文学少年(変態さん)は世界最恐!? 〜明らかにハズレの【書誌学】、【異食】、にーとと意味不明な【魔術文化学概論】を押し付けられて異世界召喚された筈なのに気づいたら厄災扱いされていました〜
スキルも職業もないのにLevel310に至った人達はただの脳筋じゃなくて賢いとか莫迦とかでは計れない思考放棄をしている脳筋だった件。
スキルも職業もないのにLevel310に至った人達はただの脳筋じゃなくて賢いとか莫迦とかでは計れない思考放棄をしている脳筋だった件。
異世界生活五十八日目 場所ジェルバルト山、三合目、三合目村、山の宿 三合目
昨晩は、リーファを三合目村の宿に送り届けてから屋敷に戻ってそのまま寝た。
ヨーグルト作りはかなりいいところまで進んだが、リーファと“精霊王”の試練巡りの約束をしてしまったから暫くできそうにない。
まあ、残り四体らしいしそんなに時間は掛からないだろう。……問題はそれよりもリーファが睡眠時間を削って“精霊王”の試練巡りをしているから、日中かなり疲れていることだ。
体力の方は問題ないだろうが……眠気のせいで足を踏み外してそのまま転げ落ちるようなことにならないか心配だ。
えっ、俺? いや、別に問題ないよ?
多分今の状態だと最高で十二徹くらいはできそうだし……怖いな、バグったステータスって。社畜まっしぐらだ。
本日の目標は山小屋のある五合目だ。ジェルバルト山の登山にも慣れてきたのでもう少しペースを上げてもいいような気もするが、今回目指す五合目までの間にある四合目には、あの茸の群生地がある。
ルルードからも「ジェルバルト山に登るなら、茸を取ってきてください。魔法薬の材料に使いたいので」って言われたし、俺自身貴重な魔法薬の材料である茸を見逃すつもりはない。
そういえば、ルルードが「ジェルバルト山には伝説の薬草があるらしいですよ」って言ってたっけ? まあ、あくまで噂らしいけど火のないところに煙は立たないし、もう少し上の方の山小屋で聞き込みをしてみるか。噂によるとジェルバルト山でもかなり標高の高いところにあるらしいからね。
……しかし、嫌な予感がする。
なんか四合目の茸之原に人間っぽい反応が三つあるんだよね。
……一応報告する?
「えっと、目的地の一つになっている茸之原に人間っぽい反応が三つある。……囲まれているっぽい?」
「草子君、このパターンは!」
おっ、柴田さんいい感じてるな。俺も丁度そうじゃないかって思っていたところだよ。
「……あの、草子君。勝手についてきている手前、あんまり強くは要望できないんだけど、その人達を見捨てずに助けてくれないかな」
そういえば、岸田って前に奴隷商人に捕まっていたっけ? あの時の自分と重ねているのだろうか?
まあ、俺が偏見を持っていた部分もあるようで、実際柴田達はそれほど酷いやつらでも無かったみたいだからね。
「いや、そもそもだよ。今日って俺達が異世界に召喚されて五十八日なんだわ。ここまで生き残っているってことはある程度異世界に順応しているってことになる。囲まれているけど、そもそもこの辺り一帯の魔獣を狩れないなら、もう死んでることになるよね? だから助ける助けない以前に助ける必要はないと思うよ? どうせ茸を取りに行かないといけないし、今回は避けようがないな」
これが強制イベントって奴なんだな。外れじゃないことを祈るぜ。
と、その前に邪魔な魔獣を倒さないといけないな。
出現する魔獣は三合目も四合目も大差ない。出現する魔獣も大体五十台だ。
まあ、四合目まではレベル二十でも登るらしいし……まあ、それも魔獣との戦闘を避けるか、凄腕の冒険者を雇うのが前提だけど。
ただ二十レベルなら四合目までは登れる体力があるというだけで、実際に無茶をやって何人も死んでるらしいからな。やっぱり安全パイで行くならレベル六十くらいは必要だな。
まあ、白崎達には関係ないけど。一番低いロゼッタも既にレベル六十は超えてるし。
今回もいつも通り白崎達が全ての魔獣を討伐した。
全くやることが無かったな。……もう本当に俺、いらないんじゃね!!
