中世ヨーロッパが舞台の異世界ものの世界観に中華ファンタジーの要素である仙人が登場してもいいのだろうか? まあ天羽々斬とか武士が出ているから今更か。

 異世界生活十三日目 場所エルフの里


 その事件は、シャールと文通していたダークエルフの生家跡を訪ねてエルフの里に戻ってきた時に起こった。驚きはしない、最初から予想していたからね。寧ろ、遅くない? って感じだよ。


 というか、結局巻き込まれちゃったな。これに巻き込まれたくなかったからとっととトンズラしようと思っていたのに。……だが、仕方ない。図書館の誘惑には逆らえないのだ。


「リーファ=ティル・ナ・ノーグをこちらに寄越せ」


「と、明らかに敵対心剥き出しのエルフの方々が仰っていますが……行きます?」


「『「「「「行く訳ないでしょ!」」」」』」


 完璧な異口同音、ありがとうございます。……いや、別にこれっぽっちも嬉しくないけど。


「……じゃ、しゃあないか。族長の娘さんはそっちに行きたがらないそうです。もし、嫌でも連れて行こうとするなら――覚悟はできているよな?」


 皮の袋からエルダーワンドを取り出す。あえて杖の状態のまま剣のように構え、【威圧】を発動する。

 エルフ達は怯えながらも矢を番え、震える声で詠唱を開始する……えっ、街中で戦うの? 最早手段を選んでいる暇はないの? そんなところまで追い詰めたの一体誰だよ! 何人か涙目になっているよ! って犯人俺だった!! まさかの文学少年が苛めっ子に昇格!? いじめられっ子じゃなくて? あれー?


「「「「「――〝風よ、矢となれ〟――〝風矢ウィンドアロー〟」」」」」


 やっぱりエルフだから【火魔法】は使わないよな。街中で被害を拡大させないようにと最小限の配慮もできるようだな。……さて、どうしよっかな?


「〝全ての魔法を粉砕せよ〟――〝マジカル・デモリッション〟」


 エルダーワンドから鈍色の魔法陣が生まれ、エルフ達へと襲い掛かる。

 だが、エルフ達は特にダメージを受けた様子は無かった。……そりゃそうだろ。この魔法は魔法を破壊することで無効化する【破壊魔法】なんだから。


「魔法を無効化する魔法だと! 聞いたことがないぞ!」


「と、明らかに動揺しているエルフの方々が仰っていますが……無いの? 【破壊魔法】ていうくらいだし、魔法を破壊する魔法くらい普通にあると思ったんだけど」


「【破壊魔法】は物質に干渉して破壊する魔法よ! ……また、新しいジャンルを開拓したのね」


 リーファ達が溜息を吐いている。イミリアーナが衝撃のあまり固まっている。敵方のエルフ達は絶望に打ちひしがれている。――俺が一体何をしたっていうんだよ! ただ魔法を無効化しただけだろ! まだ誰も殺してないよ!!


「リーファさん、こいつらどうすればいい?」


「目的が分からないし、とりあえず捕縛かな?」


 いや、素人でも分かるだろ? もう自分達で言っちゃってるし。狙いはお前だよ、より正確に言えばお前から族長の座を奪うのが狙いだよ。


「ということで、捕縛らしいです。……〝風よ、暴虐の権化と化して蹂躙せよ〟――〝エアリアル・テンタクルス〟」


「〝棘持つ美しき花よ、蔓を伸ばして汝を捕らえよ〟――〝ソーンバインド・ローザ〟」


「〝凍てつく床よ〟――〝アイスフロア〟」


 素早く三つの呪文を詠唱し、暴風の触手で相手を捕える移動阻害系【風魔法】、荊棘によって敵を拘束する移動阻害系【木魔法】、床を凍結させるのと同時に敵の足元を凍らせる移動阻害系【氷魔法】を敵方のエルフ全員に向けて発動し、無事に拘束した。


「じゃ、とっとと知っている奴に聞きに行こうぜ。まあ、大体察しはついているけど」



 久々のティル・ナ・ノーグ邸の応接室。今回はリーファの母――ティターニア=ティル・ナ・ノーグの姿もあった。

 ……まあ、父がオーベロンなら母はティターニアだよね。何となく察しがついていたよ。ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『夏の夜の夢』の登場する妖精の王配と女王……あれ、もしかしてリーファの家って嬶天下かかあてんかなの?


「……遂に話さなければならない時が来たか。本当はもっと早く話さなければならなかったのかもしれないな。お前の弟について」


 オーベロンは語った。外面は姉を慕う好青年を装い、族長になるためには手段を選ばない狡猾で傲慢な性格を隠し続けた弟――ロビン=ティル・ナ・ノーグのことを。

 リーファはそんな弟の本当の顔を知り、激しい落ち込んでいた。……えっ、俺? まあ大体こうなることは最初から予想していたから。より具体的には族長って単語が出た辺りから。……だから速やかにエルフの里を脱出したかったんだよ。面倒ごとに巻き込まれたくなかったけど、もう遅い。……じゃあ、とっとと解決してこいつらを置いてエルフの里を出るとするか。


「それで、結局オーベロンさんはリーファさんとロビンさん、どっちを次期族長にと考えているんだ? ロビンさんにエルフの里の族長を任せたならエルフの未来はお先真っ暗だが、リーファさんも『もし族長になったらエルフの里をBL信者でいっぱいにします』とか政権公約マニフェストを掲げそうだし……どちらにしてもエルフの里は終わりだと思うけど」


「……正直、どちらに族長を譲るかを決めかねている理由はそれだ。リーファがまともであれば即決できたのに、これだぞ! これ! どうしてこんな娘に育ってしまったのか?」


「きっと私の教育が悪かったんですね。……ごめんなさい、リーファ」


「なんで三人揃ってお先真っ暗ムード醸し出しているんですかッ! BLのどこがいけないんですかッ!! 例え親でもぶっ飛ばしますよ!!」


「……いやだわ、リーファがグレちゃった。昔は『お母様、このご本読んで』って本を持ってきて私の膝の上にちょこんと座って私の読み聞かせを聞いていたのに」


 リーファが狂気の篭った視線を両親に向け、ティターニアはグレてしまった一人娘の姿に泣き崩れ、オーベロンは族長に相応しいとは到底思えない二人の子供に溜息を吐いた。修羅場だな。家庭崩壊だな。カオスだな、異世界カオスだけに。……あれ、この元凶俺じゃね? もしかして、異世界カオスをカオスにしている元凶って俺なの? もしかして、俺勇者に討たれちゃうの? 嫌だな、とりあえず討たれる前に討たないとな。……とりあえず手近な勇者白崎一行からで。


「……そもそも、なぜ族長が世襲制になっているのか甚だ疑問なんですが。普通は信頼に足る人物を指名して、その人が族長になるんじゃないんですか?」


「「「えっ?」」」


 あれ? もしかして、こういうシステム存在しないの? 確かにほとんど全ての国が間接民主制を採用しているけど、スイスは直接民主制を重視していた筈だ。……まあ、直接民主制に拘る必要は無いんだけど。


「……草子君。多分この世界は中世ヨーロッパレベルだと思うよ。だから、絶対王政が基本で民衆の中からリーダーを選出するシステムは無いんじゃないかしら?」


 確かに白崎の言う通りかもしれない。……でも、確か直接民主制の起源は紀元前八百年ごろの古代ギリシアの民主主義政治にあるって言うからな。あってもおかしくなくね?


「……まあ具体的な話は後にして、まずは片づけるべきを片づけた方が良さそうだな」


 【気配察知】、【魔力察知】、【熱源察知】、【振動察知】、【危機感知】の五つに引っかかったのは総勢五十人。……結構いるな。わざわざ倒されるために出向いてくるとかお疲れ様です、ご苦労様です、ご愁傷様です。

 しかし、いくら姉が憎いとはいえ自分の生家の前で仕掛けるかよ、普通。



 ティル・ナ・ノーグ邸の前には五十人の年若いエルフ達がいた。そして、見るからに傲慢そうなエルフの男が一人……あいつがリーファの弟のロビンって奴だな。ステータスを見なくても分かる。

 顔立ちこそリーファと同じく整っているが、その顔からは傲慢さがこれでもかと滲み出ている。リーファからはこれでもかとBL好きオーラが滲み出ている。……ダメだな、この姉弟きょうだい


「おい、部外者。とっととリーファを出してすっこめ、でないと痛い目を見ることになるぞ」


「と、容姿は物凄い整っているのに傲慢な性格がこれでもかと滲み出て残念イケメン(笑)になっているBL狂変態の弟さんが申していますが……とっとと引っ込めよ、雑魚。てめえに用事はねえ」


 ロビンの後ろにいるエルフ。……エルフ? 道服を身に纏って目を細めて拱手しているけど、絵に描いたような中国人とか仙人とかじゃないよねッ! 耳三角に尖っているし、金髪だし、細めているせいで見にくいけど碧眼だし!

 というか、なんで仙人がいるの! この世界中世ヨーロッパじゃないの!! なんで中華ファンタジーの要素混ざってるの!! これがTRPGだったらGMの正気度を疑うよ! GMにSAN値チェックだよ!! 勿論発狂状態だよ! …………もうこれ続行不可じゃね?


「はじめまして、ワタクシはユェン=シー・ティェン・ズンと申します。樹海に篭り仙道の修行をしているしがない老人でございます」


 わざわざ自己紹介どうも。でも、【看破】しているからいらないよ! ……あっ、でも【看破】の使えない他の連中には必要か。俺基準で考えちゃダメだよね。反省反省。


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NAME:ユェン=シー・ティェン・ズン AGE:1,020,000歳

LEVEL:480 NEXT:19600000EXP

HP:53690/53690

MP:43240/43240

STR:49600

DEX:45000

INT:1200

CON:62200

APP:130

POW:52300

LUCK:100


JOB:乾道チィェンダオ、黎明結社会員


TITLE:【仙道を歩く者】、【宝貝使用上級者】、【エルフの道士】、【拳法を窮めし者】、【死を恐れる者】


SKILL

【片手剣理】LEVEL:60

→片手剣の真髄を極めるよ! 【片手剣】の上位互換だよ!

【両手剣理】LEVEL:60

→両手剣の真髄を極めるよ! 【両手剣】の上位互換だよ!

【鞭理】LEVEL:60

→鞭使いの真髄を極めるよ! 【鞭術】の上位互換だよ!

【鋏理】LEVEL:60

→鋏使いの真髄を極めるよ! 【鋏術】の上位互換だよ!

【槍理】LEVEL:60

→槍使いの真髄を極めるよ! 【槍術】の上位互換だよ!

【縄理】LEVEL:60

→縄使いの真髄を極めるよ! 【縄術】の上位互換だよ!

【弓理】LEVEL:60

→弓使いの真髄を極めるよ! 【弓術】の上位互換だよ!

【扇理】LEVEL:60

→扇使いの真髄を極めるよ! 【扇術】の上位互換だよ!

【投擲】LEVEL:60

→投擲が上手くなるよ!

【発勁】LEVEL:100

→発勁が上手くなるよ!

【五行拳】LEVEL:100

→五行拳が上手くなるよ!

【化勁】LEVEL:100

→化勁が上手くなるよ!

【調息】LEVEL:80

→調息が上手くなるよ! MPをPRに変換するよ!

【纏気】LEVEL:80

→プラーナを身に纏うよ! 身体能力が上昇するよ!

【金剛通】LEVEL:60

→神通力の一つだよ! プラーナを身体に纏わせることで防御力を上げるよ!

【剛力通】LEVEL:60

→神通力の一つだよ! プラーナを手や足に纏わせることで通常では考えられない膂力を得るよ!

【神足通】LEVEL:60

→神通力の一つだよ! プラーナを両足に纏わせることで通常では考えられない速力や跳躍力を得るよ!

【天眼通】LEVEL:60

→神通力の一つだよ! プラーナを両目に纏わせることで視力と動体視力を上げるよ!

【天耳通】LEVEL:60

→神通力の一つだよ! プラーナを両耳に纏わせることで聴覚を強化するよ!

