトラクションが数多くある他、ひっそりとチェーザレ古書店二合店があったりとクトゥルフ神話好きには堪らない感じ……なのではないだろうか? ちなみに、最高難易度のアトラクションとして最奥地のカダスに縞瑪瑙の城というものが用意されている。
この縞瑪瑙の城では、ナイアーラトテップでもアザトースでもなく、なんと外なる神のヨグ=ソートスに挑戦することができる。
何故、縞瑪瑙の城と全く関係のないヨグ=ソートスかというと、まあ、ヨグ=ソートスのデータしか持っていないからとしか言いようがないな。
その他、ネオ・ドリームランドの端っこには新ルルイエを改造する際に移転したクトゥルフの居城もあるが関係者以外立ち入り禁止。そこで休日のクトゥルフはディープ・ワンズをこき使ってダラダラと暮らしているらしい……おい、オーナーの仕事しろよ。
ちなみに、ネオ・ドリームランドは外界と関わることになったディープ・ワンズ達が外貨を獲得するための施設という意味合いもあるらしい。年中無休でクトゥルフに無給奉仕し続けるディープ・ワンズって……ルルイエってよくよく考えたらブラック企業だよな。
ということで、ディープ・ワンズ達はここで外貨を稼ぎつつ、外の世界で欲しいものを買ったりするつもりらしい。クトゥルフの面倒は交代で見るようにするつもりのようだ……いい加減独り立ちするべきだと思うよ、クトゥルフ。
と、まあこんな感じでネオ・ドリームランドが完成して、友好国の海洋国家ポセイドンからザヴァルナード、セファエス、ミュナ、マリーナ、鵠の五人がやってきた。
海洋国家ポセイドンにも顔を出さないといけないなと思っていたので嬉しい誤算だ。
『このたこ焼き、可愛いミュナちゃんにプレゼントなのじゃ!』
「ありがとう、クトゥルフお姉ちゃん!」
ちなみに、クトゥルフが言っていた例の屋台だが、これまたネオ・ドリームランドの端っこでひっそりと営業することになったらしい。クトゥルフの足ではなく新種の食用魔獣オクトーゥパスの足を使ったものでそこそこの値段を取るつもりのようだが、ミュナにはタダでプレゼントして、お姉ちゃん呼びをされていた。
「な、クトゥルフさんもお姉ちゃん呼びをされているだと!? 羨ましい!!」
「一緒に食べよ、鵠お姉ちゃん♡」
「うん! お姉ちゃん呼びしてくれてありがとう! いつでもお姉ちゃんに頼ってくださいね! 私はミュナちゃんのお姉ちゃんですから!」
蕩けた表情を浮かべる鵠、対照的に苛立ちを募らせるマリーナ。
「マリーナさんも一緒に食べよ」
「し、しかし。私はマリーナ様の近衛侍女……私がミュナ様と一緒に食べる訳には」
「…………ダメ、なの?」
「…………僭越ながら一緒に食べさせて頂きます」
案外簡単にポッキリ折れたな、近衛侍女。ミュナの隣で蕩けた表情をしていた鵠が一瞬不機嫌な表情を見せた。
『ところで……草子よ。縞瑪瑙の城に最難関アトラクションを用意したのは良いが……本当にあの化け物を倒せる奴が現れるのか? 我は絶対に無理だと思うのじゃが』
「さいなんかんのあとらくしょん? クトゥルフお姉ちゃん、それってなんなの?」
「おい、アホトゥルフ!! TPOを弁えて発言しろよ!!」
ほら、ミュナが興味を持ってしまったじゃないか! あれは危険だからミュナには知られないようにしようと思ったのに……。
『すまないのじゃ……』
「ミュナ様、気にする必要はありませんよ」
「草子お兄ちゃん……隠し事しているの。ミュナには教えてくれないの」
やばい……どうしよう、罪悪感が……。
「…………仕方ないか。あの縞瑪瑙の城にはね、恐ろしい化け物が住んでいるんだよ。その化け物にチャレンジしてみようってアトラクションがあるんだけど……」
「もしかして、そのお城の強い人に勝てるようになったら、ミュナも一緒に連れて行ってもらえる、かな?」
まずい……どんどん流れが悪い方向に。
「かの城にゐるヨグ=ソートスを倒すべきこはさがあらば、パーティに加入する実力ありと証明せらる。草子もその熱意を見せばいなびられじ」
「…………ジューリア、貴様」
「……お腹減りき」
ちっ、ジューリア。余計なことを。たく……しょうがないなぁ。
「ミュナさん、そこまでしなくてももし本当に俺達の世界に行きたいのなら連れて行くよ? ただ、それだとお父さんとお母さんとお別れをしないといけない。……一緒に旅をするってのは残念ながら無理だ。俺達がこれから戦う相手はミュナさんを守りながら戦えるような者達じゃないからね」
「…………うん」
「もし、その覚悟があるんだったら、俺達と一緒に来たいと思うのなら、全てが終わった時、俺達がこの世界を去る前に必ずミュナさんに会いに行く。その時にどうしたいかを教えてくれ」
「…………分かった。それまでにミュナ、どうしたいか決めておくよ」
ミュナには辛い二択を迫ってしまったかもしれないな。まあ、彼女はきっと家族と一緒にいることを選ぶだろう。
ミュナ達と別れ、俺達は【虚空ト異界ヲ統ベル創造ト破壊之究極神】で作り出した海洋母艦ナンムに乗り込み、海底を進んで新生オリアブ島、ヴダーローゥア島を迂回し、ギシュヌムンアブ遺跡がある島を目指す。
老害に転移させられ、聖と共にヴァルジャ=ラ迷宮の最深部で存在を知り、二人でYGGDRASILLを手に入れて必ず地球に帰還すると誓ったあの日――。
そして、それから百五十日以上の時を経たその日、沢山の仲間を得た俺達は当初のゴール地点に到着する。
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