(急-丙):裏商人ギルド会議大掃討
異世界生活百五十九日目 場所フェニックス議国、砂漠の街デザートレーティア、裏商人ギルド会議本部
〝空間封鎖-Dimensional Lock-〟で空間干渉が無効化され、脱出経路も使徒天使、魔竜・紫神、クラリッサ=ソレィユ、アーリーン=リュンヌで封じた。
つまり、現在の裏商人ギルド会議本部は脱出困難な密室空間ということだ。
――だから、この場に救援が駆けつけてくるという御都合主義な展開は起こり得ない。
――でも、俺は思うんだよね。愛が奇跡を起こすというなら、これくらいの障害は乗り越えられるって。……ちょっと幻想を持ち過ぎているかな?
『【百億万長者は札束で頬を殴る】!!』
突破不能の密室空間に一人の侵入者が現れた。
俺は歓喜し、シャリスは絶望の表情を浮かべた。
やはり、そうでなくっちゃ。シャリスが貴方を愛しているように、貴方もシャリスを愛しているなら、白馬に乗った王子様のように姫の窮地に駆けつけるべきだよな。
「
「えっと……ここに来るために虹金貨十枚、あの炎を無効化するのに白金貨一枚だな。だが、それがどうした? お金なんていくらでも稼げるが、大切な人は一度喪えば二度と帰ってこない。だから気にするな。俺にとって、お前が一番大切なんだよ。例え全財産を投げ打つ必要があったって俺はシャリス、お前を助けようとしただろう」
「全く……
うわ……完全に悪役だ。モブキャラが悪役やっているよ! ……完全に力不足だからやめた方が良さそうだな……って自分の意思では降りられないだと!?
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NAME:アルフレート=カーン AGE:30歳
LEVEL:99999999(DESPERADO)
HP:99999999/99999999(+9999999999999)
MP99999999/99999999(+9999999999999)
STR:99999999(+9999999999999)
DEX:99999999(+9999999999999)
INT:99999999(+9999999999999)
CON:99999999(+9999999999999)
APP:6000(+9999999999999)
POW:99999999(+9999999999999)
LUCK:99999999(+9999999999999)
JOB:行商人、裏商人ギルドCEO、黎明結社メンバー
TITLE:【裏商人ギルドのCEO】、【黒蜥蜴】、【影法師】、【暗躍卿】、【死の商人】、【猫奴隷の愛好家】、【億万長者】、【ヴァパリア黎明結社七賢者】、【
SKILL
【全属性魔法】LEVEL:MAX(限界突破)
→全属性の魔法を使えるようになるよ!
【複数魔法同時発動】LEVEL:MAX(限界突破)
→複数の魔法を同時に発動できるよ!
【物理無効】LEVEL:MAX(限界突破)
→物理を無効にするよ! 【物理耐性】の上位互換だよ!
【衝撃無効】LEVEL:MAX(限界突破)
→衝撃を無効にするよ! 【衝撃耐性】の上位互換だよ!
【魔法無効】LEVEL:MAX(限界突破)
→魔法を無効にするよ! 【魔法耐性】の上位互換だよ!
【状態異常無効】LEVEL:MAX(限界突破)
→全ての状態異常を無効にするよ! 【状態異常耐性】の上位互換だよ!
【即死無効】LEVEL:MAX(限界突破)
→即死を無効化するよ! 【即死耐性】の上位互換だよ!
【因果無効】LEVEL:MAX(限界突破)
→因果干渉を無効化するよ! 【因果耐性】の上位互換だよ!
【クライヴァルト語】LEVEL:MAX(限界突破)
→クライヴァルト語を習得するよ!
【ミンティス国】LEVEL:MAX(限界突破)
→ミンティス語を習得するよ!
【マハーシュバラ語】LEVEL:MAX(限界突破)
→マハーシュバラ語を習得するよ!
【ジュドヴァ=ノーヴェ語】LEVEL:MAX(限界突破)
→ジュドヴァ=ノーヴェ語を習得するよ!
【エルフ語】LEVEL:MAX(限界突破)
→エルフ語を習得するよ!
【ドワーフ語】LEVEL:MAX(限界突破)
→ドワーフ語を習得するよ!
【獣人第一共通語】LEVEL:MAX(限界突破)
→獣人第一共通語を習得するよ!
【獣人第二共通語】LEVEL:MAX(限界突破)
→獣人第二共通語を習得するよ!
【海棲語】LEVEL:MAX(限界突破)
→海棲語を習得するよ!
