攻略❃ジグラート大迷宮 前篇
異世界生活百六十五日目 場所ジグラート大迷宮
雪原エリア改めて花畑エリアを戦闘を挟みながら歩き(と言っても俺の出る幕は無かったが。まあ、モブキャラに見せ場とか必要ないよな。というか、そもそも見せ場に暴れられる力がモブキャラにある訳ないよな)、遂にお目当ての魔法陣を見つけたのだ。
当然そのまま魔法陣に乗って転移。そして、辿り着いた先は――。
「ただの大部屋で、反対側には普通に魔法陣があって……舐めているのかな?」
この部屋には「感情を反転させる。味方同士は絆の深さ故に憎しみ合い、嫌悪を抱く敵だからこそ愛おしく思えて刃が鈍る」というどこかの迷宮の試練の効果があったようだが、【状態異常無効】の効果であっさりと無効化されている。……おいおい、マルドゥーク文明。【状態異常無効】くらい貫通しろよ。
そして、このエリアに出てくる敵は「一匹見つけたら三十匹はいる」という黒い悪魔の名を冠する頭文字Gのカサカサ這いよる混沌なお母さん達と飲食店の仇敵……ではなくGの如く這いずってる忍者。……「忍者ー⁉︎」。
思わず恋愛運が最底辺な転生ヒロインちゃんみたいなツッコミを入れてしまった……しかし、これって奇を衒おうと斜め上なことをした結果、最初より難易度が低下するっていう俗に言う改悪ってやつなんじゃないか?
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NAME:忍者
LEVEL:5000
HP:600000/600000
MP:3000/3000
STR:600000
DEX:600000
INT:29999
CON:600000
APP:99999
POW:600000
LUCK:200000
SKILL
【片手剣理】LEVEL:MAX(限界突破)
→片手剣の真髄を極めるよ! 【片手剣】の上位互換だよ!
【暗殺剣理】LEVEL:MAX(限界突破)
→暗殺剣の真髄を極めるよ! 【暗殺剣術】の上位互換だよ!
【投擲】LEVEL:MAX(限界突破)
→投擲が上手くなるよ!
【無拍子】LEVEL:MAX(限界突破)
→無拍子が上手くなるよ!
【躱避】LEVEL:MAX(限界突破)
→攻撃を躱すのが上手くなるよ! 【回避】の上位互換だよ!
【神速縮地】LEVEL:MAX(限界突破)
→神速の領域に至った速度で相手と距離を詰めるよ! 【迅雷縮地】の上位互換だよ!
【重縮地】LEVEL:MAX(限界突破)
→【縮地】を連続で行えるよ!
【忍術】LEVEL:MAX(限界突破)
→忍術を会得するよ!
【密偵】LEVEL:MAX(限界突破)
→密偵の技術を得るよ!
【変装】LEVEL:MAX(限界突破)
→変装が上手くなるよ!
【暗躍】LEVEL:MAX(限界突破)
→暗躍が得意になるよ!
【潜伏】LEVEL:MAX(限界突破)
→潜伏が上手くなるよ!
【隠形】LEVEL:MAX(限界突破)
→隠形が上手くなるよ!
【無音移動】LEVEL:MAX(限界突破)
→忍び歩きが上手くなるよ! 【忍び歩き】の上位互換だよ!
【尾行】LEVEL:MAX(限界突破)
→尾行が上手くなるよ!
ITEM
・
→
・
→
・
→
・忍装束
→忍装束だよ!
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同じ這い寄る敵でもGではなく忍者なら生理的嫌悪感を抱かずに今の白崎達でも討伐できる筈だ。
感情の反転にも失敗し、敵の配置にも失敗し、このエリアはかつてないほど低レベルになっている……これ、アッドゥ遺跡の方がまだマシだった気がするよ。
「【虚空ト異界ヲ統ベル創造ト破壊之究極神】――次元断層斬」
忍者の目の前に次元断層斬を発動し、真っ直ぐ進んだところで両断されるように罠を仕掛けた結果、九割の忍者が死んだ……おいおい、マジかよ。お前らは忍者の形をした単細胞生物か? 脳筋なのか? 罠が仕掛けられているとはコンマ一ミリも考えないのか!?
次元断層斬を回避した忍者は約三百……最初三千匹いたから十分の一だな……ってか、数え方がゴキブリと同じになっているんだが。
残る忍者も分子分解砲撃拳銃《メギド》=
……しかし、これどう考えてもアッドゥ遺跡よりも低レベル化しているよな。
一度目の氷上の天使も吹雪の中で運用するからこそ脅威なのであって(ステップやジャンプを読まれにくいから)、吹雪が消されれば一気に攻略が楽になる上に、ゴリラスケーターだからこそイラッとするのにビッグフットから使徒に変えている時点で最大の長所が掻き消されている。使徒が美しいから目を奪われる……っての言う可能性は億分の一くらいにはあるかもしれないが、これまで使徒天使の美貌に目を奪われずにやって来ている相手を美しさを武器に躊躇させてその隙を突くという戦法が通用するとは考えにくい。まあ、目新しさとジャンプの華麗さに思わず「これはなんだ」と思う可能性もあるが、流石にこの遺跡に挑戦するレベルで危機管理を怠ることは考えにくい。
今回の感情を反転させるギミックも【状態異常無効】で防げる時点で大したことはないということだ。……マルドゥーク文明が到達した時代には既に【状態異常無効】はあったのだから、なんらかの方法で貫通する術を考えておくべきだったと思う。
その上、ゴキブリの代わりに忍者を配置している時点で恐怖は半分以上減。忍者を従える鬼がいるかなぁ、とは思ったが特にその気配もないということで、この忍者を盾に鬼をボコボコにする必要はないのだろう。
反対側の魔法陣に乗り、転移。白崎達主役にいいところを見せてもらうためにももう少し迷宮の本領を発揮してもらいたいものだ……まさか、この程度で終わり……そんな訳、ないよな?
◆
第三層は太めの通路から構成される巨大な迷路空間だ。
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NAME:鋼鉄の巨人-Resurrected steel giant-
LEVEL:99999
HP:9999999/9999999
MP:0
STR:99999999
DEX:600000
INT:10000
CON:600000
APP:100
POW:600000
LUCK:600000
TITLE:【鋼鉄の巨人】
SKILL
【乱射】LEVEL:MAX(限界突破)
→乱射が上手くなるよ!
【ミサイル発射】LEVEL:MAX(限界突破)
→ミサイル発射が上手くなるよ!
【電撃領域】LEVEL:MAX(限界突破)
→強力な電撃を発生させるよ!
【電磁領域】LEVEL:MAX(限界突破)
→強力な電磁波を発生させるよ!
【光線発射】LEVEL:MAX(限界突破)
→光線発射が上手くなるよ!
【熱核光線発射】LEVEL:MAX(限界突破)
→熱核光線発射が上手くなるよ!
【波動砲発射】LEVEL:MAX(限界突破)
→波動砲発射が上手くなるよ!
【照準】LEVEL:MAX(限界突破)
→照準が上手くなるよ!
【発砲時反動消滅】LEVEL:MAX(限界突破)
→発砲した時に反動が消滅するよ!
【金剛】LEVEL:MAX(限界突破)
→金剛の如き硬さまで硬化するよ! 【部分硬化】の上位互換だよ!
【エンハンスブロウ】LEVEL:MAX(限界突破)
→超高速でブロウを放つよ! 【ブロウ】の上位互換だよ!
【アクセルランオーバー】LEVEL:MAX(限界突破)
→猛烈なスピードで相手を轢くよ! 【ランオーバー】の上位互換だよ!
【パスカルコンプレッション】LEVEL:MAX(限界突破)
→猛烈な圧力を対象にかけるよ! 【コンプレッション】の上位互換だよ!
【セルフトランプル】LEVEL:MAX(限界突破)
→力に物を言わせて蹂躙するのが上手くなるよ! 【トランプル】の上位互換だよ!
【ジャッジメント】LEVEL:MAX(限界突破)
→裁きの雷が全てを焼き尽くすよ!
【アンティキティラリアクター】LEVEL:MAX(限界突破)
→古代の原子炉の力で絶えずエネルギーを作り出すよ!
ITEM
・ホーミングミサイル×∞
→ホーミング機能がついたミサイルだよ! ペンシル型だよ!
・インフェルノディザスター二式改×4
→ 回転式十砲身、口径三〇ミリ、毎分三万発撃てるガトリングレールガンを一つの砲身と見立てた八砲身ガトリングだよ! 自動冷却機能つきだよ! 二式改はなんとなくだよ!
