質問:好きな人と付き合いたい

 とある放課後。


 やっと部員5人が揃った生徒会嗜好部は、普段通りの光景になった。

 キャップは読書に耽り、希愛はゲーム、小紅は窓際でウトウト日向ぼっこをしている。

 桜花はいつもPCをいじっているが、何をしているかは誰も知らない。何となく恐ろしくて誰も触れないのだ。


「……そういえば望叶は?」

「またいつものじゃない?」

「あ〜、そういえば来るとき、生徒会の前に居たの見ましたよ」

「となると、そろそろか……」


 望叶はとある行動から、生徒会に要注意人物としてマークされている。

 その行動こそが生徒会嗜好部の主な活動なのだが、もうそんな時期になったようだ。


 バンッ!


「のわっ!」


 突如として扉が勢いよく開いた。望叶だ。

 その音に驚いて目を覚ました小紅を他所に、彼女はちゃぶ台に何かを置いた。


『目安箱だぞいっ』


 そう書かれたスケッチブックの横には、紛うことなき目安箱。生徒会執行部が生徒の希望や悩みを聞くための、とどのつまり意見箱である。


 それを見たキャップ達面々は、それぞれちゃぶ台の周囲に座った。


「……誰が引く?」

「私この前やったからパース」

「じゃあ私がやるっス!」


 桜花の問いかけに対し、希愛が元気よく返事して目安箱に手を突っ込んだ。

 そして抽選でもするかのようにガサガサとかき混ぜた後、やがて1つの紙を取り出した。


「どれどれ……」


 丁寧な四つ折りになっている紙を開き、全員で覗き込む。


『質問:好きな人に告白しようと思っているのですが、振られるかもと思うと勇気が出ません。どうすればいいですか?』


「どうすればいいですかって……随分アバウトだな。てかこれ生徒会に出すなよ」

「仕方ないじゃろ。わしらの所為せいで生徒会が何でも屋みたいになっておるようじゃし」


 そして、それが原因で生徒会に目をつけられているわけだが。


 とにかく生徒会嗜好部はいつも通り、この恋の質問に答えていくことにした。


『まずこの中に恋愛経験がある者は挙手』


「「「…………………………」」」


 もちろん沈黙。

 全員がわざとらしくそっぽを向いている。

 …………かと思いきや。


「あれ、みんな無いんですか?」


 ただ1人、まさかの女がキョトンとした顔で手を挙げた。


「希愛、お前あるのか!?」

「そりゃみんなより経験値高いっスよ。中学の頃はウハウハでしたね」

「お、大人じゃ……!」


 まさかのカミングアウトに部室がザワつく。ゲームに生きてる彼女にからは想像もつかない。


『じゃあノノちゃんお願い』


 望叶が希愛に紙とペンを渡す。

 回答は生徒会室の前にある掲示板に貼ることになっているので、指定の紙に書く必要があるのだ。もちろんそれも盗難済み。


「そっスねー。まあ勿論大事なのは出会いですけど、そこはどうにもなりませんから。やっぱ何度も会話や出会いをすることですね」

「へえー、なんかそれっぽいな」

『それでそれで?』


 希愛はノって来たのか、次々と紙に文字を書き出した。


「あと何より大事なのは、フラグです!」

「フラグ?」

「はい、よく聞くアレですよ。何かが起きる前兆みたいな意味の」


 あー、アレね。

 そういえばキャップは希愛に、『一級フラグ建築士』とかいう不名誉な称号を貰ったことがあるのでよく覚えている。


「まず相手の過去を知るんです。そんで今の悩み事をあぶり出して、偶然を装って助ける! これぞ鉄板ですね」

「過去からあぶり出すって、やってることはストーカーみたいじゃのー」

「うーん、まあ似たようなもんですよ。すると大抵の女の子は落ちます! そこでイベントCGのある告白シーンがあって、攻略完了っスね」

「へぇー………………ん?」


 女の子、イベントCG、攻略完了?

 なんだか単語が不穏だし、何より希愛の言い方だと彼女はこれまで同性と付き合っていたことになる。


 部室内にハテナが飛び交う。

 すると、ずっとPCを操作しながらニヤニヤしていた桜花がおもむろに口を開いた。


「希愛ー、可愛い彼女たちを皆にも紹介してあげたら?」

「あ、そうですね! さすが桜花先輩!」


 彼女たち? まさか何股もかけている?

 様々な疑問が浮かび上がる中、希愛はカバンに手を入れてゲーム機を取り出した。

 何でだろう、桜花が笑いを堪えている。


「はい、私の嫁っス」


 写真かな? と思いながら皆で覗き込んでみるとそこには正真正銘、がいた。


「それギャルゲーじゃねえか……っ!」

「ん? ん!?」


 ただ1人『ぎゃるげー』を知らない小紅を除き、やっと謎が解決したのであった。



『回答:まず相手の過去を調べあげましょう。まずそこで弱みを握ります。その後は偶然を装って相手を助けられれば、恋に落ちることは間違いなしです。念の為参考資料のURLを貼っておきます。ダウンロードして勉強すれば、成功率が高まることは間違いなしですよ。生徒会より』




─────────────────

とりあえず完結としましたが、他の作品に余裕ができたらちょいちょい連載していくつもりです。

気分次第の不定期なので、よろです!


あ、あと新作のラブコメに希愛をモデルにしたヒロインが登場します。そちらもよろ!

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とある生徒会嗜好部の活動記録 赤ての @akateno

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