ちなみにリーファはファンテーヌを顕現せずに戦っていたみたいだ。全ての“精霊王”と契約を交わしてから、白崎達に“精霊王”達のことを話すつもりらしい。
まあ、別にどっちでもいいんだけどね。リーファって“精霊王”の力を借りなくても十分強いから。
そして、遂に目的地の一つ――茸之原には事前に調べた通り三人の人影があった。
囲まれているな……ビッグフットに。あっ、全滅した。
あの三人は……えっと、脳筋三人衆? 名前を忘れているってことは別に大したことないんだろう。
えっ? 出会った当初は白崎達の名前も忘れてたって? その時は白崎達のことも大したことないと思っていたんだろう……というか、クラスの奴ら全員にそんなに思い入れが無かったし。
「……えっと、あいつら誰?」
「もしかして……そっか、やっぱり忘れちゃっているんだ。というか、そもそも覚えてないんだっけ? サッカー部の進藤臨君、久嶋康弘君、大門龍次郎君だよ」
白崎は覚えていたようだ。凄いな、流石は委員長!
「……というか、草子君ならステータスを見れば一発よね」
柴田がジト目を向けてくる……いや、まあそうなんだけど……今から見ます。
………………えっ、どゆこと!?
◆
「おっ、能因じゃねえか! 無事だったのか! というか、白崎さんや柴田さんも一緒なのか! もしかして和解したのか! というかあの後どうなったんだ!!」
五月蠅え、マジで五月蠅え、鳴呼、五月蠅や、五月蠅や。
声がでかい上に一度に畳み掛けるように質問するなよ。
ってか、なんで俺のこと知ってんの! 俺は脳筋としか認識してなかったのに。
変態性が有名になってことか。悪目立ちしてたって言いてえのか、コノヤロー!
「……えっと、人違いじゃないでしょうか? 俺は
「「「「「「「「「「「「そんな訳ないでしょ!」」」」」」」」」」」」
十二ツッコミだ! それにしても毎度毎度よく合わせられるな。
「……というか、橘永愷って誰? どこから来たの?」
「橘永愷は能因法師の本名だよ。平安時代中期の僧侶・歌人で和歌に堪能だった人物だ。まあ、分かる人には分かるボケ?」
「草子君、かなり歴史か文学に精通した人にしか分からないネタですわ」
まあ、そうなんだけどね。でも、偽名って簡単に分かったら偽名じゃないだろう?
「というか、よく覚えてるな。こっちは忘れてたってのに」
「そりゃ覚えているよ。ほら、織田達とよく一緒に居ただろ? 仲良いんじゃないのか?」
「……アイツらと一緒にすんな、殺すぞ??」
「草子君、クラスメイトみたいだから流石に殺すってのは……あっ、ダメだ。目が殺る気満々だ」
聖よ、分かっているではないか。殺すと言ったら俺は殺す男だぞ?
「……なんで怒っているんだ?」
「俺はあのオタクどもと一緒くたにされたくねえんだよ。アイツらは金輪際関わりたくないランキング堂々の第一位だ。ちなみに第三位とは一応? 和解したっぽい?」
「「「「「ちゃんと和解したつもりよ! ……だよね?」」」」」
疑問を疑問で返すってアウトだからね!
「そういえば、謝らないといけなかったわ。ごめんなさい、クラス召喚された時は不安でみんなの気持ちを考えずに当たり散らしてしまったわ」
「まあ、俺達も面倒で放置してきた組だからな。本当に謝るべき委員長達に謝ったんなら、別にいいんじゃねえか?」
進藤達とは無事に和解できたようだし、さてそろそろ聞きますか?
「ところでさ、お前らって何者なの?」
俺以外の全員の目が点になったような気がした。
「草子君、何を言ってるの? 進藤君達は進藤君達よ!」
「白崎さん、そういうつもりで言ったんじゃないよ。……歪なんだよ、進藤達のステータスは」
さっき名前を調べるついでにステータスを確認した時に気づいた。
この三人のステータスは明らかに歪だって。
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NAME:進藤臨 AGE:16歳
LEVEL:310 NEXT:10000000EXP
HP:79000/79000
MP:78000/78000
STR:78000
DEX:77000
INT:1
CON:79000
APP:30
POW:80000
LUCK:100000
JOB:-
SKILL
ITEM
・五叉槍ブリューナク
・学生服
・HP茸×999
・MP茸×999
・力茸×999
・敏捷茸×999
・守茸×999
・精神茸×999
・幸運茸×999
NOTICE
・通知一件
→未使用のポイントが後1900000あります。
-------------------
-----------------------------------------------
NAME:久嶋康弘 AGE:16歳
LEVEL:309 NEXT:9000000EXP
HP:69000/69000
MP:80000/80000
STR:62000
DEX:80000
INT:1
CON:60000
APP:30
POW:65000
LUCK:50000
JOB:-
SKILL
ITEM
・
・学生服
・HP茸×999
・MP茸×999
・力茸×999
・敏捷茸×999
・守茸×999
・精神茸×999
・幸運茸×999
NOTICE
・通知一件
→未使用のポイントが後1600000あります。
-----------------------------------------------
-----------------------------------------------
NAME:大門龍次郎 AGE:16歳
LEVEL:309 NEXT:11000000EXP
HP:90000/90000
MP:59000/59000
STR:40000
DEX:40000
INT:1
CON:120000
APP:30
POW:40000
LUCK:30000
JOB:-
SKILL
ITEM
・
・学生服
・HP茸×999
・MP茸×999
・力茸×999
・敏捷茸×999
・守茸×999
・精神茸×999
・幸運茸×999
NOTICE
・通知一件
→未使用のポイントが後1700000あります。
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レベル310って竜神ア●ンカグラでもぶっ殺して竜●谷でも支配したのかってレベルだな。
にも拘らず、スキルが一切ない。ここから考えられるのは――。
「……もしかして、自前の運動神経だけでこの世界の魔獣と渡り合ってきたのか?」
「そうだが? スキルとか魔法とか言われてもよく分からん。武器を振り回す方が分かりやすいだろ? というか、ここはどこなんだ?」
もうやだ、頭痛い。よくここまで生きて来れたな。
まあ、環境が良かったんだろう。ここには茸が山のようにある。それでステータスを上げながら魔獣を倒してレベルアップしていけば、素のステータスでも敵と渡り合えるようになる。
もし転送先が迷宮だったりしたら死んでたな……あれ? 俺、迷宮に飛ばされたのに死んでないよ!?
「……ここはジェルバルト山……って言っても分かんねえよな。だって脳筋だもの」
「酷え評価だな! 俺らだって馬鹿じゃねえよ!!」
大門の言葉に進藤と久嶋が頷いている。
「……草子君、進藤君達って別に成績が悪い訳じゃないよ」
「……えっ、そうなの?」
どうやら、進藤達も別に莫迦ではないようだ。
……う〜ん、もしかして世間でいうところのオタク知識と呼ばれるものを全く知らないだけ? 理解力はあるの?
「細かいことはよく分からん。細かいことは省いて説明してくれ」
あっ、思考放棄だ。……賢いとか莫迦とかそれ以前の問題じゃん。
「地理については説明しても無駄だと思うから割愛、魔法とかスキルの話も理解しようとしないだろうから割愛。……なんで進藤君達を見て驚いたかだけ説明するよ……はぁ。ステータスって概念は知ってるか? ここにレベルって指標があって、それが最高で310になっているんだよ」
「「「「「「「「「「「「「『れ、レベル310!!』」」」」」」」」」」」」」
十四ツッコミだ! ……というか、そんなに凄いことでもないだろう?
「ん? そんなに凄いことなのか?」
「どうだろう? ユェンはレベル480だったし、地下迷宮の最下層にいた
「草子さん、比較対象がおかしいです」
別に誰かは比較対象にしてはいけないってルールがないから問題ないよね。モブキャラの俺なんてレベル∞だせ!? 意味分かんねえよ。
「レベルとステータスは異常に高いが、JOBとSKILLが空欄だ。つまり、ここまでの五十八日間、スキルや魔法に頼らず持ち前の運動神経だけで魔獣達と戦ってきたことになる……お前らだけだぞ、スキルのシステムアシストに頼らずに魔獣をボコスカにしてるのは」
……まあ、それでも限界がある。範囲魔法みたいな広範囲に強制的なダメージを与えられた時の対抗手段がないのだ。
……というか、テンペストウルフとかブラックサンダー・マンティス相手によく戦えたな。
「とりあえず、俺はこの辺りの茸を取ってから山越えを目指すけど、そっちはどうするんだ?」
「俺達もそろそろ山を降りようと思っていたところだ。知り合いがいるところだと気が楽だし一緒に連れて行ってくれないか」
……マジですか。いや、そうなることは分かっていて質問したけど。
「まあ……しゃあなしだな。白崎さん達はもう一度クラスを一つに纏めるために旅をしているみたいだし? ……頼むから迷惑掛けてくれるなよ? 合流してから進藤達の評価、だだ下がりだからな」
俺は理解して学ぶ意欲がある奴には、努力を惜しむつもりはないけど、思考を放棄してできる奴に任せるタイプは自分自身にやる気がないからそいつのために努力するのが嫌になるんだよ。
でも、ある程度強くなってもらわないと白崎達に迷惑掛かるな……後でコイツらに適したメニューを考えよう。
しかし、コイツら喋らなければカッコいいイケメンなんだよな……しかも運動神経抜群と来たもんだ。
陰キャラぼっち文学少年な俺とはとことん相性が悪い。……白崎達もこういうイケメンに恋するのだろうか? ……いや、案外悪くない? 絵的には似合っていそうだ。
必要な茸を収集し、皮の袋に詰め込んでから登山を再開する。
今更だが旅の主導権をモブキャラな俺が握っているのって、本当に大丈夫なのか? まあ、宿代とか回復薬とかは俺が出してるから、寄り道のし過ぎはそれで許してください!!
出てきた魔獣も俺以外のメンバーだけで撃破されていった。今回は進藤達も戦いに参加できてなかったから、仲間? がいただけマシだったと思う。
というか、勇者パーティの取り巻きなモブキャラがお荷物って意味ないよね。
…………そろそろ、戦いに参加した方がいい?
◆
ジェルバルト山の五合目にある山小屋に到着した。
俺以外のメンバーの宿泊依頼をしつつ、早急に進藤達を風呂に入れてもらえるように頼む。
……いや、だって臭いんだよ。三日入っていないとかだけで不潔だなって思うけど、それが五十八日だよ! しかも水浴びとかはしてないらしい。
飲み水は近くの沢で手に入れたようだ。
今更だけど茸と水だけでよく生き残れたな。ちなみに茸狩り目的で茸之原を訪れた者達からは奇異な目で見られていたようだ。しかも言葉とか通じないし?
そういえば、茸之原で茸を貪り喰う野生児三人がいるって噂あったっけ?
ちなみに、翻訳魔法は掛けておきました。言葉通じないって不便だよねー。
「ジェルバルト山には伝説の薬草があるという噂を聞いたのですが」
山小屋の山男さんに宿泊依頼をするついでにあの噂のことを聞いてみた。
「ん? マウラ草とかエジリオ草とかヒポクテ草のことか?」
……あの、物凄い聞き覚えがあるんですが! 豚草姫さんの異世界モノや転生したらスライムだった奴とかで。
ん? でも、マウラ草は熱冷ましでエジリオ草は湿布薬じゃなかったっけ? というか、ラウラ草と名前が似過ぎで紛らわしいわ!
「まあ、あくまで噂だけどな。この山には珍しい薬草が生えるそうだ。かなり高レベルの鑑定士が鑑定したところ、そんな名前が出たって噂だ。……だが、名前以外はさっぱりで、その薬草を使用した魔法薬の製法も分からないそうだ……鑑定士が【鑑定】しても詳細が出ないってこと、あるのか?」
ねえ、山男さん知ってます? 【鑑定】の上に【看破】ってのが在るんですよ。
多分普通の【鑑定】じゃ鑑定できないんですよ。【神の目】とか【羅神眼】とかが必要なんじゃない?
「ところで、そんな若いのに凄いな。もしかしてどっかの国の凄い薬師とかなのか?」
「いえ? ただの旅人ですよ。ただ知り合いに凄い薬師がいて、その方に薬草の調査を依頼されたので。後、趣味で魔法薬を作っているので」
「もしかして駆け出しの薬師って奴なのか? もし良かったら魔法薬、売ってくれないか? こういう山小屋はいつだって物資不足だ。荷物をここまで運ぶのは大変だからな。それに、山での生活は常に危険と隣り合わせだ。……それに、この辺りからは凶悪な魔獣なんかも出現するようになる。魔法薬は喉から手が出るほど欲しい」
おっ、商売の匂いだ。もしかして、上の山小屋でも薬の取引できるんじゃないか? 薬って言っても胡散臭い奴じゃないよ!!
「どれくらいのものが欲しいかリストをくれたら、後はどうにかします。少々お安くしておきますよ」
「商売上手なんだな……ちょっと待っててくれ。今リストを書いてくる」
よし、顧客一人GETだぜ! えっ、お前もう金持ちなんだからこれ以上がめつく稼がなくてもいいんじゃないかって? ついつい癖で稼げると分かったらすぐに商売に動いちまうんだよ。
まあ、稼げる時に稼ぐのが一番だし、お金はいくらあっても困ることは無いだろう?
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