第63話 *貨幣
「まずは、鉄貨」
「鉄が硬貨になっているのか」
「そうだけれど、一番貨幣としては、低くて1円玉のような感覚よ」
「これは、この世界にはない貨幣だな」
「そうね。次に銅貨よ」
「銅貨は、銅で出来ているということだな」
「そうよ。銅貨は、10円くらいかな」
「鉄貨の10倍か」
「こちらの方が流通量は多いわ」
「なんだか分かるような気がする。すると、この上は銀貨か?」
「そうよ。銀貨は、100円くらいの感覚ね」
「そして、金貨…」
「そうね。金貨は1万円くらいよ。銀貨100枚と金貨1枚になるわ」
「その上は、白金貨?」
「ちょっと違うわね。白貨と黒貨の2つがあるのだけど、何が含有されているのか分からないの」
「白と黒…、知らないなぁ」
「白と黒に分かれているけれど、貨幣価値は同じで、金貨100枚と白黒貨の1枚と同じになるわ」
「これで終わり?」
「あと3種類あるわ」
「3種類?」
「貴族にだけ渡される貨幣として、貴貨“きか”。とっても脆いの。持ち運ぶのは無理ね」
「なんだそれは」
「王族だけ、王からの褒賞として、王貨“おうか”。謁見室だけの使用で、外には持ち運べないわ」
「貨幣か?」
「見せ金に近いわね」
「3つめは?」
「神貨“しんか”ね。これは、触れることはできない貨幣で、ホログラフよ」
「それ、貨幣か」
「みんな貨幣って言っているから、そうなんでしょう」
「これで、いいかしら」
「まぁ、だいたい良いが、最後の3つの貨幣価値が分からなかった」
「あれ?言っていなかったけ」
「聞いていない」
「ええと」
右ポケットから、文庫本のようなものを出すと、
「貴貨は、1億円くらい。王貨は、100億円くらい。神貨は、1兆円よ」
そう言うと、見ていた本を右ポケットへ入れる。
「さっきの文庫本は?」
「…設定集よ」
「覚えていないのか?」
「設定集を見ないと分からないものが多いの。犯人さんと眷属が一生懸命に作っていたし」
「カンペかよ」
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