第28話時の移動

エブァンは、大きい布を用意し待機していた。


「布をどうするかだ?」


「マリー様が帰ってくる時は、全裸だ。隠してやらないとお前がマリー様を襲う可能性があるんだよ」


「どう言う事だ」


「男には毒だ、理性を奪われてだきたくなるんだよ。あれは厄介だ。本人の意思なんて関係なくなるからな」


「そこまでか?そんな風にはならないと思うぞ」


「いいから見ていろ、ちなみに理性に保護魔法しとけ」


「わかった」


「保護しててもきついからな」


「そんなか」


マリーが大人の姿で現れた始めすぐに布をかぶせた。


「アリーおまたせ。エブァンもいたのね。ただいま」


「お帰りなさいませ、マリー様」


アリーの様子がおかしかった。何かあったのかしら?

アリーの顔を除きこんだ


「アリー大丈夫?」


何気なくとった行動だったのだが、アリーには、耐え難かった。


「マリー、頼む離れてくれ」


これはキツイ、保護しててもこれだとは思わなかった。

エブァンの言う通りしててよかった。


「わ、わかったわ。エブァンアリーに何があったの?」


「マリー様、先に服を」


前回もそうだが、今回はさらにキツくなってる。流石の俺でもキツすぎる。


「あ!すぐに着替えるわ」


手を叩き、着替えを終えると


「2人ともごめんね、気がつかなくて」


「いいえ、大丈夫です」


「エブァンに聞いてはいたがここまでとはな」


「そんなに辛いの?」


「ツライですよ。理性飛んだら間違いなく襲いますからね。そんなことしたら配下にそれこそ殺される」


「エブァンの言う通りだな。それをして許されるわけないだろうな」


「前回の時は、俺以外の男が理性飛んで、女どもが首元にナイフが刺さりかけてようやく理性を取り戻せたんだ」


「それ、見たくないぞ」


「あれを鬼の形相と言うんだろうな。お前より怖かったぞ」


「俺、そこにいなくてよかった」


「ごめんなさいね」


「いえ、マリー様が悪いわけではないのです」


「それにしても、マリー様その姿えらく変わりましたね」


「それが元に戻らないのよ。前の方が動きやすかったんだけどね」


「なるほど、見た目は20歳ぐらいまで大きくなったみたいですね。大人の女性になられて素敵ですよ」


「私少女の方がいいと………え!」


「マリー様戻りましたよ」


「どうなってるのよ私の体!」


「もしかすると魔力が関係してるかもな」


「そうなの?調べてみるわ」


体の中の魔力が流れやすくなって意識をするだけで大きさが変えられるようになっていた。


「本当ね、魔力の流れが良くなって、意識すると大きくなれるみたいね」


「よかったな、成功したようだ。これで俺の役割も終わったし、帰る」


「アリー、もしよかったらここに居ても………」


「愚問だったわね」


「いいさ。いつでも会えるから心配するな」


「それとマリー頼まれたこと話は通しておいてやる、代わりにお前があの山の魔物を痛めつけてやれ、そうすれば嫌でも逆らわなくなるからな。それは任せたぞ」


「わかったわよ。やりますよ」


「エブァン、クオンに結界内に保護した者を移動させるように伝えて」


「わかりました。それでは行っています」


「私も移動するわね、アリーありがとう」


「礼には及ばんよ。お前には返してきれないほどの事をしてもらった、こんな事ぐらいで礼はいらん」


「ダメだよ、ちゃんとお礼は大事。気持ちが大事なんだから」


「マリーが言うなら、その言葉もらっておく」


「うん、その方がいいよ」


「アリーもまたね」


「またな」


各自場を後にした。


「クオン、用意はできた?」


「は!ですが2名だけでも助けてやりたく連れてきたのだから」


「クオン、それがね、3体助けられそうなのよ」


「本当ですか?」


「ええ、ただし1人は悪魔にならないといけないけど代わりに魂は、3つとも助けられる。もしくは魂を返して生まれ変わるか、この子達に選択をさせようと思って」


「わかりました、聞いてみます」


―――俺たちは今のままでは、理性を保つことすらできない。なら、変われるならそうしたいが、この中の1人は悪魔になってしまうのも構わない。魂が生まれ変わるよりはいい。

