四陣営戦争⑥

 ミンティス歴2030年 9月12日(異世界生活百二十八日目) 場所聖都、飛空戦艦エンリル


「【魔法剣・闇纏ヤミマトイ】」


Envelopperオンブルベ avecアベック les ténèbresテネーブル/Croissantクロワサン deドゥ luneリュンヌ envoyéアンヴォワイェ


 機動兵器デスマシーンの武装は少々気になる。

 サンプルに使うものに関しては【魔法剣】を使い、最小限の傷で確実に破壊することにした。


 幸い、レベル差があるおかげで機動兵器デスマシーンは一撃で倒せている。


「「「「「――〝爆裂魔法ハイパーエクスプロージョン〟」」」」」


 おっ、使徒天使が珍しく魔法を使ってきたか。

 しかし、【魔法無効】があるので特にダメージはない。


 とりあえず、機能を停止した機動兵器デスマシーンを亜空間に保存しておくか。


 さて、と。残るは使徒天使がひーふーみーよー……二十五体と、機動兵器デスマシーンが三種合わせて十四体、魔鉱金アウリカルクム自動人形ゴーレムが二十八体か。


「えっと……焼き尽くされろ? 〈煌閃束放ロス・オブ・ゴッド〉」


 【水操作】を使って凸レンズ状の水を生成し、そこに向かって【光操作】で収束した光を放つ。

 まあ、簡単に言えば“神●怒メギド”なんだけど、こっちは魔法じゃなくてスキルの組み合わせだから【魔法無効】を貫通できる……これなら、ヴァパリア黎明結社の部門長相手にも通用しそうだな。


 ちなみに、使徒天使達は蒸発した模様。流石に高熱に耐えられるほどの耐久力は持ち合わせていなかったらしい。


 そのまま進む。出てくる敵のレベルも誤差程度の変化しかないから特に苦戦することなく最深部に到達することができた。


【……まさか、ここまで来るとは思いませんでした、原始人。エンリは完敗しました、煮るなり焼くなり好きにしてください】


 意外とあっさり負けを認めるんだな。てっきり最後の抵抗をしてくると思っていたんだけど。


「原始人じゃなくて能因草子。……一応これでも機動要塞エレシュキガルと海洋母艦ナンムを突破しているから実力的には認めてもらえると思うけど。……エレシとナンもいるよ」


【久しぶり、エンリちゃん!!】


【久しぶりだな、エンリ】


【誰かと思ったらぶりっ子と脳筋ですか? ……二人に勝ったからって認められるとは思わないでください。その程度勝てて当然です】


「……いや、実際にお前も負けている訳だしあんまり他人のこととやかく言える立場じゃないと思うけど。……それで、俺の目的は理解できているよな? 自称・・天才さん」


【自称は取ってください。エンリは超古代文明マルドゥークの叡智の結晶にして、本物の天才AI。そこの失敗作と一緒にしないでください】


【草子さん、エンリちゃんこっちに連れてくるね】


【ということで、草子さん。一狩り行ってくる】


 何を狩るかは御察しの通りです……今、ドスンって鈍い音しなかった? 後、なんでエンリが涙目になっているの!?


