第218話0218★白夜だって、早く旅商人に会いたい



 「父上 白夜は 早く商人などが行きう街道にまで出て

  旅商人のキャラバン隊と出会いたいです


  父上が持っていた このヒールと呼ばれる靴はかかとが高いので

  どうしても長く歩けません


  それに 父上だって 昨夜に言ってたじゃないですか

  移動する時間を早くする為に 足となる馬が欲しいって


  運がよければ 馬付きの馬車が手に入るかもしれませんし

  【竜ケ峰りゅうがみね】の樹海では手に入れられなかった香辛料の類いも

  手に入るかもしれませんよ」


 白夜のセリフに、つらいならと思って聞いた神護は、確かにその通りだと頷く。

 そして、樹海生まれのリオウを見るが、リオウの方も全然平気な顔をしていた。


 砂漠の熱波に負けて、舌を出してゼイゼイするかと思ったけど

 意外と大丈夫みたいだな、リオウも白夜も平気ならこのまま進もう


 ああ確かに、白夜の言葉は正論だし……切実なのも確かだしな

 いや、別に歩いたり走ったりしても、あまり疲れないし……


 というか、胎内に取り込んだ【ルシフェル】が補助してくれるから

 そういう意味では、俺はキツクないけど………


 転生して子供の身体になってしまった白夜と、やっぱりヒリュオンの

 子供のリオウには、きっとツライ旅になるよなぁ………


 そうなると、旅商人のキャラバン隊を見逃したくない、切実に


 夜中、ホタルの視界と繋いで、確認した時には街道を走っている

 キャラバン隊とおぼしき馬車隊とかは確認出来なかったが………


 そう敵も見かけなかったけれど、旅商人らしきキャラバン隊も見掛けなかった神護は、ちょっと肩を竦めて言う。


 「そんじゃぁ~…このまま歩き続けるぞ、太陽が中天に昇って

  キツイと感じたら《転移》で、1度いにしえの女神の神殿に戻るぞ」


 「はい 父上」


 「クルルゥ~ルゥゥ~……」


 神護の言葉に、白夜と共にリオウも楽しそうに頷く。


 こうして観察していると、リオウはかなり頭が良いみたいだな

 馬並み以上で…猿未満? いや、猿よりもことによったら利口かも


 俺達の会話も、しっかりと聞いているようだしな

 その上で、きちんと自分で物事を判断できているようだし


 まぁ……ヒリュオンの成体ってやつを確認してないけど

 この大きさでもかなり子供のようだから、すごく大きくなるかも


 リオンが乗れるような、大きくて頑丈な馬車があると良いんだが

 こちらの基準が全然わからないからなぁ………はぁ~………

 まだ、知識方面を引っ張り出そうとすると、頭痛と眩暈を感じるし


 そんなことを考えながら歩く神護の少し前を、馬のような生き物がも凄い勢いで駆け抜けていく。


 えっとぉ~…しかして、今目の前通ったのがこっちの馬なのか?

 足が速かったから詳細までは、良くることが出来なかったけど


 俺が生れ育った世界の馬に、なんとなくだけど似てたなぁ……

 その形態が……いや、大きいし…全体的にゴツイ感じがしたけど

 ……足……ヒヅメじゃなかったような………獣足?


 うぅ~ん……色々とこっちの動物を観察するのは楽しそうだな

 まぁとりあえずは、俺達を襲って来る気配はないようだな




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