あいつらに仕返しがしたい。


―――俺達も、それでいい。


―――誰が悪魔に待っても文句は無しだぞ。本当にいいんだな。


―――それでいい


―――どのみち、このままだと、ここからは出られないからな


―――わかった、マリー様に言っておく。


「聞こえていたわよ。わざわざ説明いらないわよ」


「!?聞こえるんですか?」


「もちろんよ、クオンとあった時から話していたでしょう忘れた?」


「言われてみればそうでしたね」


「クオン、しっかりして」


「申し訳ありません」


「いいわ、始めるわよ」


―――アリーは、山の頂上でマリーを見ていた。始まったようだな。うまいくなっているようだな。これなら安心してみていられる。

マリーの成長を微笑みながら見ていたのだった。



まずは体と魂を別にして、体を元の場所に移動、繋げた場所に再生を促す魔法を施したと。


手足と体がバラバラになっているのを元に戻していった。

あとは頭だけになっているのをこの死体に取り付けて再生魔法を施しくっつけてと、拒否反応してるよ。

それなら、保護魔法と体を動かす魔法を混ぜた方式に変えて、それを首につけて、体に戻したらどうかな?


うまくいった。あとは再生魔法でくっつければできた。

猛獣、人、悪魔の体が完成した。

これに魂を戻してあげればいいのだけど、魂が定着しやするするには魂の周りに魔力をまとわせて、そのまま中に入れる。

できた。

あとは起きるのを待つだけだね。


「クオン、終わったわよ、あとは起き上がるのを待つだけだよ。それには時間がかかるからこの中にいてね。起きたら出られるから。それまで家族には、待っててもらうけど大丈夫ね」


「はい、ありがとうございます、これでこいつらも喜びます」


「それは良かった。エブァン、そろそろ最初の民が起きるからだと思うのだけれども」


「それがですね、つい2時間前に起きて家族の元に戻っております、マリー様が覚醒している間にです。待ちきれそうにもなかったもので私の判断で返しました」


「それはいいけど大丈夫だったの?」


「今のところ問題はなさそうですが、念の為保護魔法を全身に施して出しました」


「それなら大丈夫そうね、一度見に行かないといけないわ」


「わかりました、その者達を集めておきます」


「そうしてちょうだい」


ーーーーーーーー


しばらくすると、エブァンが現れた。


「マリー様、皆を集めました」


「今行きます」


「1人ずつ、私の前に出てきて」


「はい」


1人ずつ魂の定着具合を見ながら保護魔法を解いていった。

全員の保護魔法を解除が終わると、歓声の声が漏れた


「やったー、マリー様、なんてお礼を言っていいか」


「お礼なんていいよ、楽しい人生になれればそれだけでいい。祝福は、そこにこそあるのだからね」


「それでも、俺らの気が済まない、何かないか?」


「うーん、それなら、子供達をみんなで見てあげて、教え導くように、同じ過ちをこの子達にさせないように」


「そんな事でいいのか?」


「私の望みは、それだから。そうなるようにこの子達が大人になった時、同じように思えるように、みんなで育てて、それが私へお礼になるから」


「わかった、俺たちが責任を持って育てていくよ」


「ありがとう」



もう一つやらないといけない事をしないとね。


木が倒れる前に、しておかなくては。


「時と共に歩 時代と共に進む 汝は時の旅人」



時の流れの中に移動した。木を切っている場所まで行かないと。

時の流れ、その中は川のように流れている。そこには世界の日常が日々映し出されて流れていた。


その流れの中に飛び込むとそこがその時代、その時期に舞い降りることができる。


ここね。時の流れに飛び込んだ。


私がいる場所が猛獣区の遥か奥に当たる場所、猛獣区と山を隔てた向こう側だった。


民は、そこを忘れられた場所ザフティミアスタと呼んでいた。


そこはただ荒地が続く場所山半分が緑に覆われているのだが、その半分山の向こう側は、木が枯れはてて生きるものがいない場所になっている。山のふもとに魔法陣と時計がその中に建てられていた。