【活性通】LEVEL:60

→神通力の一つだよ! プラーナを肉体に張り巡らせることで治癒力を高めるよ!

【神速縮地】LEVEL:60

→神速の領域に至った速度で相手と距離を詰めるよ! 【迅雷縮地】の上位互換だよ!

【重縮地】LEVEL:60

→【縮地】を連続で行えるよ!

【クライヴァルト語】LEVEL:50

→クライヴァルト語を習得するよ!

【エルフ語】LEVEL:100

→エルフ語を習得するよ!

【ヴァパリア黎明結社共通語】LEVEL:30

→ヴァパリア黎明結社共通語を習得するよ!

【因果耐性】LEVEL:40

→因果干渉に対する耐性を得るよ!

【演奏】LEVEL:60

→楽器の演奏が得意になるよ!

【寿命吸収】LEVEL:150

→触れた相手の寿命を吸収するよ!

【魔力吸収】LEVEL80

→魔力を吸収できるようになるよ! 【魔力回復】の上位互換だよ!

【再生】LEVEL:80

→失った部位を再生できるようになるよ! 【体力回復】の上位互換だよ!


ITEM

・道服

→道服だよ! 特殊な繊維で編まれているから強度が高いよ!

・雷公鞭

→漆黒の鞭だよ! 空を覆う雷雲を顕現させ、絶え間なく霹靂を落とすよ! 超宝貝スーパーパオペイの一つだよ!

・太極図

→太極図が描かれたカーペットだよ! 物理以外で受けたダメージを無効化してそのエネルギーを使って傷ついた物を敵味方・生物非生物問わずに回復させるよ! 超宝貝スーパーパオペイの一つだよ!

・金蛟剪

→巨大な鋏だよ! 二体の蛟へと姿を変えるよ! 超宝貝スーパーパオペイの一つだよ!

・禁鞭

→伸縮自在・破壊不能の鞭だよ! 超宝貝スーパーパオペイの一つだよ!

・盤古幡

→分子構造に似た形の球体だよ! 対象にかかる重力を操作して増大させ最大出力万倍までの負荷をかけるよ! 超宝貝スーパーパオペイの一つだよ!

・四宝剣

→四色の宝玉が埋め込まれた剣だよ! 物体の存在する確率を変化させて崩壊させるよ! 超宝貝スーパーパオペイの一つだよ!

・斬仙剣

→振るえば音速の太刀筋を出すことができる剣だよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・陰陽鏡

→鏡を無数に生み出す鏡だよ! 無数に浮かべられた鏡による光線の屈折と反射を利用した攻撃ができるよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・梱仙縄

→敵を縛り付けて動きを封じる縄だよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・番天印

→巨大な判子だよ! あらかじめ空中に押印してそこを必ず射抜くよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・落魂鐘

→魂魄に直接ダメージを与える不協和音を鳴り響かせる銅鐘だよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・乾坤圏

円月輪チャクラムだよ! 投げるとどこまでも飛んでいって敵に攻撃して必ず帰ってくるよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・風火輪

→両足の下に着ける環だよ! 高速で空中移動ができるよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・火尖槍

→青い炎を吹き出す棒だよ! 槍として扱うよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・三尖刀

→三つ叉に分かれた槍だよ! 直接攻撃と共に、三条の衝撃波を放つよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・哮天犬

→増殖する漆黒の猟犬だよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・莫邪宝剣

→光の刃をもつ剣だよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・鑽針釘

→どんな硬いものでも貫ける強力な釘だよ! 手裏剣のように敵に投げつけるよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・霧露乾坤網

→水で編んだような巨大な網だよ! 広がって敵を包囲して静かなる攻撃を仕掛けるよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・呉鉤剣

→月のような刀身が反り返った曲刀だよ! 投げつけるとハサミの形になって敵を襲撃するよ! 両手に持って接近戦もできるよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・開天珠

→術者の意志に従って飛び、接触したものを爆破する球だよ! 球の推進力により飛行も可能だよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・混元珠

→大きな水晶玉だよ! 水を自在に操るよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・劈地珠

→大きな水晶玉だよ! 大地を操るよ! 大地の力を借りて味方を回復することもできるよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・青雲剣