【……ぐすん。やっぱり、脳筋です。暴力しか振るえないのですか!!】


【女なら言葉じゃなくて拳で語り合え】


【……ナンちゃん。普通の女は拳で語り合ったりしないよ】


「いや、それ以前になんでお前ら物理でやり合ってんの? 普通AIなら電子戦じゃないの? 今時の幽霊は電波も受信できるらしいし、お前ら幽霊に劣っているよ」


【草子さん、殴り合ったほうが早いだろ? そんなまどろっこしいことしているよりこっちの方が簡単だ】


【そう思っているのはナンだけですよ。安心してください、近距離戦を選んでボコスカにしてくるのはこの脳筋AIだけです。エンリは普通にハッキングしてジワジワ攻めます】


 まあ、見るからにもやしのエンリに肉弾戦は無理だよな。

 どっかの元陰険メガネ皇女様を彷彿とさせるけど、多分違うな。


【分かりました。エンリが負けたのも事実ですし、エンリも同行します。……これで三つの遺跡の鍵が揃った訳ですが、どこまで進展していますか?】


「えっと、バラシャクシュ遺跡ってところだけ? 後は魔王城地下にあるし、まず魔王城から順に回っていこうと思っているけど」


【ということは、エンリが鍵を持っているエパドゥン遺跡ということですね。……では、まずはそちらから参りましょう】


 とりあえず、これでエンリを獲得して三つ全部の鍵を手に入れた訳か。

 この中だとエンリが一番真面そうに見えるけど、案外抜けてたり、計算がミスるとテンパりそうな典型的なインテリタイプだからな。


 ……どいつもこいつも欠陥抱えているけど、本当にこいつら最新鋭の技術を持っていた古代文明のAIなのか?



【白崎華代視点】


 ミンティス歴2030年 9月12日(異世界生活百二十八日目) 場所聖都


 私達は草子君のパーティから追放された後、草子君に関する情報を集めながら聖都を目指した。


「……本当にごめんなさい、私達のせいで」


「ゼラニウムさんが謝ることではないですよ」


 確かに、一ノ瀬さんのパーティが今回の発端になったのは間違いない。ジュリアナさんを理由に私達を自分のパーティに引っ張ろうとしなければ、少なくともこの段階で草子君が自分のパーティから脱退することは無かった。

 だけど、それはタイミングが少し早くなったというだけのこと。いずれにしても私達は遅かれ早かれパーティから追放されていた。


「……どの道、草子君と私達の目的の違いから草子君が離脱するのは目に見えていましたから。それでも、私達は草子君と一緒にいたい――そういう我儘なんです」


「私は別にいいと思いますわ。草子様が地球に帰ることを望むのなら、白崎様達が草子さんと一緒に居たいと願ってもいい筈ですわよ。その気持ちが草子様を上回ればいいだけですわ」


 ……汐見君、そんな簡単に草子君の覚悟を超えるのは無理だと思うけど。


 いや、私達は今も草子君を愛している。その気持ちが決して弱くないと思っている。

 でも、草子君の地球に帰るという覚悟は、限界を超えて超越者デスペラードに至るほどのものだった。


 ……私達は超越者デスペラードに至っていない。その事実が、私達と草子君の覚悟の差を如実に表してしまっている。


「白崎さん。草子君の情報、見つかった?」


「聖さん、まだ何も見つかっていないよ。……一体どういうことだろう? 普通、ミンティス教国に居るなら、見かけた人がいてもおかしくないのに」


 聖さんは冒険者ギルドの情報網を使わせてもらいながら草子君の情報を調べているけど、あんまり状況は芳しくないようだ。

 まあ、相手が草子君だしそう簡単に見つかる訳がないんだけど。


 リーファさん、ロゼッタさん、イセルガさん、アイリスさんのグループ、朝倉さん、北岡さん、志島さん、一さん、柊さん、ミュラさんのグループ、進藤君、久嶋君、大門君のグループ、柴田さん、岸田さん、八房さん、高津さん、常盤さんのグループ、一ノ瀬さん、ゼラニウムさん、汐見君、ジュリアナさん、コンスタンスさんのグループに分かれて捜索を続けていたけど、これまでの定期報告会では一度も草子君に繋がる情報を見つけることはできなかった。


 聖さんも合流したところで、定期報告会を始めることになった。

 場所は聖都の冒険者ギルド。……草子君が行動を起こすとすれば間違いなく聖都だから、ここを離れる訳にはいかないんだよね。


 ちなみに、私はずっとこの聖都に留まり草子君の行方を追っている。


「……白崎さん、聞いてくださいよ。一ノ瀬さん、私達が居るのにまだ女の子をパーティに入れたいみたいなんです!」


 話は思わぬ方に進んでいた……えっと、ジュリアナさん。それ、ここで話すこと?