【ヴァパリア黎明結社共通語】LEVEL:MAX(限界突破)
→ヴァパリア黎明結社共通語を習得するよ!
【算術】LEVEL:MAX(限界突破)
→計算が早くなるよ!
【交渉】LEVEL:MAX(限界突破)
→交渉が上手くなるよ!
【弁明】LEVEL:MAX(限界突破)
→弁明が上手くなるよ!
【相場】LEVEL:MAX(限界突破)
→相場が分かるよ!
【値切り】LEVEL:MAX(限界突破)
→値切りが上手くなるよ!
【韜晦】LEVEL:MAX(限界突破)
→自分の才能や地位などを上手く隠せるようになるよ!
【説得】LEVEL:MAX(限界突破)
→説得が上手くなるよ!
【賄賂】LEVEL:MAX(限界突破)
→賄賂が上手く使えるようになるよ!
【社交辞令】LEVEL:MAX(限界突破)
→社交辞令が上手くなるよ!
【腹芸】LEVEL:MAX(限界突破)
→腹芸が上手くなるよ!
【経理】LEVEL:MAX(限界突破)
→経理が上手くなるよ!
【信用】LEVEL:MAX(限界突破)
→信用を勝ち取りやすくなるよ!
【詐術】LEVEL:MAX(限界突破)
→詐術が上手くなるよ!
【暗殺】LEVEL:MAX(限界突破)
→暗殺が上手くなるよ!
【陰謀】LEVEL:MAX(限界突破)
→陰謀を企てるのが上手くなるよ!
【冤罪】LEVEL:MAX(限界突破)
→冤罪を作るのが上手くなるよ!
【証拠隠滅】LEVEL:MAX(限界突破)
→証拠隠滅が上手くなるよ!
【暗躍】LEVEL:MAX(限界突破)
→暗躍が得意になるよ!
【潜伏】LEVEL:MAX(限界突破)
→潜伏が上手くなるよ!
【隠形】LEVEL:MAX(限界突破)
→隠形が上手くなるよ!
【無音移動】LEVEL:MAX(限界突破)
→忍び歩きが上手くなるよ! 【忍び歩き】の上位互換だよ!
【変声】LEVEL:MAX(限界突破)
→声色を上手く変えられるようになるよ!
【脅迫】LEVEL:MAX(限界突破)
→脅迫が上手くなるよ!
【尋問】LEVEL:MAX(限界突破)
→尋問が上手くなるよ!
【掣肘覇潰】LEVEL:MAX(限界突破)
→圧倒的覇気で相手を威圧するよ! 【覇潰】と【掣肘】の上位互換だよ!
【気配察知】LEVEL:MAX(限界突破)
→気配察知が上手くなるよ!
【魔力察知】LEVEL:MAX(限界突破)
→魔力察知が上手くなるよ!
【熱源察知】LEVEL:MAX(限界突破)
→熱源察知が上手くなるよ!
【振動察知】LEVEL:MAX(限界突破)
→振動察知が上手くなるよ!
【危機感知】LEVEL:MAX(限界突破)
→危機感知が上手くなるよ!
【全マップ探査】LEVEL:MAX(限界突破)
→今居るマップ情報を完璧な状態で得るよ! 【空間把握】の上位互換だよ!
【神魔眼】LEVEL:MAX(限界突破)
→あらゆる視覚スキルの究極体だよ! 【視敵】、【俯瞰視】、【暗視】、【千里眼】、【照魔鏡の瞳】、【心眼】、【邪眼】、【魔眼】、【瞳術】、【透視】、【動体視力超化】、【看破】、【過去視】、【不確定未来視】の上位互換だよ!
【情報偽装】LEVEL:MAX(限界突破)
→情報偽装が上手くなるよ! 視覚・嗅覚などといった五感などの情報からステータスに至るまであらゆるものを見かけだけなら歪めることができるよ!
【百億万長者は札束で頬を殴る】LEVEL:MAX(限界突破)
→消費した金額に応じてステータスを上昇させたり特殊攻撃や能力を発動するよ!
ITEM
・大商人の服
→商売運が上がる服だよ!
・
→〝
・黎明結社のペンダント
→ヴァパリア黎明結社のシンボルである六芒星に十字架を合わせた意匠のペンダントだよ!
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「よっ……俺の
「それについては謝罪したい気分だよ。まあ、ぶっちゃけ俺もあまり乗り気じゃなかったし、降伏してくれるなら見逃すつもりでいたんだけどね。……しかし、アルフレートさんが七賢者だというのは驚いたな。……俺がヴァパリア黎明結社と敵対する存在だと知って近づいたのか?」
「いや、アルルの町で会った時とジェルダの町で再会した時は知らなかったよ。まあ、ステータスが看破できない時点で真面な奴じゃないことは分かっていたがな」
アルフレート正対する。俺とアルフレートの間にはかつてないほどの緊迫した空気が流れている。……うわ、ピリってきた、ピリってきたよ!!
「……アルフレートさん。なんで、貴方みたいな人がヴァパリア黎明結社の七賢者をやっているのか、ようやく分かったよ。共に『帝国』を倒すためにヴァパリア黎明結社の前身となった『自警団』を結成した初期メンバーで、今は亡きインディーズさんとスペティアさんの忘れ形見――二代目首領ゼドゥー=ヴァパリアを守るというインディーズの遺言を果たすため。そして、もう一つは三幹部で裏切り者のグリフィス=インビィーツトの野望――インディーズさんの前世であるリュート=オルゲルトの復活を阻止すること。……そりゃ、どうやっても俺達と敵対するよな。俺が地球に帰還するためにはゼドゥーを殺さなければならない。アルフレートさんはそれを止めなければならない。……シャリスさんもだけど別の出会い方をしていればお友達になれたと思うんだけどな……まあ、年齢的にも経験値的にもアルフレートさんともシャリスさんとも同等の友人って関係にはなれそうにないけど」
「俺はライバルに近い関係だと思っていたんだけどな……噂を聞く限り、お前の方が俺よりスペック高いだろ? エリシェラ学園の客員教授に国家同盟の相談役に、仲違いしていた種族をまとめ上げるほどの政治家と革命家の側面に、魔法薬研究の第一人者。俺が知らない顔ももっとあるだろうし、お前ほどスペックの高い存在を俺は見たことがねえよ」
「…………シャリスさんとか?」
「ウチにも無理ですにゃ……もう、高嶺の花とかそういう次元ではないですにゃ。そもそも、勝負をする前から既に負けることが分かっていて命を捨てるつもりで戦っていたのに、
いや、別にそこまで深く考えていた訳じゃないし、一応殺すか殺さないかのギリギリの選択までいっていたんだよ? 何度も葛藤して、覚悟まで決めて、その結果アルフレートに助けられた。
正直、アルフレートには感謝したいよ。……お陰でシャリスを殺さない大義名分ができた。
「能因草子――俺とお前はここで戦うべきではないと思う。お前もそう遠くないうちにヴァパリア黎明結社に戦争を挑むんだろ? その時に俺はゼドゥーを守るために七賢者の一人としてお前の前に立つ。……だから、シャリスには手を出さないでくれ。俺はもう二度と大切な人を失いたくない」
「いいよ?」
「そんなわがままが通じる訳……えっ?」
「いや、いいけど。正直な話、アルフレートさんにもシャリスさんにも死んでもらいたくないし。貴方達みたいな善人を殺すなんて社会的な大損失だし、それ以前に俺がその結果を許容したくない。わがままで身勝手な理屈だって? 筋が通っていないって? いいじゃねえか? 自分のエゴを信じて運命に喧嘩を売ったのが
「……分かった。それなら、俺も納得するしかないだろうからな。いいぜ、七賢者アルフレート=カーンの名にかけて必ず約束は守る。商人ってのは信用を大切にするものだからな」
「ああ、それとヴァパリア黎明結社との戦争には土産物――YGGDRASILLを用意しておくから。まあ、それならヴァパリア黎明結社も表側に出ざるを得なくなるだろう?」
「……まあ、確かにゼドゥー以外にもYGGDRASILLに興味を持っている七賢者はいるからな。といっても、クレアシオンさんとナイアーラトテップさんの二人は別の方法で目的を達成しようとしているし、あれに一縷の望みを賭けているのは
ちなみに、アルフレートの記憶を覗けば七賢者の能力を知ることができるだろうが、俺はそれをしていない。まあ、会ってから対策を立てた方が絶対に面白いからね。ネタバレ厳禁。
まあその芳山って人は、なんとなく能力が分かるけど……タイムリープと理科の実験室って言えば分かるかな? まあ、それだけじゃ七賢者になれないだろうし、もっと厄介な能力を持っているんだろうけど。
