閑話 師弟の会話。冒険者について

「ミリア師匠。お聞きしたいことがあるんですが」

「なんじゃ?」

「実は以前師匠が話された旅芸人も冒険者、というのが気にかかっていまして。実際、冒険者の役割ってなんなんですか。」

「ふむ。では、今日は折角だからこの国の歴史について話すとしようかね。」

「よろしくお願いします。あっ、折角だからお茶を入れますね。」

「頼むよ。それにしてもよく念力でお茶なんて入れられるもんだね。そこまで器用な魔法使いは他におるまいよ。」

「そうですか。まあ、この体で家事をやろうとすれば、1番使用頻度は増えますからね。はい、お待たせしました。」

「おお、ありがとうよ。さて、どこから話したものか。やはり、最初に冒険王アレク一世について話すとしようかね」

「冒険王ですか。ずいぶん勇ましいですね。」

「確かに呼び名はそうだが、アレク王自体は特に冒険をしたわけではないんじゃよ。彼は1500年前、つまりこの国の初期の王の1人じゃ。国といっても最初はまとまりが無く、彼が王位を継いだ前後からやっと国がまとまり発展速度が速くなったことで、人口も増えていった。そうなると土地が足りなくなる。そこでアレク王は1部の兵士達に、国周辺の土地の探索を命じた。これが最初期の冒険者達じゃ。そしてアレク王は最初に冒険者の仕事を命じたということで冒険王と呼ばれておる。」

「へえ。冒険者は最初は兵士だったんですね。」

「そうじゃ。そして、ある程度の探索が終われば次は開拓じゃ。住めそうな土地があると、そこに開拓村を作る。しかし、当たり前じゃが村を作るには農民をはじめ多くの役割が必要で、それぞれの人間に木を切り開いたり、地をならす余裕はなかった。そこで、土地の探索が一区切りしたところで、今度は兵に開拓を命じたんじゃ。」

「そうすることで、農民なら農民の畑仕事に集中出来るということですね。」

「うむ。そして、あるばしょの開拓が終われば他の開拓地に派遣される。そういった動きを統括したのが、冒険者ギルドじゃ。そして、初めは兵士だけだった冒険者も、他に仕事がないものなんかが仕事を求めているうちにいろんな人が増えてな。更に時が経つと、定住しない流れの魔法使いや、吟遊詩人、話の最初のきっかけになった旅芸人なんかも冒険者ギルドが管理し、依頼のある開拓村に派遣していたんじゃよ。そこから時代が進み、開拓村がほとんど無くなった今も、冒険者ギルドは定住地を持たない者たちを管理する役割を持っているし、依頼者とギルド会員との橋渡しをしとるんじゃ。ギルドも初めは国の一機関じゃったが、規模が増えた事で今は半分民間の互助組織化しておるが、今でも国とは深い関係を結んでおる。ギルドの今の仕事の中心は魔獣などがでた際の討伐者の派遣じゃが他にも祭りの時に吟遊詩人や旅芸人を派遣したり、儂が世話になっとるように流れの魔法使いからの魔道具の買取なんかを行なっているというわけじゃ。まあ、そういうわけで多少違和感はあるが最初の役割にちなみ我々は冒険者、と呼ばれておるんじゃよ。」

「ありがとうございます。おかげスッキリできました。」

「何、勉強熱心なのはいいことじゃ。他にも知りたいことがあれば、また教えてやろう。」

「はい、よろしくお願いします。」

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