第64話 *神鋳製
「そういえば、紙幣。使っていたよな?」
「科学技術系は、紙幣の方が高額よ。貨幣は、細かい金額。すなわち、小銭に使われているわね」
「さっきの話の中に、紙幣のことは何もなかったけど?」
「それは、魔法技術で紙幣はいくらでも複製できるから、利用価値がなくなったのよ」
「?貨幣も複製可能だよな?」
「金属そのままなら、そうなんだけれど。含有率はもちろん、貨幣自体に真贋魔法が入っているから、複製はできないのよ」
「紙幣の複写防止のようなものか」
「それ以上かも」
「例えば」
「大きさ、重さ、厚さ、痕跡術式、複製回数、真贋魔法、両替感知、表記機能…」
「まてまて、厚さ以降が分からないぞ」
「あれ、そう?痕跡術式は、生産場所と名称。複製回数は、生産場所での複製回数。普通は、複製しないから0回。真贋魔法は、そのまま複製回数入りでも真贋魔法で真なら、本物。両替感知は、貨幣を勝手に両替してくれる機能と逆両替を感知・両替してくれる、お節介なもの」
「表記機能」
「貨幣に名前を入れられる。ただし、盗難防止みたいなもの。両替署で交換してもらう必要があるの」
「紙幣に名前を書くようなものか」
「…それはダメよ。紙幣に落書きをするようなもので、使えなくなっちゃう」
「…分かれば良いけど、教えて欲しい」
「?何を?」
「紙幣と貨幣、カード、お金に関する様々なこと」
「あ~、召喚先生ということね」
「なぜ知っている」
「姉さんから聞いた…」
「姉さん?」
「ノーコメントで」
なんだか、背筋がぞっとした。
「紙幣も貨幣も、印刷したり鋳造したりして作るというのは、いいわよね?」
「それは分かる。作っている場所というより、作り方の問題なんだろう」
「そうよ。あ…、さっきの貨幣は、鋳造所がある訳じゃないわ。神さまが、作っているから、神鋳(しんちゅう)製と言っているわ。ただし、作る神さまが違うから、場所や名称はバラバラ。」
「はぁ~、だから真贋のための魔法が多用されているのか」
「オフレコだけど、貨幣に祝福を掛けているという説もあるわね」
「ははは、違法鋳造したりすれば、呪われるとかか?」
「ははは、そうかもしれないねぇ~」
「聞かなきゃ良かった」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます