もんくろ もこもこ
それに出会ったのはまさに衝撃、でした。蛾の成虫に一気に興味が出たのもここからかもしれません。
ある日庭を歩いていると、何やら細長いものが。2匹ならんでいました。頭が白っぽい、羽も白が基調で上から見ると「立派な八の字ひげを蓄えたおじさんの顔」をした模様が入っています。羽を体に沿うような感じでたたんでいるため、細長く見えたようです。
何だ、蛾か。と思って正面を見た瞬間……
か、か、かわいいいいいいーー!
もっふもふの毛玉の中に埋もれるようにして黒いつぶらな目。まるで仔犬が伏せているようなポーズ。そして足が白と黒のシマシマお洒落さん。頭がもふもふすぎて体よりも大きく見えました。危険予測はもう忘れ、そーーーーっと指を出して「フカフカ」と頭を触ってみます。
もぞ、ぞと動いただけで逃げもしませんでした。
きゅわーーん!!可愛すぎる!なんていう子だろう!?
写真を撮って調べると「モンクロシャチホコ」という蛾の成虫ということが判明。しかしその幼虫を見た時一気にテンションが下がりました。
……毛虫……
まだこの当時「毛虫は危ない」と思っており、真っ黒だし可愛くないなあというのがイメージ先行。そして庭のピラカンサに毎年大発生し、下に茶色の糞を大量に落とすアイツか!!と分かった瞬間の残念感。
しかしそれからだんだん、これが庭に発生するたびに色々見たり調べたりしたら、特に悪さをしないし毒もないことが分かってきました。ネットでは手に乗せている写真もあり、ならば自分も、と幼虫におさわり。知れば可愛く見えるもの。
小さいうちは体が赤くて毛も白く、集団生活しているので一枚の葉っぱに大量についています。
静止しているときお尻を上げるからシャチホコガなのだそう。以前エイリアンみたいな虫がいると紹介したやつと同科。仲間でもこうも外見が違うのだなあ。
大きくなると単独行動で好きな所に散らばり、体も真っ黒、毛もクリーム色になってきます。
腹足の吸着力が結構すごくて、終齢くらいの大きい奴になると手からはがそうとするとべりべりって音がします。あとなんかチクチクする。
モンクロが世に注目されているのは可愛いだけじゃありません。幼虫はちゃんと処理すれば食べることができるのだそうです。
ちょと私は勇気が無いのでできませんが、もし加工された後のものがあったらチャレンジはしてみたいかな……
基本茹でたり炒めたりして食べるそう。桜の木で育った個体には桜の「クマリン」という物質がたまり、ほんのり桜味がするとか。
昆虫食が話題になっている今、大変おいしいと人気の食材なんですって。うちのはピラカンサだから味も素っ気もなさそうだな!
彼らは土の中に潜り蛹化します。生まれた木から地面に降りて大移動するんですけど、家の方に向かってきちゃった奴がたまに縁の下のドン突きで右往左往していることがあります。見つけると土の方に戻してあげます。歩き方も「もこもこ」というのがぴったり。
以前、かわいそうに資源ごみをいれるビニール袋の中で蛹になっちゃった子がいて、脱皮した終齢幼虫の皮も落ちていました。
縮んでくしゅくしゅになっていたため、体が伸びていた幼虫時代にまばらにぽやぽやと生えていた毛がぎゅっと密集しております。それに触れたらまあ気持ちのいいこと!!柔らかでウサギとかそういう高い毛皮系な手触りがしました。っていっても指の先端だけほどの量なんですけどね。
これを集めたら凄いふわふわなラグが出来そうなのに……まあ量的にも技術的にも難しいでしょう。
最初に撮影した2匹の真正面から撮った写真を友達夫婦に「これはなんでしょう」と見せたら、旦那さんに「……ひつじ……?」と言われました。
そのくらいもっふもふですよ!ぬいぐるみ化希望。
モフモフに隠れて後ろの羽は見えないアングルだったし、モフに埋もれて脚や触角がほとんど見えていませんでしたので「蛾」とは見破られなかったようです。
もしどんな虫かな、と調べるなら絶対成虫から入っていった方がいいです。間違ってもYouTubeのお料理動画から見ない事!!
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