14、日記不履行

 時   二〇二五八月八日(月)

 場所  N市T区、自宅



 理恵は以前と同じように仕事へ行き、菅野が送ってきた荷物を確認して、不足な物を送ってもらった。私も妻の荷物を送った。

 全てを送ったつもりだったが、理恵が菅野に不足な物を送ってもらったように、妻も、あれが足りないとか、これがあるだろう、と言ってきた。

 ヴィークルで十分ほどの距離に暮らしながら、二人とも法律上の配偶者に会う気はなかった。



 私は仕事の合間に、タブレットパソコンの日記を書いた。


『かつて、福島原発破壊事故の補償に、税金が使われる法案が可決された。あの法案が通ろうとしていた一か月の間、国民は不満を抱えたまま反対しなかった。その後、公務員の身分保障が論議され、国民感情を逆撫でしないよう、国家公務員の給料を期限付きで、わずかばかり減らす法案が可決された。務員は国の支配者ではない。法律の改正で扱いはどのようにもなる。国家が危機におちいれば、国民ではなく、公務員がまっ先に対応せねばならないのを政府は忘れてる。


 国民は、閣僚と国会議員と官僚と国家法人役員が高給を得ているのを知らない。必要ない国家法人に税金を注ぎこみ、国民の税金で民間企業の尻拭いをするの知らない。中小企業は倒産するにまかせるが、過去、大銀行や大企業や航空会社の倒産を、どれだけ税金で建ち直らせてきたか、国民は知らない。日本国民は愚かだ・・・。


 国家予算を食い物にする国家法人に税金を注ぎこむのをやめ、国家法人に利益を上げさせて、利益を震災の復興に当てればいい。閣僚や国会議員や官僚や国家法人の役員の給料を減らし、政府と電力会社が原発事故の保障をすればいい。補償額が足りないなら、電力会社の資産を当てればいい。それでも不足なら、社員と公務員の給与から補填すればいい。社員や公務員の給与を減らさずに、災害と事故の補償を税金に求め、全く利益を出せない国家法人に税金を注ぎこむなど絶対に許せない。


 国民を考えないこのような政府は解体し、新体制を作らねばならない。まっさきに正すのは、不正を取り締る側だ。不祥事が多い警察と検察の機構を、正義に基づく組織に一元化し、機構内と政府と社会の不正を取り締らねばならない。情報機関も同様だ。現状のままでは縦割り組織で横との連携が薄く無駄が多い』



 私はここで、何か妙なことに気づいた。以前、日記に、

『国民の安全を無視し、経済のためだけに危険な原子力政策を立案実行した、当時の政府閣僚と国会議員、官僚と職員、またそれらに関係した有識者会議の委員と、経済界の責任者、とくに原発事故を起こした電力会社の責任者を、社会的に抹殺すべきだ・・・・』

 と書いた内容が、まだ実現していない。なぜなのか考えたが、何もわからない。マリオン、なぜだ?と聞いても返事はない。これまでの出来事は、すべて私の理解を超えている。

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