「それじゃあ、そろそろ俺達はいくよ。ってことで魔法を解除してくれないかな? こんなことでお金を使いたくないからな」
アルフレートのスキル【百億万長者は札束で頬を殴る】……一見すると「華麗なるフィッ●ジェラルド」みたいな能力だが、その効果は身体能力だけに留まらない。
説明を見るからにできることは金の許す限り無限大。死者を蘇らせるくらいは造作もなくやってのけそうだし、電脳世界でヒキニートしている魔法少女の独壇場とか夢世界に侵入して夢の内容を改変する魔法を使う魔法少女相手でも戦えそうだし、因果と融合した魔法少女とか神的存在も資本の力で殺せる気がする……クビハネさんについては微妙なラインだな。あれで礼儀知らずと判定されたアルフレートのスキルが通用するかは微妙だし……まあ、あれは本当に例外だから、とりあえず資本がある限りアルフレートは無敵。本気で対策を立てておかないと死ぬね、これ。
「解除したよ。それじゃあ、次は
「それじゃあな。お前に限ってないと思うが、俺にやられる前に死ぬなよ」
アルフレートから嬉しい激励をもらったところで〝
◆
「……草子君、結局見逃しちゃったじゃない」
「てへぺろ? うん、俺がいうとなんか違う気がする……というか、自分で言っていてキモいと思った」
「……僕は草子さんが選んだ選択肢が間違っていたとは思いません。僕も草子さんがあの行商人さんを気に入った理由が分かりますから」
「確かに……もし、あのままシャリスさんを殺していたらこんな気持ちにはなれなかったと思う。草子君はこの世界で手に入れた友達と最悪の形で敵対することになっていたと思うし、これで良かったと思うよ」
「レーゲン君、白崎さん、ありがとう。すまんな、俺のわがままに付き合ってもらって。……俺はこれから状況を確認しつつ国家同盟に報告を入れておくよ。一応、裏商人ギルド会議本部は壊滅させたし、ヴァパリア黎明結社の“十罪の王”も倒したから戦果も上げているしな」
「それもこれも全部草子さんがやっているから、私達は何もしていないんですけどね。ちなみに、本当にYGGDRASILLをヴァパリア黎明結社との戦いに持ち込むんですか?」
「あっ、あれ? ブラフだよブラフ。手に入れて内容を確認し次第YGGDRASILLはぶっ壊す。そして、その上でヴァパリア黎明結社にYGGDRASILLを賭けて勝負しようと宣戦布告する。そうすりゃヴァパリア黎明結社も動かざるを得ないだろ? そして俺達を倒してもYGGDRASILLは手に入らない。どう転んでも最後に勝つのは俺達って訳さ」
「草子さん、相変わらず悪役みたいですよね? でも、自重しないところも含めてカッコいいです」
「リーファさん、俺のことをどう認識しているのか小一時間ほど別室で聞かせてもらおうか? ってか、
「……もう、私が草子さんのことが好きなのは事実なのに」
「ってか……まあ、リーファさんならいっかって思っている俺がいて怖い。……うん、例え選べて要求されても俺は結局独りを選ぶと思うけどな。フットワーク軽いし」
ありゃりゃ、何故か聖達まで落ち込んじゃったんだが……なんか変なこと言った?
「草子君が一緒に居たいと本当に思ってくれるまで溝は埋められていないってことだよね……でも、リーファさんに対する反応だと脈がありそうだし、もしかしてあたし達の草子君攻略は近い?」
「そうね……諦めかけていたけどまだチャンスはある!!」
「確実に草子君の中で私達に対する印象が変わってきている……これなら、もしかしたらいけるんじゃ!! 草子君完全攻略の日は近いわ!!」
なんか盛り上がっているし……うん、疲れた。こいつらは自分で戻れるし、俺はとっとと仕事をしよう。
◆
異世界生活百六十日目 場所ミンティス教国、聖都、新神殿宮
その後、俺は各戦場を回り時々助力に入りつつ奴隷商人討伐軍の本部――新神殿宮に戻って戦況を報告し、奴隷商人の大掃討の終結を見届けた。
そこから、ミンティス教国で行われた奴隷商人完全撲滅祝いの祝賀会に何故か呼ばれ、参加者達と自己紹介をしたり立ち話に花を咲かせて近況報告をしたりと、まあそんな感じで過ごした……俺に対する視線が恐怖と畏敬と嫉妬の三種類ではっきり言ってどれもあまり良い気分ではなかったけど。
しかしイオン達やキール達……人気者だったな。
彼らが冒険者の世界に踏み出すきっかけを作った人間としてこれ以上の嬉しいことはない。
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