それを守るように数万の民達がそれを交代で守っていたのだった。

人数が多いいわね。


少し戻ってもいいけど、それだと面倒な事になりそう。とりあえず私が時が早く進んでいるのを理解している状態でなければならないのだが。

いいや、このまま進もう。

どの道戦いは避けられないしね。


山を下る前に防御をしておかないとね。できれば傷つけたくはないんだけどな。


そうだ、攻撃されても痛くないように吸収タイプして、円形状に貼っておけばいいかも。ついでに魔力を洞窟に流れるように繋げておけば、完璧。


これで行こう。




「おい、あそこだれか降りてくるぞ」


「ここまで来れるということは、それなりに腕があるか、回避方法を知っているかだ、声をかけてみるか」


「その方がよさそうだぞ、あいつ結界張ってる。腕がある方だな」


「なら、警戒して損はないな」


「間違いない」



山を降り始めると、それに気がついた者達が声をかけてきた



「ここは女がくるような場所ではない、立ち去れ」


「そのようね、でも私あそこに用があるのよ」


「仲間?」


「多分、違うと思うわよ」


「それならさっさと立ち去れ、そうでなければ痛い目を見るだけだ」


「怖いこと言うのね、でも私に危害加えるのは無理だと思うわよ」


「バカを言うなら、寝てから言え」


攻撃をしてきたのだが、全く通用していなかった。

物理は衝撃を吸収してしまうし、魔法はも吸収してなくなるのだからね。


御構い無しに、時計へと歩みを進める。

結界を破る魔法をしてきたわね。それだとちょっと弱いわね。多分触れたら吸収されそうな感じなんだけど、どうかしらね。


進んで、私の結界に触れた途端なくなった。

やっぱりなくなるんだね。

勉強になる、あの方式だと左側の方式を書き換えすれば行けたと思うんだよね。今度試してみよ。

などと、考えながら前に進む。


時計まで半分くらいの所まで降りてきたが、周りが必死になって攻撃を繰り広げていた。

意味をなしていない状況になっている。

お!今度は水と雷の混合できたわね。

綺麗ね。

次は炎と土の混合ね。

緑と光の混合、どれもとても綺麗に吸い込まれていった。

結界の外側を包むように消える。


「どうなっているんだ?全て吸い込まれていくぞ」


「俺に聞くな、わかっていたら苦労はしない」


「物理もダメ、魔法もダメ、物理と魔法の混合もダメ」


「打つ手なしだろうが」


「とにかくやり続けるしかないだろ」


「わかっているがここまでダメだと諦めたくなるだろ」


「つべこべ言わずにやれ」


「やっているだろ」


「やらないと、後でどんな間に合うかわかってるだろうが」


「クソが」


さらに時計に近づいていく。近くになればなるほど大きいわね。あれが異世界の時間を狂わせている時計ね。もう少しで到着ね。


前方に結界に覆われた大きな猛暑がそこに置かれた。

なんてことをしているの。

結界内の中にいた猛獣に鎖のついた球が付いていた。首にも同じように繋がれているのが見えた。


同じ人間とは思えなかった。

あまりにも酷く、悲しくなってしまう。

学ばない民は、どうしてこんなにも同じ過ちを繰り返し続けらのだろうと。

涙を流しながら前へと進む。


猛獣の近くになると、学ばない民と、時計の結界を維持するものも同じく山の頂上へ移動した。


全ての者が移動し終えると結界が解除、鎖も外され、傷だらけになっているにもかかわらず、襲いかかってきた。

もちろん攻撃波は吸収されている。


ーーーなんで、この者の言うことを聞くの?


ーーーお前に何がわかる?


ーーーわからないわ、わかることは貴方を助けられることだけよ。悲しみや辛さは他人にはわからない。


ーーーお前俺の言葉がわかるのか


ーーーわかるわよ、助けてあげる


ーーー無理だ、私には貴方に助けてもらう筋合いがないもの、本来襲うのが猛獣の本能なのだから


ーーーそう、貴方子供取られちゃったのね


ーーーなんでそれを


ーーー秘密よ、でもその子ここに呼んであげるわ


ーーーさっきも言ったでしょ、無理


ーーーもしできたら、あの人達の言うことを聞かなくて済むかしら?


ーーーええ、聞く必要がないわね


ーーーそれなら決まり、呼ぶわね


「母の元 抱かれる子供 魂の祝福に包まれよ カクマイチリ」


小さな光が母親の足元で光り出し、だんだんと大きくなって姿を現した。



「ママー、怖かったよ」


「私の子、よく無事でいてくれた。母は心配してました」


「ママがいっぱい怪我してる、そうか、こいつだねママを傷つけたのは」


「こら、おやめ。この人は貴方を助けてくれた人。ママを傷つけた人ではないわよ」


「誰?ママを傷つけた人は?僕がやっつけてやる」


「頼もしいことね、それだけ元気なら、心配はらないわね」


「どうやって……」


「それを教えてる暇はなさそうだから、貴方達この山の向こう側へ行ったら、川を渡りなさい川の向こう側に貴方達の王クオンがいるはずです。クオンにあって配下に下りなさい。きっと助けてくれるはずだから。」


