マニ割り

 トラックで『パパパパパッ』とか『ドドドドドドド』と何かを叩くような排気音をして走ってるのって見たことが無いですか? 叩くような音以外に『ドロロロロロ』みたいな、何て言えば良いのかな? 排気脈動っぽい音を演出するのに『マニ割り』って手法が有ります。


 多分だけど昔のトラックの排気音を再現してるんじゃないかなぁ。あれはマニホルドの設計が良くなくて排気干渉でスムーズにガスが流れてない音なんだけどね。スバルの水平対向がドコドコ言ってるのもそう。パワーや燃費に良い影響は与えません。だからスバルは頑張ってドコドコ音を減らしてるわけだ。


 まぁスバルはドコドコ音が魅力な気もするが、話を戻そう。


 例えばだけど、六気筒あるシリンダーの一気筒だけ排気系を別にするんですね。普通の排気系統だと、各気筒からマニホルドを通じて途中で集合してマフラーから排気されます。


 マニ割りは読んで字の如く『マニホルドを割る』んです。六気筒だと一気筒と五気筒とかに分けます。五気筒の方は普通に排気しますが、分けられた一気筒は直管もしくは消音効果が低い排気管を通じて排気します。


 もちろん排気ガス浄化装置を通さないから違反です。このエッセイを読んでるみんなは整備不良なんかで捕まらない良い子だって京は信じています。


 まぁ法的に良いか悪いかはさておき、音はともかく馬力はどうなるって気がしません? マニ割りって結構昔からある手法で、デコトラ雑誌でも紹介されていました。で、今から二十五年ほど前、専門学校で整備士を目指していた頃にデコトラ専門誌『カミオン』を見ながら仲間と議論しました。議題は『マニ割りによるエンジン出力の変化』結論としては『絶対的な出力は変わらないだろう』でした。


 もうちょっと詳しく書くとこんな感じ。


『ターボ無しなら排気管次第では抜けが良くなるとかで高回転まで回るようになるかもしれない。でもそれほど変わらないはず。ただし特性は変わるかもしれない。特にターボ車は高回転型になるだろう』


 ディーゼルエンジンはターボチャージャーと組み合わされることが多いです。ではマニ割りをしたら何故高回転型になるか。若き日の私と友人が出した答えがこちら。


『例えばやけど、六気筒六〇〇〇㏄のエンジンで回してるタービン(ターボ)をマニ割りしたら一気筒がターボに回らんわけやから同じタービンを五気筒五〇〇〇㏄の排気ガスで回すわけや。エンジンをぶん回して排気ガスを送らんと回せんやろ?』


 ついでに議論したのが『マニ割りするとエンジンが壊れやすい』これに関しては「高回転を多用すれば傷むやろ?」と結論が出ました。


 今夜もドコドコ・パパパパとにぎやかな音のトラックが走ってますなぁ。仕事で使うクルマにあんな事をして大丈夫やろか?

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