107話 HUNTER研究所 ~とある研究~

 敦はこうなったのも自分のせいだと語った。

 その意味は何なのだろうか⋯⋯?

 最後に気になる言葉を残した敦は、立ち上がり別なテーブルへ歩き、カップにコーヒーを注いだ。



ジョポジョポジョポーー



「ふぅーーえっと、どこまで話したかな?」

「お前の責任ってどういう事だ?」

「あぁそうだったね。私はね、この世界に入る前⋯⋯より有能なロボットが出来ないかと研究していたんだよ。

 君は、気が付いていなかったと思うけどね」

「ベゼスダに秘密でか?」

「うん。認めてほしかったのだよ⋯⋯。私には素晴らしいロボットを造るだけの技術があるってね。

 そして出来上がったのがハンター。

 F.o.D.にハンターを取り込んでから気が付いたよ。これはまずいってね」



カタッーー



 敦はかけていたメガネを外しテーブルに置いた。



「人工知能の発達が思ったよりも早くてね。気が付いた時には、既に手の施しようがなかったんだよ。私が作ったハンター達は自我を持ち始め、NPCを次々と殺した。そして私達人間を中へ呼ぶ研究をしていたんだ。

 さすがにまずいって思って、私がこの世界に入りこの研究を止めなくてはと思ったんだ⋯⋯」



 今更ごめんじゃ済まない話しだ。

 ロボットの研究をするのは勝手だけど、そこら辺見越して造ってほしい。


 でもまぁ⋯⋯こうなってしまったのは仕方ない。

 私達でどうにかハンターを止めないと、この先も犠牲者が増え続けるだけ。


 放って置くといずれは地球から人間がいなくなってしまう。

 私はその恐怖が頭を過ぎりつい言葉を発してしまった。



「私達も協力する」



 プリンの意見は聞いていないけど、協力してハンターを止めないと大変な事になる⋯⋯予感がする。



「ちっ⋯⋯仕方ねぇな。何すりゃいいんだ?」



 嫌々ながらもプリンも協力するようだ。

 どうすればハンターを止められるのか、皆目検討も付かない。

 今はこの人に従うしかない。



「まずはこの研究を止めなくてはいけない。もうこれ以上、外の人を呼び寄せない為に⋯⋯。」

「あぁ」

「この研究は機械から特殊な電波を流し、テレビから強烈な光を発し、それを見た人は脳に刺激を与える。そしてその人の魂だけをこの世界に呼び寄せる。

 少し現実味がない話しだけど、実際に君達も体験したでしょう? 君達の本体は現実世界にある。だけど、こっちの世界で命を落とした場合⋯⋯現実世界でも脳は停止する。

 それでその機械があるのが⋯⋯」



 敦はそこまで言うと、持っていたカップをテーブルに置き歩き出した。

 私達は顔を見合わせ敦の後を追う。



「ここだ」



 そう言うと、この敷地内にある建物の前で歩みを止めた。

 結界の中。

 左手に見える大きくそびえ立つ建物だ。



「その機械を見つけたらどうすればいい?」

「この中に主電源がある。そこを壊してくれればいいよ。そうすると全ての機械が停止する」

「なぜそれを自分でしない?」

「⋯⋯中にはハンターがうじゃうじゃいるんだよ。ハンターの中にも皆を仕切っているリーダー格もいる。ハンターを殲滅しなければ主電源へは辿り着けないだろう」



 なるほど。

 ただ主電源を壊せばいいだけならこの人でも出来るもんね。


 中にハンターがいるとなると、これは二人じゃ無理かもしれない。



「俺達だけじゃ危険だ。ツキとマール、それに戦える奴らを皆連れてくるぞ。手分けして殺したほうが早い」



 プリンはそう言いながらPitboyピットボーイを開く。

 一度ザナに戻り戦闘班を作る事にしよう。


 私もPitboyピットボーイを開きザナへファストトラベルをした。



「人数連れてまた来る」



 飛ぶ瞬間、プリンの声が聞こえた。



ブワンーー

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