64話 職人さん募集中

「おい、カデュウ。召喚とか遠聴とか鍛冶とか錬金術に付与魔術、書庫とかの方が重要じゃなかったか? なんで食料の話ばかり思い出してるんだ?」

「え、食べ物は最重要では?」


 ソトの指摘に、カデュウは真顔で返した。


「いや重要だけどさ。まあとりあえずあれだ、魔術的な施設は封印されていたり重要なアイテムが欠けていたりで使えなかったが、鍛冶工房は手入れをすれば動かせそうだったんだろ?」

「ええ。鍛冶職人さえいれば問題なく使えそうですね。しかも現在では失われた技術で作られているそうです、古代帝国最高のものだとか」

「鉱石は石材屋のドワーフがおまけに持ってくるしな」


 別に頼んだわけではないのだが雑に石材と共に色々な鉱石なども置いていくのだ。

 それで金貨50枚を要求して去っていく謎の石材屋であった。

 『支払いを渋ると死ぬから気をつけよ』などと後から魔王の助言があったがそういう事は先に伝えていただきたい。


「召喚の間、といっても魔物召喚の為のものらしいですけど、イスマ用の魔術用具を買ってくれば動かせるって言ってましたね」

「……うごかせるっていってました」


 えっへん。とかわいらしく胸を張っているイスマ。


「後は封印されていましたが……、よっぽど危ないものだったんでしょうか」

「さあな。どの道、そっちはお手上げだ。かの伝説の魔術師シフィタークの封印があってはとても解除は出来んだろう」


「魔物創造の研究なんかもされていたらしいですね。古代帝国時代の魔術師でも作ってた人がいたみたいですけど、魔王軍のものだから施設の機能も凄かったんでしょうね、多分」

「何故ゴーレム研究はされていないのか……げせぬ」

「魔王軍には魔物がいくらでもいるのに、わざわざゴーレム創る意味ないからじゃないですか? 古代帝国でも召喚した方が早いでしょうし……」


 と、言ったところでソト師匠が段々しょんぼりした顔になって来た。


「あ、いや。ゴーレムは創るのに創造性や高い習熟度がいるからですよきっと」


「むー。確かに、天才の私でなければ扱えないような繊細な技量と綿密な設計が必要だからな。言わば魔術師と技師、両方の能力に秀でてなくては務まらん。なんだ、やはり私は古代の魔術師なんかよりも天才なんだな。はっはっは!」


 確か古代の魔術師の中に魔導技師レーヴェンサレルという人物が居たって聞いたけど、ソト師匠がご機嫌なので黙っておこう。



「ともかく。魔王城という生きた遺跡と転移陣、周辺の大森林などの環境、これらが他所にはない明確な特徴だね」

「上手く開拓に生かすべきでしょうね」


「うん。まぁ、当面は生活環境を整えつつ資金稼ぎが主体になるけど。持ってきた薬草や素材が上手く売れるといいな。それもただ売るだけじゃなくて、定期購入してくれる取引先を見つけたいね。薬草類は僕らの環境を考えればかなり多いだろうし、魔物の素材を取り扱う商会とも契約したい」


「確かに、決まった相手となら安定した取引になるものね」

「後は鍛冶師などの職人を探すのも大切な目標かな。鉄器の道具も壊れてきちゃってるんだ」

「刃物を研ぐぐらいなら私が出来ますけど、打ち直したりは職人さんじゃないとダメですよ」


「ふーん。順調そうに思ってたけど、まだまだなんだね」


 ベッドで寝転ぶユディが、そのままカデュウの方に身体を向け足をばたつかせた。


「うん。街を作り維持していくには、色々な専門職の人材が必要なんだ。ひとまず生活は出来るようになったから、次の段階に行く時だね」

「当面は、そうした人材を探しつつ、交易や直接販売で資金調達ってとこかな」

「ついでにこなせる冒険依頼を受けてもいいかもね」


 クロスからの提案に、カデュウも頷く。


「スケジュールに問題がなければやってみてもいいかな。それじゃあ、そんな方針でがんばろー!」

「お任せ下さい、なんでもぶった斬ります!」


 任せてはいけない子、アイスが何か言っていた。

 今の会話にぶった斬る要素無かったよね……。

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