「貴方の名前は?」


「大事よ、向こうで会えるからその時にきっと知るわよ。私の名前」


「早く行って、貴方達に被害がかかる前に」


「はい、このご恩は一生忘れない。本当にありがとう」


猛獣は走り去っていった。


人が作った結界を飛び越えて。


さあ、時計のところまで辿りつけたし、始めましょうか。


「時を統べる者 時の流れに逆らう物 汝(なんじ)時の旅人なり ソウルティティング」


時計の針が元の早さに戻った。後は時計を破壊すればいいわね。


破壊は簡単だった。重力魔法を時計にかけたらペッチャンコ。


ん?あの奥にもう一つ魔法陣があるわね。もしかして……



近づいて魔方陣を確かめた。

やっぱこれ現代につながる魔法陣だわ。こんなところにあったのね。

これも破壊私が触れたら

パリーンと音と共に砕けた。


この知識を持つのは、危険ね。

それは、奪いましょう。


これに一役買ってもらいましょう。


ここでの作業を終わらせて、次の場所に移動をした。


空に手をかざすと流れが見えて、その中に飛び込んだ。


「今のは一体誰だったんだ」


「あんな化け物相手にしていたら命いくつあっても足らないだろ」


「でも、彼の方にどう説明をするんだ?」


「そのまま伝えればいいだろう、信じるか信じないかは別の話だ」


「この話は保留だな」


「全員撤収」


そう言ってその場にいた者達は、帰っていったのだった




ーーーーー次の場所に到着したーーーーー




学ばない民達が木を切り終え帰宅している所だった


全てが帰るまで様子を見てからにしないとね。


今の時期は、ちょうど私が山から降りて隠れ家当たりかしら


ここは、大変になりそう。


誰もいないようね。

あたりを警戒しながら木の根元までやってきた。


危ない、ギリギリで倒れちゃうところだった。

早くに対処しておかないとね。回復魔法全開で施し始めた。

感知魔法も同時に発動し、作業を行った。

そのおかげで、木は回復して半分近くまで切られていたのが、3分の2まで塞がっていた。


これで当分は大丈夫ね。


こっちに向かってくるやつがいる。

急いで隠れた。


「今日も異常ないな」


見回りがいたのね。よかった感知魔法発動しておいて

見回り役は辺りをキョロキョロしながら木の側まで進んでくると特に変わりがない事に帰ろうと木に目をやった時だった


「これは、どういうことだ。大変だ」


そう叫ぶなり走り出した。


私は気がつかれないように外に出てバレない所まで下がって見守っていた。


しばらくすらと、大勢の民が姿を現した。


「どうなっている?俺たちが帰るまでは、確かに木は倒れる寸前まで切ってあった筈だ」


「そうだ、なのに今目の前にあるのは、10年前と同じ切り口まで戻っているじぁないか」


「わかってる、切っていた切り屑も跡形もなくふさがれているぞ」


「あと少しだという所で、もしかしたら木が切られないように再生し始めているんじゃないだろうな」


「まさか、とりあえず少し切ってみるか」


「そうだな」


木を切り始めたしばらくすると


「再生しないようだな」


「俺たちがいなくなった後再生したなら、1時間待てばいいんじゃないか」


「確かに一度帰るか」


「その方が良さそうだ」


ーーーーーー


再び民はやってきた

木の切り口を見ていた。


「塞がってないようだな」


「最後の悪あがきをしたんじゃないか?」


「その可能性あるかもな」


「振り出しに戻ったのは痛いが、これで完全に倒せる」


「そうだな、明日から頑張るか」


「そろそろ闇が来る時間だ戻るぞ、他の事は明日考えよう」


「ああ」


民は家路に帰って行った。


これでしばらくは持ちそうね。


後は現代の魂移動魔法、その知識を奪いに行かなくては。

あの魔法は学ばない民が手にしていい物ではない。


時の流れに戻ると手に追跡魔法を大量に用意した。それは目には消して見えない。

私が生まれた頃まで戻り、作った者を追跡できるように解き放った。

これでいいわね。

後は元の時間と場所に戻ればいい。


帰ったらまた忙しくなりそうね。

そう思いながら戻るのだった。

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