→青い龍の意匠が刻まれた剣だよ! 一振りで幾重にも刃が現れて敵を切り刻むよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・混元傘

→漆黒の傘だよ! 敵の攻撃を倍にしてはね返すよ! 吸収し、蓄えておくこともできるよ! 攻撃が強すぎると上手くはね返せないし、ヒビが入ってしまうこともあるよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・黒琵琶

→黒い琵琶だよ! その音により敵の神経を撹乱して同士討ちをさせるよ! 精神力の高い者には効かないよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・万里起雲烟

→弓だよ! 複数の光の矢を撃ちだすことができるよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・火鴉壷

→赤い宝玉だよ! 巨大な炎の鳥をとって敵を襲うよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・万刃車

→円盤状の飛び道具を飛ばす剣だよ! 不規則な動きで敵を翻弄して切り刻むよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・化血神刀

→高速で回転しなから敵を襲う刃だよ! 麻痺毒による痺れの効果があるよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・火竜標

→ブーメランだよ! 投げると岩をも溶かす火炎を発するよ! 使用者の意志により自在にその軌道を変え、不規則な動きで敵を翻弄するよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・太陽針

→一瞬で無数の針を飛ばして敵の秘孔を突いて体の自由を奪うよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・五火七禽扇

→真っ赤な扇だよ! 五種の炎を起こして焼き尽くすことができるよ! 衝撃波を放って広範囲の敵を攻撃することもできるよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・五光石

→巨大化する五つの玉石だよ! 投げれば必ず命中するよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・紫綬羽衣

→紫色の羽衣だよ! 広範囲に毒蛾の粉をまき散らすよ! 飛翔も可能だよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・歪空珠

→大きな水晶玉だよ! 空間を歪曲させて水晶玉に触れたものを無限に出し入れできるようにするよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・如意金箍棒

→神珍鉄製で両端に金色の箍がはめられた棒だよ! 持ち主の意に従い自在に伸縮するよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・觔斗雲

→乗ることができる雲だよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・九本歯馬鍬

→九本に枝分かれした馬鍬だよ! 灼熱の嵐を纏わせることができるよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・降妖宝杖

→月の裏の桂の樹で作られた杖だよ! 魔を払う力があるよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・芭蕉扇

→芭蕉の葉で作られた扇だよ! 一煽ぎすれば大風が起こり、二煽ぎすると雷雨が降るよ! 宝貝パオペイの一つだよ!

・黎明結社のペンダント

→ヴァパリア黎明結社のシンボルである六芒星に十字架を合わせた意匠のペンダントだよ!


NOTICE

・通知一件

→未使用のポイントが後0あります。

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 ……えっと、『封神演義』ですか? 中国明代に成立した神怪小説じゃなくて、藤崎竜の漫画版の方の。

 しかし、宝貝パオペイの中には明らかに宝貝パオペイじゃないのも混じっているしな。……えっと、中国の四大奇書小説の『西遊記』ですか? どっちも中国じゃん。中世ヨーロッパの世界観にはそぐわないのでお帰り下さい! ……って老害タブレットで天羽々斬アメノハバキリとか武士サムライとか選べる世界だし、中華混ざってもいいのか? いいのか? ……マジかよ、中華の世界にお帰りって言えねえじゃねえか。結局戦わないといけないのか。


「聖さん、リーファさん、白崎さん、朝倉さん、北岡さん。五人で手分けして、あの族長に取り憑いたバケモンとその一味をどうにかしてくれ。大丈夫、今のレベルならどうにかできる筈だ」


「草子君はどうするの!」


「俺か? 俺はユェン真人ヂェンレンをどうにかするよ。白崎さん達は選ばれし者かもしれないが、今のままでは絶対に勝てない。ステータスがよく分からないことになっている俺が適任だろうし、こいつはどう考えても俺の客だ」


 ユェンに向けて最大限の不敵な笑みを浮かべながら、俺は彼の正体を暴いた。


「ですよね、黎明結社メンバーのユェン真人ヂェンレン?」

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