第73話 王さまの課題探し

長兄王子には、留守と執務放置を叱ったが、この城内で起きている事は、王さまは全て知っているので、一応の注意のつもりだった。

むしろ、周囲の者に対するポーズだ。

長兄王子でも、許されないということを見せないと、特権があると勘違いされてしまう。


そして、王さまは会話が苦手だった。

役職上、話す機会はたくさんある。

家族と話すのとは違い、目上の者や部下等に指示を出すのは、どうしてもちょっとという感じである。


しかも、何から話せばいいのかが皆目見当がつかない。

そこで、先生を召喚することにした。


端末さんにお願いをして、会話をできる先生を喚んでもらうことにした。

しかし、指定があいまい=“会話ができる”≠会話の先生だったので、来たのはどこにでも居る人。

作業服のようなもの、上と下が繋がっているものを着ている。


「いきなりなんだ。ここは」

「すみません」


見かねたのか、端末さんが話しかける。


「王さまは、会話について、レクチャーしてほしいそうです。切り出しや内容について聞きたいとか…」


「へぇ~王さまだったのかい。おっと王さまなら敬語を使わないとな」

「そのままでいいです」


ちょっと、びくびく小さい声になりがち。

完全に違う世界&人間が大きく見える。

いつもは虚勢を持って会話。

「そ、分かった。会話の題材だったか」

「それでもいいです」

「題材は多いぞ」

「そうなんですか?」


慣れてきた。

ここから、開始だ。

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異世界召喚の先生たち ~分からないことは、分かる人に聞く! 空のかけら @s-kakera

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