・メギドディザスター零式改×2
→単発式五〇口径の電磁加速式アンチマテリアルライフルだよ! 零式改はなんとなくだよ!
・電磁波発生装置
→電磁波を発生させる装置だよ!
・電撃発生装置
→高電圧の電撃を発生させるよ!
・ミラービット改
→自律型の空飛ぶ十字架だよ! 全面鏡で構成されているよ!
・光線発射装置
→取り込んだ光エネルギーを収束して発射する装置だよ!
・熱核光線発射装置
→核エネルギーを完全に純粋な熱エネルギーに変換して発射する装置だよ!
・波動砲
→波動砲だよ! 波動エネルギーを放つよ!
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敵も白銀の巨人と使徒天使(フィギュアスケーターじゃない方)とこれまでにないほどやる気に満ち溢れている。
蘇る鋼鉄●巨人を彷彿とさせるような単眼の鋼鉄の巨人が超高速で鋼鉄の腕を前に突き出す……【エンハンスブロウ】か? 【金剛】で強化したのかな?
「【守護者の盾】!!」
しかし、強化された【エンハンスブロウ】も岸田の【守護者の盾】にあっさりと封じられ――。
「〝真紅の炎よ。無数の槍となりて、我が敵を貫き焼き尽くせ〟――〝
「降り注げ、天壌焦がす漆黒の霹靂。災いを齎す九頭竜となれ!」
「【魔力矢乱射撃】!!」
妖狐の姿となった志島の【狐火】と融合された炎の槍と【黒雷】で形作られた九頭竜、無数の魔法の矢の同時攻撃に呆気なく破壊される。
これだけの攻撃をまともに喰らったら、そりゃ壊れるのも致し方なしか。
岸田達が討伐した以外にも鋼鉄の巨人-Resurrected steel giant-はいるが進藤、久嶋、大門、照次郎の脳筋四人が中心となって殲滅したようだ……ってか、やっぱり脳筋だったのか、照次郎。
鋼鉄の巨人と言いながら鋼鉄製ではなく
さて、いい感じに真面な雰囲気になってきたことだし、次の層でこそジグラート大迷宮の底力を見せてもらいたいものだ。
◆
転送された空間は全面が鏡張りになっている六角形の部屋だった。
割と広めで暴れるのには十分な広さ……といっても、白崎勇者パーティという大所帯で戦うのにはちょっと狭いが。
白崎達とは分断されたらしい……そう来なくっちゃ。白崎勇者パーティでも最弱と名高いこのモブキャラでも最低限マルドゥーク文明の遺跡程度は攻略できないと示しがつかないからな。
六角形の部屋の鏡は床、天井を合わせて八枚……普通、その全てに俺の姿が映し出される筈だが、俺の姿が映し出されたのは俺の真正面にある一枚の鏡だけだった……まあ、この時点でなんらかのギミックがあることは分かるよな。
薄っすらと声が聞こえる……気がする。『お前はそれでいいのか? エリシェラ学園に残り客員教授として仕事を続けたいのならそうすればいいじゃないか?』とか『白崎さん達のことを心から大切に思っているんだろ? なら、何故地球への旅に巻き込んだ。巻き込まなければ彼女達が危険に遭うことは無かっただろう?』とか『彼女達のことを大切に想っているなら、何故その気持ちに応えようとしない』とか……おいおい、己の心の声なのに妙に説教臭いな。
「はぁ……やっぱりこの程度か。ジグラート大迷宮、やっぱり分かっていないだろ? いいか、
『……そこまで酷評されると辛いねぇ。まあ、事実なんだけどさ……そこは他の遺跡との兼ね合いで仕方なくと想ってもらえるとありがたい。……まあ、当時のマルドゥーク文明に
黒髪は白髪に、肌色は浅黒く――色を反転させた虚像の出現……まあ、驚かないけど。
予想していた展開だ……だが、最後のは意味が分からないな。「今回に限ってはジグラート大迷宮の方が良かったと思うけどね」……って、どう考えてもヨグ=ソートスとギルガメッシュの組み合わせの方が厄介だろ?
