4、治療2

 時   二〇二四年六月一日(土)午前

 場所  Y市、Y歯科クリニック



 歯茎の炎症が治らなかった私は、Y歯科医師にN市立病院の口腔外科を紹介してもらい、受診した。

 私を診察した三十代の歯科口腔外科女医は、私の歯茎の炎症の原因を判断できずにいた。薬の処方になると、私のアレルギーに恐れをなし、Y歯科医師と同じ薬を処方した。


 N市の病院からY市にもどった私は土曜の午前、Y歯科クリニックを訪れ、Y歯科医師に、N市の病院ではなんら判断も治療もできなかったことを説明し、もう病院へは行かないと話し、Y歯科クリニックで歯周病治療がはじまった。

Y歯科医師は、

「担当の歯科衛生士が治療を行い、歯の磨き方を指導します。磨き方が悪いと、あなただけでなく、歯科衛生士の指導責任が問われますから、そのつもりで歯を磨いてください」

 にこやかに笑いながら忠告した。

 私の歯の磨き方しだいで、歯科衛生士の職務評価に加算されるなんてありえない・・・。

 私は緊張した。


「では、歯の写真を撮りますね~」

 子供を扱うような声で、細面で鼻梁の高いポニーテールの、眼の大きな歯科衛生士が、3Dカメラを用意をしている。マスクで素顔はわからない。美人と想像できる。

 Y歯科クリニックの診察室は二階にあり、周囲の公園がよく見える。私は戸外を見ながら、子供扱いしてるが、結構手荒な治療をするのかもしれないと思った。

 私の気持ちを知ってか、歯科衛生士は、

「緊張しないでくださいね~。唇を広げて歯茎を撮りますからね~」

 私の唇と歯茎の間に器具を装着した。

『心配いらないよ。器具が入ってるから唐突に話さないで・・・。私の意識を感じて、おちついて行動してね』

 マリオンか、と思ったが、その後は何も聞こえなかった。

 治療回数が増えるにつれ、なぜか、私は、マスクに隠れて眼しか見ていない、この歯科衛生士に心惹かれていった。



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