2.2 掃除と勉学②
「掃除はもう良いぞ、サシャ」
大きめの声と共に、事務室の両開きの扉から毛むくじゃらの頭が現れる。
「今日は羊皮紙、必要か?」
「はい。お願いします」
その、茶色の髭があらゆる方向に伸びている人物、
サシャが北都で学ぶ学費は、
動物の皮を専用の枠に張って表面の毛をナイフで擦り落とし、それを乾かしてから更に石で擦って滑らかにしたものが、羊皮紙。世界史の知識を引っ張り出す。動物の皮の調達にも、作成にも手間が掛かる羊皮紙よりも、草を叩きほぐして作る紙の方が、適切な草さえあれば手軽に作成できる。そう考えたトールは、羊皮紙と引き替えに図書館の掃除を了承したサシャに、トールの世界にあった『紙』のことを簡単に話した。だが、北都の生活に慣れることに重点を置いている現在のサシャの反応は、薄い。
「掃除は助かるが、学生の本分は勉強だ。勉強もしっかりやらないと」
「はい。ありがとうございます」
確か、幾何のレポートが出ていたはず。気持ちを、勉強モードに切り替える。
この世界の学校は、この世界の新年、すなわち
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。