37、研究所陥没

 時   二〇二五年十月十九日(日)午後

 場所  ローター・ジェット・ステルス戦闘爆撃ヴィークル内



 ローター・ジェット・ステルス戦闘爆撃ヴィークルの指令ディスプレイに、東亜重工M工場、宇宙航空研究所内の側面透視映像が現れた。銃器探査、身体放射波探査を開始している。


 ディスプレイの隅に、情報衛星センター所長が現れた。

「研究所側面探査が可能になりました!研究所が陥没してます」

 ステルスヴィークル編隊は、東亜重工M工場へ向けて超音速飛行中だ。


「衛星単独の探査波エコーか?」

「いいえ、低俯角の衛星三機の探査波合成です。研究所真下から巨大チェレンコフ光が現れ、研究所の探査が可能になりました。

 衛星探査では、研究所内に武器反応はありますが、弾頭と弾丸装填とエネルギー充填反応はありません。ミサイル弾頭と開発されてるはずの高性能爆薬は皆無です。身体放射波探査に反応がありません」


 身体放射波探査に反応がないなどありえない。それに、巨大チェレンコフ放射はスキップ(亜空間転移)だ。亜空間航行する艦がここにあったなんて、考えられない・・・。

 そう思っている所長の思考を、本間は感じた。

「おそらく君の考えるとおりだ。研究所の真下に巨大物体があり、地下からスキップ(亜空間転移)した。その結果、衛星の探査波を妨害するシールドが消えた」

「スキップ(亜空間転移)は私の専門外ですから」


「そうだな・・・。

 所長。身体放射波探査、銃器探査と発光と、例の発信探査を続行してくれ」

「はい」

 指令ディスプレイから所長が消えた。


 本間は指令ディスプレイを通じ、各ヴィークルに指示した。

「各機に告ぐ。

 機長とクルーは機内に残り、各機の透視探査、銃器探査、身体放射波探査、それぞれの映像を衛星情報と合成し、隊員に送れ。隊員の通信を確保しろ。

 隊員は、各自装備による探査映像に、ヴィークルからの探査映像を合成させろ。

 工場は電磁波がシールドされている可能性がある。行動と通信の可能域は、たがいの視覚認識域だ。チーム行動してくれ。

 高レベルの身体放射波と銃器反応の一致は、奴らからの攻撃だ。女子供でも、ただちに攻撃し殲滅しろ」


 ステルスヴィークル編隊が、東亜重工M工場の離着陸ポートに着陸した。

「臨戦態勢で捜査開始だ!行け!」

 本間は指令ディスプレイに向って言った。


 バトルスーツとフル装備のアーマーで身を包んだ佐伯は、隊員を率い、指令機のローター・ジェット・ステルス戦闘爆撃ヴィークルから、ポートに降り立った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます