文学少年(変態さん)は世界最恐!? 〜明らかにハズレの【書誌学】、【異食】、にーとと意味不明な【魔術文化学概論】を押し付けられて異世界召喚された筈なのに気づいたら厄災扱いされていました〜
3.理の道化師達の暗躍にあっさりと気づきまして。
3.理の道化師達の暗躍にあっさりと気づきまして。
異世界ガイア生活一日目 場所辺境都市ダブルスティンカー近辺の森
「…………そんな……デタラメだ! こんなこと、ある訳がない。草子、君は僕達を騙そうとしているんだね……そうか、君が黒幕ということか。みんな、君に騙されている……操られていると、いうことだね」
責任転嫁と記憶改竄、ここに極まれりってか?
しかし、その見た目……どう考えても勇者には見えないぞ?
聖剣は
「オタク……許さねえェ! 俺の、俺の美春をォォォォ!!」
そして、本性を現した誠司……あっ、やっぱり独占力強い系脳筋さんでしたか。
勇者(笑)と同じく脳筋(笑)も呪われております……脳筋って元々差別用語だから(笑)つけてもあんまり意味がないね。
「ねぇ、二人ともどうしたの! ねぇ、何が起きているの?」
「あれあれ? 一人だけ負の感情に囚われていない人がいるぞ? てっきり三人纏めて堕ちると思ったんだけど……ってか、こういうのは
「あの……草子さん、一人で納得しないでください。あれは……一体何が起きているんですか?」
「あっ、あれ? 負の感情のコントロールが効かなくなってカースシリーズが解放された的な? ……さて、冗談はここまでにして、あれは勇者召喚の際に召喚された全員に埋め込まれた怨嗟核……まあ●呪核的なものです。負の思いを力に変換する核ってところかな? しかし、勇者に使うってどう考えても悪手だよね? もしかして、闇堕ちありきで勇者にしたとか? まあ、凡人どころか底辺な俺にエリート様の考えはさっぱりわけわかめなので、理由は分からないっすけど。しかし、英里さんだったっけ? 良かったっすね、この結果はまだ引き返せる位置にいたってことですよ。この二人はもう引き返せないけど、怨嗟核が本格的に発動する前に気づけたってのは割と幸運だったと思うよ、うん」
「……草子さん。つまり、今の私達にもあの呪いがあるということですか?」
「いや、なんでそんな話になるの? 美春さんと裕翔さんに埋め込まれた怨嗟核なら初対面の時に〝
「…………もう、なんでもありね」
いやいやまだまだスマホTAROさんには勝てませんよ? あはは、別に勝ちたいとも思わないけど??
ちなみに、〝
瞬間移動で引き寄せており、物体の中に収納されているものでも、引き寄せられる。
引き寄せるものの座標を知る必要がある。……ぶっちゃけ他のスキルとかと併用しないと意味ない奴だよね。
「…………お願い、します。二人を助けてください」
「えっ、なんで? 敵意と害意を向けてくる上に自己中で助けたところで百害あって一利なしじゃないか? 殺意を向けてくる奴はお隠し様じゃないけど殺すよ? 生憎と敵まで行かずほど聖人君子じゃないんでね」
渾沌石を変形して魔剣に変形する。さて、やりますか?
「さあ、勇者様。お望み通り異世界の魔王――能因草子が相手になってやるよ。ってことで、その脳筋(笑)はよろしく」
「了解です、草子さん」
「後衛は任せて、裕翔君」
さて……異世界の勇者様はどれくらい強いのかな? ワクワク、ドキドキ。
「もうやめて!! なんでこんなことになるのよ!!!」
「えっ? 自業自得? お前らがやってきたことが因果応報で返ってきているだけっすよ? ……友達って強制するものじゃないと思うんだ? まあ、友達がいないぼっちな俺に言われても全然説得力がないだろうけど。……あっ、戦う気があるなら加勢したら? あちらさんに。……安心しろ、殺してなんかやらないよ? 死んで楽になるとか選択肢はねえからな」
魔剣を手の中で回転させ――。
「終末を導く六叉の槍となりて、万象を貫け――《
六叉に分かれる漆黒の槍のように斬撃を放つ。
……ちっ、回避されたようだな。なかなか素早いな。
「――
うん、見た目は禍々しいし、どう考えても光が反転して闇属性になっているから
流石に勿体ないし、後は【主我主義的な創造主】で創り出した白剣で充分か?
「比翼白剣――堕天比翼・三十連剣」
ユーゼフの堕天騎士闇堕ちモードの技を模倣し、更に改良を加えた連撃を勇者(www)に叩き込む。
「〝巡れ、廻れ、生々流転の円環世界。移り変わる命の裡に秘めたる聖なる力よ。我が命に秘められし原初の命より受け継がれし愛。その慈愛に満ちた輝きを顕現し、全ての我が同胞を癒し、生きる力を与え給え〟――〝
「〝巡れ、廻れ、生々流転の円環世界。我が母なる大地に宿りし聖なる生の力よ。全ての命に秘められし原初の命より受け継がれし愛。その慈愛に満ちた輝きを顕現し、全ての命に癒しの祝福を与え給え〟――〝
範囲回復魔法と永続的に回復効果をもたらすフィールドの生成、完了。
ねぇ、今、どんな気持ち? 生殺しにされてひたすら斬られ続けるのって、どんな気持ち? ねぇ、ねぇ、どんな気持ち? どんな気持ちなの? ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ??
「……ん? 呪纏刻印も真っ赤に輝いておりますなぁ。……効果は呪いにより身体能力を上昇させる刻印で負の感情を増幅するってところかな? これっていつ誰に与えられたものか俺はそれを知りたいんだけどね」
「…………草子、さん。もし、そのことを教えたら……二人を、助けて、くれませんか?」
英里から懇願が来ました。……おっ、願っても無いチャンスだ。
「おーい、二人……いや、裕翔さんの方はどんな感じ?」
「〈アサシネーション〉!! ――拒武圏!! ……あっ、大丈夫です。一人で十分なんで美春さんには魔物の方をお願いしました」
「〈覇焰烈装・炎烈纏・天地鳴動破城拳〉ッッ!!」
あの脳筋(笑)、学習能力が低いな。拒武圏でダメージが返ってくるのにそこに攻撃するとか……。
「あっ、いいっすよ? その代わり、ンュチーォフさんって奴の情報をくれ。その情報次第では怨嗟核と呪纏刻印を消し去ることを考えてやらないでもない」
「わ、分かりました」
英里の情報によると、勇者として国内を回っている途中に寄った宿屋でンュチーォフという紳士風の男が現れ、「裕翔が美春を攫った」という話を聞かされたらしい。
「私なら、裕翔を倒して美春を救うための力を与えられる」とも……で、それに乗った結果、呪纏刻印を刻まれたと…………馬鹿なの? 典型的な詐欺の手段じゃん。甘言には必ず罠が張ってあるのだよ。裏の意図が透けて見えるじゃん。
「まあ、なんとなく分かったよ。じゃあ、約束通り三人分解除してやるか。〝
まずは、三人分の怨嗟核を取り出します。
「〝全ての術呪を打毀せよ〟――〝グラム・デモリッション〟」
次に呪いや術式を破壊する【破壊魔法】を発動して呪纏刻印を破壊します。
「《神代概念魔法・
そして、最後に《概念魔法》を発動して勇者(笑)と脳筋(笑)が美春と裕翔を認識できないようにします……はい、終了。
「…………あれ? 僕は何をしていたんだ? …………裕翔君は、美春はどこに行ったんだ?」
「おいどうなっている!! 草子だったか! 貴様が二人をどこかに隠したのか!?」
思った通り、二人は完全に裕翔と美春を見失ったようだ。
《
レベルとしては【
「気安く触れるな」
あっ、今のは《概念魔法》じゃなくて【法則ノ王】で発動した【抗えぬ揺らぎ】です。
いや、脳筋(笑)に首根っこ掴まれて苛立ちを感じましたので。
「とりあえず、英里さんでしたっけ? ご協力感謝致します。まあ、この二人は幼馴染の好みとやらで末長く支えてやってくだされ。まあ、あれなら二発目の《
「……そんなことしなくてもいいわ。裕翔君……今までごめんなさい。謝って済む話だとは思わないし、許してもらいたいとも思わない。…………美春さんのこと、よろしくお願いします」
「ああ、言われるまでもなく護るよ」
ふう、これで決着……? いえ、残念でしたまだ終わりません。
「さて……そこで見ているんだろ? 元凶さん。勇者(笑)と脳筋(笑)と幼馴染(笑)が暴走したところで上手く身体を乗っ取るなり駒にするなりしようとしたんだろうが……ずぁんぬぇんでしたっ!」
「えっ!? 私って幼馴染(笑)扱いだったの!!!」
今更ツッコミを入れる英里は無視、無視無視よ。
虚空から現れたのは、燕尾服とチェック柄のシルクハットを身につけた似非紳士。チェック柄の杖を持ち、不敵に嗤いを浮かべた。
『ご機嫌麗しゅ〜目付きの悪いお兄様ァ。イヤぁ、予想外でしたァ予想外でしたァ、まさカ私の存在ヲ完全に予想するトハ。フフッ、なかなかやりますネェ。クローヌ王国の勇者どもとは大違いィ。イヤぁ、実に、実にスバラシイ!! 私、ゾクゾクしてきましたァ!!』
「誰が目付きの悪いお兄様だ! というか、お兄様って言われるとどこかのブラコンな雪の女王がとんできて凍らせられそうだからマジでやめてください!? で、どなた? て、聞くまでないか。……要するに〈
『ナカナカ鋭いデすネェ。生かしてオク訳には行きまセンねぇ』
二人目の似非紳士が現れた……うわ、二人目いるの? 二倍になるとウザさ倍増するからやめてもらいたいんだけどな。
『『失礼、名乗るのヲ忘れてオリマした。私の名はンュチーォフ=ブオルーイホ――神がいなくても世界は廻る。故に理不尽な運命を与える支配者気取りの神から世界を解放すべきだ、という信条を掲げる救世組織――〈
「ホイール・オブ・フォーチュン……運命の輪か。〈
二体のンュチーォフへと正対する。
『――時は来た! 異界の天使とガイアの女神! 二つの力を融合した神殺しのモノよ! 今こそ一振りの剣となりて全ての神を殲滅せよ!! ――
あれがンュチーォフの
しかし、口上で全てを言っているな。……女神、ねえ。もしかして、ンュチーォフの身体に取り込まれた上位精霊の正体は――。
「カタリナ=ラファエルの三種武器の一つ、久々に顕現したな。まあ、今回はここから先があるんだけど。――
高龗神と呼ばれる『日本書紀』に登場する神の名を冠したこの武器は、水の他に氷を操る効果を持つ。
まあ、この効果は【法則ノ王】で氷を操作する力を付与したってだけなんだけど。
『神殺しの闇で狂乱するがイイ!!』
ンュチーォフの目からドロドロとした闇が溢れる。その中には無数の小型の天使……うわ、怖え! 忠誠心の塊で俺が自害しろと言ったら本気で自害しそうなホンモノの天使の次に怖え!!
