文学少年(変態さん)は世界最恐!? 〜明らかにハズレの【書誌学】、【異食】、にーとと意味不明な【魔術文化学概論】を押し付けられて異世界召喚された筈なのに気づいたら厄災扱いされていました〜
ほとんどがクズアイテムだしクズじゃないアイテムも下位互換だしこのアイテムの中で一体何を選べというのだろうか?
ほとんどがクズアイテムだしクズじゃないアイテムも下位互換だしこのアイテムの中で一体何を選べというのだろうか?
異世界生活八十三日目 場所パジャーシュ連峰、ザグラ山、獣人連合ザゾール
俺達が敵ではないことを理解してくれたらしく、獣人連合ザゾールに〝
それどころか……。
「お兄ちゃん、カッコいいな」
何故か子供達の人気者になってしまったようで、現在獣人の子供達に囲まれております。
いや、このモブキャラのどこがいいんだよ! もっとカッコいい奴いっぱいいるだろって、言いたい。
「お兄ちゃん、剣振って見せて!」
「あのカッコいい魔法、見せて!」
あのカッコいい魔法ってどんな魔法だよ! というか、こんなところで魔法は使ったら危険じゃん。
「仕方ないな。剣振ったら解放してくれる? 俺達も旅を続けないといけないから」
子供達は不承不承という感じで納得した。……全く、こんなモブキャラのどこがいいんだか? レオーネとかマーナとか、カッコ良さと美しさと強さを兼ね備えた人って沢山いるだろ? 俺はカッコ良くもなければ、美しくもなく、強くもないし、目つき悪い……欠点しかない。……って、ほっとけー。
殺すための剣技ではなく、魅せること意識した剣技を即興で生み出し、振るってみた。思いの外好評だったようだ。いつの間にか大人も増えてアンコールを求めてくる……あの、そろそろ進んでいいですか?
もしかしたら、獣人連合ザゾールを出発地点にしたのは失敗だったのかもしれない。
それから五回剣舞を見せ(
これがリーグチャンピオン補正? じゃなかったら、こんなどこにでも居そうなモブキャラに興味を持つ訳がないよね?
獣人連合ザゾールからザグラ山の山頂まではしばらく登りが続く。
出てくる魔獣の顔触れも変わらず、俺のターンが回ってこないのも今までと同じだ。ずっと白崎達のターンが続く……いつになったら俺のターンが回ってくるのやら。というか、これって俺の居る意味ある? やっぱり足手纏いじゃね!!
そして、それは下りも変わらない。新顔の魔獣が出てくることもなければ、俺のターンが回ってくることもない。俺のやったことといえば、〝
ステータスも弄り終わったので、今はスマホを起動し電子書籍を漁っている。……ながらスマホは止めるべきだって? いや、【五感強化】を使ってちゃんと周囲を見つつ、読書をしているから問題ない。【叡慧ヲ窮メシ者】の
二十五冊目の本が読み終わる頃には、無事ミンティス教国側に降りることができた。……って伝説の勇者たる白崎達がいるのに無事にこの程度の山越えできない訳がないんだけど。
とりあえず、【叡慧ヲ窮メシ者】を発動して近くの町や村を探すこと。ミント正教会とことを構えるとしても、まずは情報を集めないといけないし、な。
作戦については、今回はこれだというものは特に決めてない。ただ、直接乗り込むのはどうかと思うんだよ。
女神ミントが人質に取られているこの状況で派手に暴れたら、女神ミントを殺害される。
女神ミントは死んだところで消滅はしないが、代替わりすると人格が変わってしまう。となれば、それはもう女神オレガノの友人? の女神ミントではない。女神オレガノもそれは望まないだろう。
右も左も分からない女神を思い通りに育て上げることは十分に可能だ。
そうすることで、女神ミントをマジェルダに忠実な女神へと成長させることもできてしまう。そうなれば、マジェルダに強大な力を与えてしまうのは確実……当然ながら、それは避けなければならない。
相手に悟られずミント正教会の中枢に入り、内部からドッカーンってやれたら一番なんだけどな。なかなかそう都合のいい方法がある筈もなく……。
それに、ミント正教会だけに警戒をすればいいという訳ではない。世界のカオスを隠れ蓑にしているヴァパリア黎明結社は、ミント正教会が一強になることを良しとしないだろう。
もし、ミント正教会が力をつければ、それを削るために何らかの手を打ってくる筈。……既に間者を紛れ込ませている可能性も高いだろうな。しかも、部門長クラス。アレクのところに潜入していたイヴとカンパネラのように。
まあ、ヴァパリア黎明結社はあのレベルが参戦してくることを警戒しておけば問題ないだろう。今までの敵よりも遥かに強いが倒せない訳ではない。
後はなるようになるだろう。作戦なんて予想外の要素で簡単に崩れ落ちる訳だし、結局は臨機応変に対応してカバーできれば問題ないからね。……モブな俺にそこまでのスペックがあるか、そこがネックになってくるんだけど。
◆
異世界生活八十三日目 場所エシュガテの町
白崎達は冒険者ギルドに行くらしい。しばらく掛かるようなので、俺も町を探索して時間を潰すことにした。
当てもなく町を見て回る訳ではない。ちゃんと目的はある。
まあ、顔馴染みの行商人を見つけたからの会いに行こうってそれだけなんだけど。
「よぉ、久しぶり。元気にしてたか? 旅人さん」
「アルフレートさん、ご無沙汰です」
「そういえば、前回購入させてもらった魔法薬は大好評だった。すぐに完売しちゃったよ。定期購入したいところだが、俺は一箇所に定住せずに旅をしながら行商を続けたいし、無理そうだな」
「それは良かったです。今回も何か魔法薬を売りましょうか?」
「そりゃいい。どれくらいの薬までなら調合できる?」
……さて、どうしたものか。最高ランクの薬までとりあえず調合はできるが、そんなものを外に出すのは危険だ。
ヴァパリア黎明結社の手に渡る可能性も否定できないし……というか、そもそもこの人のステータス、ちゃんと鑑定できていないから、怪しいといえば怪しいんだよな。
まあ、多分悪い人じゃないんだろうけど。
「
「…….この辺りって最高ランクの薬ばかりじゃないか!! ……じゃあ、それ何本くらい用意できる?」
「それぞれ二百本が限界ですね」
まあ、実際はそれ以上作れる材料があるけど、とりあえずこのくらいということにしておこう。際限ないし。
「……じゃ、じゃあ。
勿論、とんでもない額ですよ。なんたって一般に製法が知られている魔法薬の中では最高ランクの薬ですから。
「ちょっと待っててくださいね。魔法薬、作ってきますんで」
行商人から見えない位置に移動して〝
「アルフレートさん。こちらでお間違い無かったでしょうか?」
「……確かに、
「……確かに、アルフレートさんにはお世話になっていますからね。一割引にします」
「それでも高い……金剛金貨10枚の一割引ってことは金剛金貨9枚だろう? もう少し、もう少し安くしてくれないか! うちの商品、安くするからさ」
「……じゃあ、三割引で」
この人、商売上手だな。まあ、俺の方は材料費ほとんど掛かってなくて、九十九パーセント俺の人件費なんだけど。……というか、元々値段が決まっているから、必然的に俺が儲かるというだけ?
「……で、何を買うんだ? 約束通り割引するぞ」
と言いながらアルフレートはアーデルスの
……えっと何々?
-----------------------------------------------
・棘付肩パッド
→トゲ付きの肩パットだよ! 凶暴性がアップするよ!
-----------------------------------------------
-----------------------------------------------
・魔法反射のマント
→【属性魔法反射】が付与されたマントだよ!
-----------------------------------------------
-----------------------------------------------
・防刃の服
→防刃素材でできた服だよ!
-----------------------------------------------
-----------------------------------------------
・防刃の帽子
→ 防刃素材でできた帽子だよ!
-----------------------------------------------
-----------------------------------------------
・対蛇のブーツ
→蛇系の魔獣に蹴り攻撃で与えるダメージが上昇するブーツだよ!
-----------------------------------------------
-----------------------------------------------
・魔力刀
→魔力で切れ味が上がる刀だよ!
-----------------------------------------------
-----------------------------------------------
・輝きのマント
→キラキラとしたエフェクトがつくよ!
-----------------------------------------------
-----------------------------------------------
・幸運の壷
→家に置くと幸せになれる壺だよ?
-----------------------------------------------
-----------------------------------------------
・幸運の石
→肌身離さず持ち歩くと幸せになれる石だよ?
-----------------------------------------------
-----------------------------------------------
・フェロモンの指輪
→異性の好感度が上がる? かもしれない指輪だよ!
-----------------------------------------------
-----------------------------------------------
・無限ロープ
→無限に伸びるロープだよ! でも強度は低いからすぐに切れるよ!
-----------------------------------------------
-----------------------------------------------
・シューリエカの
→アーデルスの
-----------------------------------------------
……うん、どこから突っ込めばいい? フェロモンの指輪から? フェロモンの指輪から突っ込めばいいの!!
とりあえず、棘付肩パッドがあるのに、釘バットがないことに突っ込めばいい? それとも、輝きのマント? これ、ピン●スターのキラキラロッド並みの無駄アイテムだよ! ……あれ、殴ると星が出るだけで攻撃力は皆無な武器だし。鈍器じゃない分、輝きのマントの方が劣る?
どうせなら、ピン●スターのキラキラロッド擬きと輝きのマントに「正義降臨」の文字が飛び出すエフェクトをつけたセットを売り出そう……相当うるさいキャラが完成するな。しかも、攻撃力には何も関係ないという。
防刃の服と防刃の帽子は、単に防刃素材で作ったというだけだから、万物を両断する効果には太刀打ちできない。というか、多分魔法で焼けば終了だ。
魔法反射のマントは確かに効果的だけど、上位互換の【属性魔法乱反射】ってのを見たことがあるしな。というか、属性魔法じゃあ、全ての魔法を反射できないし……せめて、乱反射だったら良かったんだけどって感じだな。残念。
対蛇のブーツは論外。そもそも蛇の魔獣自体少ないし……ドラゴンも蛇の一種ならまた話は別だけど。
しかも、蹴りのみだからな。まあ、ブーツ履いたから攻撃力が上がるとか意味が分からないけど。
魔力刀。切れ味が上がる……で、それがどうした? それ以外に特殊効果がないのなら、旨味はない。
幸運の壷と幸運の石……霊感商法か!? ……よく、あの目つき悪い男子高校生は買おうとしたよな。明らかになんの効果もないただの壺だよ。……最後に疑問符さん付いてるし。
最早お馴染みフェロモンの指輪さん……こんなんでモブキャラの好感度が上がる訳ねえだろ! しかも馬鹿高い。
無限ロープ……いや、すぐ切れたら意味なくね。何のためのロープだよ!
真面なのはシューリエカの
「なんか気になるものあったかい?」
「……チェンジで」
「マジか。……やっぱり旅人さんはお目が高いな。普通の男ならフェロモンの指輪とかに引っかかるんだが。……じゃあ、とっておきの品を出すか。これなら、文句無しだろう」
……なんだ、あるんじゃねえかよ。なら、勿体ぶらずに出せよ!
-----------------------------------------------
・混魔核
→光と闇、相対する属性を持つ魔核だよ! 魔核よりも高い性能を誇るよ!
-----------------------------------------------
「なかなか手に入らない貴重品だ。まあ、加工しないと魔道具にはならないけどな」
魔核は別名、コアとも言われる。入手方法は人造魔獣をぶっ殺して手に入れる、特殊な技術を用いて魔力を魔核へと変化させる、自然界で唯一魔核を持つスライムから手に入れるの三つだ。
といっても、スライムの持つ
人造魔獣に使われているのもピンからキリだが、恐らく迷宮で戦ったあの魔獣三体から手に入れた物に勝るものはない。
と、なると最後は自力で作るのだが、相当な才能と魔力がなければあれほどのものは作れない。
この混魔核は恐らく俺の保有する魔核を凌駕する力を持っている。……購入しない手はないな。
「それじゃあ、この混魔核を買うよ」
「金剛金貨10枚ってところだが、金剛金貨7枚に負けるよ」
……結局プラマイゼロかよ。なんか上手く丸め込まれたみたいだぜ。
全く、この人には勝てる気がしないよ。
「んじゃ、俺はそろそろ行くぜ。いいもの仕入れることができたからな」
そう言い残し、アルフレートは馬車を走らせエシュガテの町を去っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます