第31話 *魔法=言葉

 そんな事を言い始めたのは、王子さま…ではなくて、お姫さまだった。

 勉強好きの彼女に取っては、魔法も1つの学問であるらしい。


 しかし、召喚された者は、居なかった。

 こんなことは、初めてだったが、当たり前とも言える。

 召喚しようとした者は、魔法に長けた人物なら、その者に教えてもらえば良いことだから。


 そういう意味で、適任者は宮廷魔法師団長となった。


「では、簡単な魔法をお教えしましょう」

「はい!」

「今、このように話していること自体が、魔法となります」

「え?」


 何を言っているのか分からないという顔をしている。


「言葉とは、魔法の基本にして重要なものです。言霊という言葉があるように、言葉自体がその意味を持って、魔法に似ているものを発動させるのです」

「先生。言葉に意味があれば、魔法であると言うことですか?」

「概ね、そのような解釈で合っています。例えば、“燃やす“という言葉の意味は、何かを燃やすとか、どこかを燃やすなど、燃焼系の魔法と言えます」

「でも、先生が今言ったのに、どこか燃えた場所がありません」

「言霊は、場所の指定を同時にすると同時に、明確なイメージを持たないと効力を発しません。今回の場合は、場所もイメージもなかったため、発動しなかったのです」

「では、その2つがあれば、燃やすことができたのですね」

「言霊という特性からすれば、そうなりますが、イメージは複雑で、燃えている当初から燃え尽きるまでを思い描くのは難しい。なので、全部のイメージをせずに済むように、着火時点から、魔力という名の燃料を付加することで、燃焼を持続させると同時に、イメージを着火時に限定させることができます」

「言霊で、場所と魔法を決めて、魔力で持続。イメージは入らないのでは?」

「着火時のイメージ。すなわち、最初にどういう風になるのかを決めないと発動しません」

「なるほど~。分かってきたような感じがします」

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