「そういえば、一ノ瀬さんって女性だけのハーレムを作ろうとしているんだっけ?」


「そうだよ。本当は白崎さん達にもボクの百合ハーレムに入ってもらいたかったんだけど」


「……それは断固としてお断りしますって前にも言いましたよね。……それで、一ノ瀬さんのお眼鏡にかなった被害者ってどんな方なんですか?」


「白崎さん、異世界に来てからズバズバ言うようになったよね……聞いたことない? 最近噂になっている大聖女アーク・ピュセルのカタリナ=ラファエル様。……今までに見たことがないような絶世の美貌を持った黒髪美少女……ボクも一目見た時負けたなって思ったよ」


「そ、それは確かに認めますけど……でも、一ノ瀬さんには私達がいるじゃないですか」


 はいはい、痴話喧嘩は向こうでやってね……って言いたいけど、少し気になるな。


「コンスタンスさん。それで、そのカタリナさんという人はどんな感じでしたか?」


「……もしかして、白崎さんも興味あるのか? そういえば、同じ系統の聖女ラ・ピュセルだったな……確か三人の従者を連れて旅をしていらっしゃった。とても柔和な笑顔を浮かべられ、困っているミント教徒に救いの手を差し伸べていらっしゃったよ。美貌は……失礼ながら、私達の中でも突出した、白崎さん、聖さん、リーファさん、一ノ瀬さん、ロゼッタさん、アイリスさん……いずれよ美貌も霞んでしまうほどだった。……嫉妬の感情すら湧かなかったよ」


 絶世の美貌を持つ聖女様か。……そんな人がこの国にいるんだね。


「その聖女様って前々からこの国に居たの?」


「それが、ここ最近突如現れたんだよ……なんでも女神ミント様に使徒として遣わされたらしくてな。女神ミント様から神器を与えられたそうだ」


 聖さんの質問のおかげで分かったけど、そのカタリナっていう人は怪しい。

 レーゲン君は女神ミントを救うためにミンティス教国を目指していた。ということは、カタリナさんが女神ミントから神器を与えられたって話と矛盾が生じる。


 その話だとごくごく最近、神器を得たということになるから……もし、それより昔に与えられていたのならもっと早く頭角を現している筈だからね。


「……その聖女様、明らかにおかしいですね」


『リーファもそう思ったかい? 実は僕も前々からその聖女が怪しいって思っていんだよ。……といっても、能因草子には関係しないと思ったから話していなかったけどね』


「そうなのクリプ? 私はただ美しい髪の人だなって思っていたけど……そういえば、私、その聖女様の髪を持っているよ♪」


 アイリスさんとクリプさんもカタリナさんを見かけていたんだ。

 ……というか、髪持っていたの!?


「アイリスさん、貴女の魔法でその聖女様の場所を探れないかな?」


「それくらいお安い御用だよ」


 アイリスさんは髪の毛を指に括り付けて水晶玉に触れる。瞬間、水晶玉が弾け飛んだ。


『……やっぱりか』


「……クリプ、もしかして何か知っていたの? なんで映らないの?」


『僕には魔法少女の適性が見えるんだよ。例えば、能因草子の場合は魔法少女になった瞬間にその余波で複数の世界が滅ぶって話は前にしたよね』


「いや、初耳だぞ。……まあ、聞いてもよく分からんがな」


「……それって、とんでもないわよね! 草子君って一体何者なの!!」


 進藤君の反応はいつも通りだな。

 ……志島さん、草子君って色々と規格外だから驚くだけ無駄だよ。


『問題はここからだ。ある時を境に僕は能因草子の魔法少女適正値を見られなくなった。……能因草子が超越者デスペラードになった瞬間から。同様に、イヴやカンパネラといった超越者デスペラードの適正値も見られなかった』


「……つまり、クリプさんはその聖女様が超越者デスペラードだと仰りたいのですか?」


『まあ、リーファと同じ結論に僕も達したってことさ。……あの聖女様は間違いなく超越者デスペラードの領域に至っている』


 確かにリーファさんとクリプさんの至った結論は間違っていないと思う。でも、正しくもないんじゃないかな?

