第54話 裸足で歩け!
魔法師団長は、あまりにも多い情報量に完全にダウン状態になってしまった。
だから、少しリフレッシュしたいと思うのは当然の話で、頭を使ったことによる休息は何がいいのか考えることにしようとしたが…
端末さんが、入らぬ気?を回したのか、リフレッシュの専門家“らしい”人を召喚してしまった。
そして、その人の最初の言葉が
「歩きましょう」
だった。
魔法師団は、研究色が強く研究所にて魔法の研究を行っている。
研究成果は、師団が配下の魔法使いに指導することで、国内の魔法使用に関して還元されている。
そして、研究職の一部は研究所から全く出ないということで、体力が怪しい人が多かった。
魔法師団長も、元々は研究職。
現在は、実働部隊の長も兼ねているため研究時代よりも体力は増えているものの、緊急時には体力強化魔法や魔法発動体、肉体に投射してある防御魔法などの底上げでなんとか凌いでいる状況だった。
そこへ持ってきて、この提案。
「歩くときは、何も使わなくて良いのです。ただ歩けば良い」
「そうは言っても、どこを歩けば良いのか」
言うまでもないが、王城内はどこでも絨毯が敷かれているだけではなく、絨毯の色によって移動できる身分が別れる。どこへでも自由に行き来できるのは、王さまなどの王族だけとされているが、実際は侍女や侍従のみが使用可能な生活通路、一部の人にしか知られていない秘密通路、天井や床下、壁中にある防御通路などは、王族であっても別の理由から使用に適さないとされている。
ただし、王族であってもお忍びという名で、王城から街へ向かう際に抜け道として使っている者もいるが。
「土の上を歩きましょう」
そして、この言葉。
「土の上ですか?歩くなら、城内の絨毯の上でも良いのではないでしょうか」
そう言うと召喚先生は、左右に首をふって
「整地されていない土の上を裸足で歩くことによって、ツボを刺激するため、身体の不調などが改善されるという効果があります」
「裸足ですか」
「裸足で歩かない場合は、単なる運動と捉えることになりますが、よりよく運動をするための方法があります」
召喚先生は、右手を胸の位置まで挙げると、人差し指を上げて
「1つめは、自分が運動すれば気分がよくなると言い聞かせながら、運動を続けましょう。運動はいいものですが、今のところ運動をしていない人が運動をしても三日坊主で終わってしまうことが多いのです。動機付けが重要です。」
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