「俺が闇使いに負けると思った? 思った? ねぇ、思ったの?」
しかし、闇は溢れかえる寸前で突如動きを止めた。
「ねぇ、今、どんな気持ち? 必殺の力で狂乱させようとしたのに、格好つけて必殺技を発動したのに、瞬殺で無力化されるのってどんな気持ち? ねぇ、ねぇ、どんな気持ち? どんな気持ちなの? ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ??」
「「「「ウゼェ!!」」」」
なんか関係のないところからウザいという意見を頂いたんだが。というか、そこの勇者(笑)と脳筋(笑)、いつ発言を許した?
『神殺しの闇が封ジらレようト! 私には力がアル!! この
「……できるもんならやってみやがれ!!」
――万天分かつ陰陽 天より降りし雨は地に落ち 地より昇りし蒸気は天へと還る
――即ち陰陽とは對を成し 循環する森羅万象 世界の条理
――生々流転 陰の気と交わりて生まれ落ちた命 陽の気のみとなりて天に昇る
――輪廻転生 陽のみとなりし魂 陰なる魄のみとなりて生まれ出づる
――血より生まれし古の神 其は山の上を意味せし高 水を守護せし存在を意味せし龗
――今こそ我が呼び掛けに応じ 条理崩れし世界を救え
百を超える頭の蛟が剣先より現れ、一瞬にして凍りつき、氷の蛟へと変わる。
一斉にンュチーォフへと襲い掛かる蛟、しかし
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ンュチーォフ=ブオルーイホ
筋力:100000
耐久力:100000
神威:100000
邪耐:100000
敏捷:100000
体力:100000
知力:100000
幸運:100000
技能:杖術・剣術・神殺しの闇・憑依・甘言・精霊術【+闇属性適性】[+発動速度上昇][+威力上昇][+持続時間上昇][+連続発動]・時空遍在・鬼化[+堕チタモノ]
所持品:チェックスタッフ・シルクハット・燕尾服
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『この程度デスか? 拍子抜けデございマスねェ!! フフフ、ならばモットペースを上げていきますよぉ〜』
ンュチーォフ、自分に怨嗟核を埋め込み、呪纏刻印を刻んだか。……片手で剣を振るいながら器用なことをするな。
更に、鬼化を発動して元々堕ちてる側の存在が更に堕ちて反転して光堕ちすることなく更なる力をその身に宿して剣を振るう。
いや、割と剣が重くなってきたな。一撃一撃に乗ってくるダメージ量が格段に上がっている。
……まあ、でもインフィニットに比べたら大したことないよね?
「【性換者】発動」
「「「「――はっ?」」」」
いや、相手様も戦闘中に怨嗟核を埋め込み、呪纏刻印を刻むとかいう舐めプをしてくれたし、これは舐めプ勝負に応じないといけないかなぁと。
【法則ノ王】で霧を発生させる演出の間に素早く装備を変更して、準備完了。
「カタリナさんじょー☆ なんちゃって。――ンュチーォフ、貴方の悪行はここで止めてみせます!!」
「…………あの、草子さん。それ、いります?」
「英里様、幼馴染二人が骨抜きにされてしまったので嫉妬しておられるのですか? ……おい、裕翔。お前までデレデレになるな。奥さんに叱られるますよ? んでもって愛想つかされますよ?」
「いや、まだ結婚してませんし、美春さんが本当に俺なんかを好いてくれているのか自信がないのですが……」
「そんな鈍感系なお兄さんにお姉さんからアドバイスです。……裕翔さんが覚悟を決めて告れば、もしくは向こうから告られたのに返事をすればそれでめでたくゴールインなので、とっとと告ってきてください。物凄いもどかしい気分です」
「…………行ってきます。ありがとうございます、草子さん」
裕翔は美春に告白しに行ったようです。戦時中に何やってんだって言われそうだけど、もう邪魔者は消えたことだし末永くお幸せにってことで。
まあ、結婚生活は山あり谷ありだと思うけど。……まず、美春さんの大いなる愛を受け止めることから始めないとね。
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