 全く別のカタリナ=ラファエルっていう人が居るんじゃない。私達が良く知る超越者デスペラードがカタリナさんなら、全てが一つに繋がる。


「……クリプさん。そのカタリナさんが、草子君の可能性ってありませんか?」


「あっ、それあたしも思った」


 私と聖さんの見解は一致していたみたいだ。

 ……私もそんなのあり得ないって心の中で思っていたけど、聖さんは特に迷わなかったのか?


「確かにそれなら納得がいきますね。新たな超越者デスペラードが現れたって話よりも、草子さんがカタリナさんであるという話の方があり得る気がします」


『おいおい、三人とも何を言っているんだい? 能因草子とカタリナ……どう考えても二人の性質は正反対だろう?』


「そもそも、その能因草子は男ですよ。男が聖女ラ・ピュセルになれる筈、ありません」


 あっ、今一ノ瀬さんとゼラニウムさんと汐見君の目が泳いだ……そういえば、本当のこと話していなかったっけ?


「ジュリアナさん、この世界には性別を変更するスキルが存在します。私はそれを持っている人をこの世界で二人知っています」


「し、白崎さん。その話は――」


「一人は、そこにいる一ノ瀬さん。もう一人は草子君です」


「……一ノ瀬さん、どういうことか説明、頂けますよね」


 あっ、修羅場発生だ。まあ、説明せずに百合ハーレムパーティを作ろうとしていた一ノ瀬さんの身から出た錆だし、自業自得だよね。


「……酷いです。ずっと騙していたなんて」


「言い訳するようだけど、心は女だったから異世界に来てから体の性別を戻しただけなんだよね」


「……冗談です。一ノ瀬さんは一ノ瀬さんですから……それに、私、一ノ瀬さんを愛していますから、例え元男だったとしても関係ありません」


「いや、だからずっと心は女だって……」


「私、一ノ瀬さんが男でも関係ありません」


 あの笑顔、凄みがあるな。有無を言わさずって感じだよ。


『でも、能因草子が【性転換】スキルを使えるとどう証明するんだい? 君達は彼が超越者デスペラードになる前から彼のステータスを見られなかったんじゃないのか?』


「証拠ならあります。マイアーレ=ノルマンディー様です。彼女は元々ディスクルトゥ=ノルマンディーという伯爵家の三男でした」


「「「「「なんだって!!」」」」」


「……嘘、でしょう? まさか、あの完璧令嬢が男だなんて」


「志島さん……これって私達の女子力が男に劣るってことになるのかしら?」


「一さん、元々私達は腐女子……淑女の性質がある訳ないわ」


 ……これ、慰めた方がいいのかな? 三人とも勝手に自爆したけど。


『なるほど……つまり、カタリナの正体が能因草子である可能性は十分あるということか。なら、最近のカタリナの情報を掴めば何か分かるかもしれないね』


「そ、それなら、この聖都に居る筈だよ。実は『ボクの恋人になってください』って告白するつもりだった事前に情報を集めておいたんだ」


 ……一ノ瀬さんには後で言いたいことがあるけど、まあとりあえずそれは置いておこう。

 つまり、私達は見当違いの方を探していて、肝心の草子君が聖都に入ったことに気づかなかった可能性があるってことか……もし、本当にそうだったら私達全員無能ってことだよね。


 いやいや、まさか【性転換】を使って性別を変えて乗り込むなんて、誰も思いつかないよ。


「カタリナ様一行は、今日ミント正教会の教皇ポープに謁見するらしいから、今から神殿宮に乗り込めば――」


 私達は草子君に繋がる手掛かりを掴んだ。だけど、もう遅かったんだ。


「超帝国マハーシュバラ・国防陸軍、神滅分隊マハカーラ所属、ケリー・ブランクスだ! この戦争が終わるまでお前ら冒険者を拘束する」


 まさか、このタイミングで超帝国マハーシュバラが攻めてくるなんて。



「ま、魔族!! おのれ、魔王の手先め!!」


 冒険者ギルドにいた武器使いの冒険者が武器を構え、魔法使いは魔法の詠唱を開始する。


「はっ? なんで魔王より強い俺が魔王の部下にならなきゃいけねえんだ? 改めて自己紹介するが、俺は神滅分隊マハカーラの副将軍という大将軍インフィニットの一つ下の階級に位置する軍人だ。元アメリカ軍出身の転生者リンカーネーター。第三次世界大戦という本物の戦争を経験していない魔族どもと一緒にすると……ガチで殺すぞ」


