21話 生と死の狭間 ~少しでも助けに~

「おい⋯⋯そこにいろっつったろうが! ったく⋯⋯」



 そんなプリンの言葉を無視して、二階から私達を狙っているミュートンに狙いを定めた。

 ここはアサルトライフルでやったほうがいいかな。ミュートンは体力が高い。


 このアサルトライフルはパイプを繋ぎ合わせて作られた、パイプアサルトライフル。

 この世界にはこのようなパイプで作られた銃器が沢山散らばっている。NPCが作った物を放置したのか、殺されて投げられたのかわからないが、どこにでも落ちているような代物だ。



ピピピーー命中率76%



 やっぱり下から狙えば命中率低いか⋯⋯。



「もうちょい動けば⋯⋯」



 私は隠れている位置から、少しずつ移動して命中率が高い場所を探った。



ーードゥルルルルルル



「うわ!」



 二階にいるミュートンが私を狙ってミニガンを乱射した。

 まぁ、そりゃそうだよね。ミュートンだって黙って見てるわけじゃないし。

 とにかく撃たなきゃ! そういう思いで私はV.A.R.T.S.バーツを起動してアサルトライフルを乱射した。



ドドドドーーピュゥンーードドドーーピュゥンーー



「ふぅーー」



 二階から私を狙っていたミュートンは、倒れた勢いでミニガンを落とし、それが二階の柵を越えて私の近くへと落下した。



「よしっ! 倒したよ、プリン!」



 二階のミュートンを倒してテンションが上がっていたせいで、私がプリンの方に駆け寄ろうとした時⋯⋯。



「下がれ!」

「え?」



 プリンが私のほうに手を伸ばし叫んでいる。

 その奥を覗くとミュートンがミニガンを構えて私を狙っていた。


 それと同時にプリンがーー



ーードゥルルルルル



「きゃぁぁ!!」



 ミニガンが発射されるのと同時に私は吹っ飛ばされた⋯⋯プリンに。



「おいっ⋯⋯そこに⋯⋯隠れろ⋯⋯っ⋯⋯!」



 プリンは血だらけでこっちに這ってくる。


 私は一瞬の出来事で、何が起こったのか理解するのに時間がかかった。

 しかしプリンが血だらけで苦しそうにしている姿を見て、すぐに正気を取り戻した。



「プリン⋯⋯」



 ⋯⋯私のせい? 私が近寄ったから⋯⋯?



「俺は⋯⋯いいから⋯⋯あいつを⋯⋯殺れ」



 プリンはそういうと、近くの壁に這っていき、もたれかかった。



 ミニガンを持ったミュートンは、のそのそと近寄ってくる。

 このままこっちに来ればプリンが⋯⋯!


 私はミュートンの前に出てアサルトライフルを乱射した。



ドドドドーーピュゥンーードドドドーーピュゥン



 まだ⋯⋯死んでない。このミュートン強い!

 私は急いでリロードをして再びミュートンへ向け乱射した。



カシャーードドドドーーピュゥンーー



 幸いミニガンはリロードにもの凄く時間がかかる為、ミュートンがリロードし終わる前に私が乱射した銃弾がミュートンの体を貫いた。

 そしてミュートンはミニガンを床に落とし、前のめりになりその場に倒れた。



「あ⋯⋯プリン!」



 そうだ、プリンが⋯⋯。

 私のせいでプリンがーー私を庇ったから。


 プリンの側へ行くと、体からは大量の血がにじみ出ている。

 目を瞑ったままピクリとも動かない。



「プリンーー死んでない⋯⋯よね?」



 お願い起きて! 私はそういう思いで一目散にプリンの所に駆け寄り、プリンの体を揺らした。



「ねぇ、ちょっと! こんな時に冗談とかいいから!」



 冗談だと信じたい。

 しかしプリンはいくら揺すっても叩いても、ピクリとも動かない。

 ただ⋯⋯プリンの体から血が流れ続けているだけ。


 徐々にプリンの座っている場所が、赤く染まっていき広がっていくーー



「ねぇ⋯⋯ねぇってば⋯⋯」



 起きてよ、プリン。

 私⋯⋯大輔もいないし、こんな世界で一人は嫌だよ。

 プリンまでいなくなったら⋯⋯嫌だよ。




 私は泣きながらプリンの体にしがみつき、力いっぱい揺すり続けた。



「⋯⋯ねぇ、嫌だよ。ねぇ⋯⋯起きてよ⋯⋯プリン!」

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