寄生虫いろいろ 2
寄生虫で多分結構な方が思いつくのだとハリガネムシでしょうか。カマキリに寄生して、最終的には水辺に足を運ばせ、カマキリは魚のえさに、ハリガネムシは水の中で卵を産む……
寄生虫はこんな風に、寄宿主の脳までコントロールしてしまう恐ろしい能力をもつものもいます。
先日のアオムシコマユバチも幼虫が守っているように暫くずっと離れずにいましたし、カタツムリにつく広東充血線虫、ロイコクロディリウム(覚えられない……)、最近話題の蟻やゴキブリをゾンビ化されるハエや菌類……怖いですねえ、虫に生まれなくてよかった。
広東充血線虫は人間にも被害が出るほどの危険さを持ち合わせています。なめくじのはった跡も危険というから、家庭菜園などされている方はよく洗った方がよさそうです。
しかし、カタツムリ(マイマイやナメクジ)は広東充血線虫がついても特にどうにかなっちゃう、ということがありません。あれ?大体の虫は皆どうにかなっちゃうのに。不思議ですね。
それにも理由があって、広東充血線虫の最終目的地はカタツムリではないからです。めざす最終目的地はネズミ。だからカタツムリに死なれてしまってはネズミのお腹の中に入り込めません。そこは悪させず大事に。こういう役割を「中間宿主」というそうです。
ハリガネムシもそう。カマキリやカマドウマがハリガネムシの卵を食べたからお腹のなかに入れたのではありません。
ハリガネムシがカマキリやカマドウマを入水自殺させるのは、自分が水の中で卵を産むため。宿主は魚やカエルが食べにくるから、水際に来たらさっさと出て行かないと大変、自分まで食べられてしまいます。(まれに外に出られるらしいですが)
そして水の中で卵を産む(雄雌がどっかで出会うんでしょうけど、水の中泳いでるのかしら、そこは分かりません)と、水棲タイプの虫が川底に居るハリガネムシの幼虫を食べます。ハリガネムシはここでは悪さはしません。
目的地は陸の虫の腹の中。まんまと食べられたら本番を迎えるその日まで「シスト」という状態になって、宿主が川から飛び立つのを待ちます。蛹というか仮眠状態というか、殻にはいった状態で機が熟すのを待つとか。うーんしたたか。
たまに川岸でカゲロウやユスリカが大量発生していることありますよね。きっと彼らのお腹の中に奴は潜んでいるのです。
そしてそれを食べたカマキリやカマドウマのお腹の中で目覚めて寄生し、あとは皆様知っての通り……
百田尚樹さんの小説で「風の中のマリア」という、オオスズメバチの物語があります。これもう大好き。何回か読み返したにもかかわらず毎度泣きそうになるんだな。
その中にも「エゾカギバラバチ」という寄生バチが出てきます。なんと!無敵に見えたオオスズメバチにもこんな敵がいたとは。
彼らもまず、蝶のイモムシに卵を産みます。それを狩ったスズメバチが幼虫に与えると、そのまま幼虫の体内でまずはひっそり育ちます。いざ宿主が蛹になったらもうこっちのもの。そのまま宿主を食べつくし自分が繭になり羽化。
※これを研究して生態を解明した人はすごいですよね、オオスズメバチなんて近寄っただけでこっちが死にそうなのに。どうやって研究したんだろう。
上記のどれにも言えるんですが、こんな運任せな繁殖方法でよく生き延びてきたよなぁと感心してしまいます。タラレバなんて何通りだって考えられるのに。一体幾つの卵を産んで、生存率は何パーセントくらいなんでしょうね。
そう考えるとこんな小さな世界なのに桁違いの命が生存競争のふるいにかけられているなんて、ものすごく繊細なバランスで成り立っているんだなあーと思います。
但し、私は寄生虫とは縁遠くいたい、と切に願っています。
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