 その睨み一つで冒険者達は竦み上がった。役者が違い過ぎる。


「ケリーさんでしたね。そこをお退きくださりませんか?」


 ロゼッタさん、度胸あるな。って、見ている場合じゃなかった。


「俺の話を聞いていなかったのか? 俺はお前らを戦争が終わるまで拘束するって言ったんだ。……悪いことは言わねえから今は出ねえ方がいい。裏側と俺達超帝国マハーシュバラの軍が対峙している。お前ら雑魚が飛び込んだって死ぬだけだ」


 あのインフィニット大将軍も来ているのかな? ……確かに、今の私達でもあの人には勝てない。


「ケリーさん、ご忠告ありがとうございます。しかし、私達は神殿宮に向かわなければなりません。草子君が、そこにいるかもしれません」


「……白崎華代だったっけ? 噂は聞いているよ。ここにいる有象無象よりは強えみたいだな。……だけどな、部門長との戦いを見たお前らには分かるだろ? 格が違えんだよ、格が。俺もまだ超越者デスペラードに至っていないから分かる。奴らの戦いは最早戦いと呼べる次元をとうに超えているんだ。……お前らが行ったところで足を引っ張るだけだ。それに、前回は見逃してくれたインフィニット様も今回は流石に見逃してはくれないだろうぜ。お前らが行ったところで徒らに能因草子の足を引っ張るだけじゃねえのか? そんなことも理解できていないとか、お前ら、仲間失格だと思うぜ」


 悔しいけど、ケリーさんの言葉に反論はできない。

 ケリーさんの言っていることは紛うことなき正論。


 ケリーさんは口は悪くても私達のことを本気で気遣ってくれている。

 でも……それでも、私は――。


「それでも私達は行かなければなりません」


「たく、しゃあねえな。戦うのは何人だ? まあ、何人であっても大国アメリカの力を宿すこの俺には勝てないけどな。――顕現せよ、最大の空母の名を持つ巨竜。最大火力で世界最強を知らしめせ――〈装甲祥瑞エクイプメント・ファンタズマル・ジェラルド・R・フォード〉」


 あれが、ケリーさんの〈装甲祥瑞エクイプメント・ファンタズマル〉。


「第四の特殊武装――ビームサーベル!!」


 早い! でも、インフィニットさんほどじゃない。


飛行十字架レタユシュクリースト――〝六方障壁ヘキサゴン・バリア起動オン〟」


「遅いわよ! 〈刻撃〉!!」


 ロゼッタさんがビームサーベルの斬撃を防いで、その隙に聖さんがケリーさんの背後に回って斬撃を放った。


「舐めんな!! 第一の特殊武装――防衛兵装ファランクス」


 まさか、聖さんの攻撃を予測してガトリング砲を撃つなんて。

 聖さんは何発か弾丸を浴びてかなりのダメージを受けたけど、命に別状は無さそうだ。……良かった。


「〝嗚呼、惨き戦場よ! 戦に身を投じ、生命を散らした殉教者達よ! 戦火に焼かれ焦土とかした大地よ! せめて、せめてこの私が祈りましょう! いつまでも、いつまでも、祈り続けましょう〟――〝極光之治癒オーロラ・ヒール〟」


 聖さんは回復させて態勢を立て直す。


「やっぱり回復役がいると面倒だよな。まあ、俺はお前らを足止めすればいいだけだけどよ。んじゃ、今度はこっちから行くぜ」


 ケリーさんが大きく地を蹴って加速した。

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