第72話【商業施設で知り合いに会っても気づかないよね】

 ユリシャは口にシールを貼られていたが声を出した。


『もごももごごもご?……モモゴモゴゴモゴ?』


 ――――略すとこうだ。


『今度、魔王城で面接があるから来たらどう?そこでなら相手になるわよ?』


 とのことだ。

 挑発に乗る覇将ペコリーノは、一般人の挑発に乗るかの如く、大口を叩いた。


『その日を楽しみにしよう。せいぜい今は娘との時間を大切にな』


『えぇ、貴方こそ今の内にでも掘っときなさい』


 ――――互いに変装しており、主人ユリシャ従者ペコリーノは、一切気づく事もなく、再戦を誓った。


 ☆


 三人組が去ってから、ユリシャのシールを剥がすフレデシカが、確信を突いた。


『ママ上~あの人達ってもしかして……』


 ユリシャは『フッ……』と小さく笑うと、どや顔で言った。


『えぇ間違いないわ。私達のいえに仕えるよ』


 外を出る三人は圧倒的強者だと見てとれたが、真ん中で堂々と歩く男の背中には――――――――


 ☆


 店を出る三人組の会話――――


『ペコリーノ、あの女性と娘は見覚えあるわ。もしかして……』


『うむ、拳を交わした感覚とあの殺気。我の見解に間違いないな……我らが魔王様の妻と王女のだろうな』


 気付いていると思いきや、こちらもこちらで、おバカさんであった。



 ☆



 それはそうと、憎虚憎虚血塗飴リンゴキャンディに夢中になっているフレデシカ以外の大人四人、ユリシャ妃、覇将ペコリーノ、竜蔦ベライザ、死死舞パリシは、同じ事を考えていた。


 ――――((((……))))と――――




 ☆




〝魔王様へ、休暇はいかがお過ごしでしょうか?私共は魔王城にて立派に警備しております次第です。PS.先ほど妃様そっくりの方とお会いしました!!勿論、業務中ですけどね!!byペコリーノ〟


〝貴方へ、何だか三獣士のそっくりさんと出会ったわ!!。本人達は隠していたようだけど、私には、あの魔気オーラが尋常ではないと感じたのよ!!今度開催するにどうかしら!?byユリシャ〟


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