「出たな、怪人め!」
『勢力を拡大する秘密結社ブランケットかな? ……全くネタに事欠かないよね、君って。まあ、俺でもあるんだけど……さて、分かっているだろうが』
色が反転したエルダーワンドを構える俺の虚像に俺は待ったをかける。
「いや、折角だから今回は趣向を変えた戦いをしたいんだけど」
『……いや、本当に分かっているんだよな!? この迷宮のこのエリアのコンセプトは自分に打ち勝つこと。つまり、俺を倒さなければ終わらないんだよ!! ってか、記憶を持っているのにお前の思考が全く読めないんだが……お前って本当になんなんだ!?』
はぁ……俺の分身なのに俺の思考を
「やっぱりお前ってシュ●ー雪原の最後の迷宮の最後の仕掛けと同じパターンだろ? 俺の記憶や感情、思いまではデータ辺りまではコピーできるんだろうが、俺の思考まではコピーできない。つまり、材料を与えられてもそこから作る料理は違うかもしれないってことだ。本来は自らが抱える負の感情を乗り越える度に、負の虚像であるお前は弱体化していくんだろうが……そういう正攻法の戦い方以外にも勝つ方法自体はある。例えば、一つは白髪の錬成師さんが使った戦闘中での成長だが、他にも今までに使ったことのない戦術を編み出して披露するってのもあるな。まあ、ここに踏み込むまでの俺という存在をコピーしただけみたいだし。でも、俺をコピーしたことには変わりないんだろ? だったら楽しませてもらわないとねぇ」
『…….おい、何故青筋を立てながら笑っているんだ』
虚像がブルブル震えているんだが……俺って俺自身に恐れられるほど恐ろしい存在なのか? ってか、俺が恐れているのではなく、正しくは試練として植え付けられた俺以外の部分――ジグラート大迷宮のシステムが俺を恐れたのか? ……いや、それもアウトだと思うんだが。
「んじゃ、始めようぜ? 第一問!!」
◆
「第三千二百問。江戸時代の版元で、朋誠堂喜三二、山東京伝らの黄表紙・洒落本、喜多川歌麿や東洲斎写楽の浮世絵などの出版で知られる人物は?」
『蔦屋重三郎!! ……はぁはぁ、なんで俺はこんなことを……』
やはり知識としては互角だったか。これ以上やると千日手になる訳だし、ここまでにするか。しかし、楽しかったな。高校にはこういう勝負をやれる相手がそもそもいないし、勝負をしたところでここまで白熱はせずに終了しちゃうんだよ。
「とりあえずここまでにしておくよ。
『
「いや、そろそろ迷宮のコンセプトに従って物理的な勝負をしようってだけだ。……んじゃ、始めるか。【虚空ト異界ヲ統ベル創造ト破壊之究極神】!!」
『【虚空ト異界ヲ統ベル創造ト破壊之究極神】』
原子核の混沌世界の究極的破壊エネルギーが衝突し、その瞬間一つの小さな宇宙が誕生した。
生まれた宇宙は鏡の世界そのものを侵食し始める。数多の小銀河を内包する宇宙の膨張に抗えず鏡世界が破壊され、別の鏡の世界が姿を現した。……ふむふむ、鏡世界から脱出できていないのは織田、後田、楠木、犬吠埼、春彦、宍戸、葦屋浦、天宮、夢咲、新田、堰澤、吉祥寺、瀧野瀬、氷鏡、南雲、姫川、氷岡、白鷺、平城山、山田、不知火、度会、相沢、エリーゼ、凛、丑寅、栗栖、畠山、赤城、木村……おいおい、マジかよ。折角猶予をやったのに。
ちなみに、アストリアとリーリスの方はこのタイミングで
「さて、これだけ猶予をあげたのに自分の負の面に勝利できなかった諸君」
「お、お前だって自分の虚像を倒せていないじゃないか?」
「…………ほほう?」
春彦の言動にイラついたので、時空連続体爆裂で織田達の虚像を纏めて吹き飛ばしつつ、【虚空ト異界ヲ統ベル創造ト破壊之究極神】で膨張し続ける宇宙を丸ごと捕食した。……しかし、膨張し続ける宇宙ってバ●バインみたいに一定の変化が生じたら膨張や増殖を停止……するのか? まあ、純粋なエネルギーに分解されて終わるだろうが。
織田達の姿が鏡世界から消失する。虚像が倒れたことで試練を攻略したと判定されたのだろう……第三者に討伐されても大丈夫なの? そこまでルーズでいいの?
さて、それじゃあラウンドⅡと行きますか……いや、文学知識勝負も含めたらラウンドⅢか? まあ、どっちでもいいけど。
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