第206話0206★成長する翼2
ちなみに、リオウのちょうだいちょうだいとは、神護が冗談で、余分に欲しい時は、お手とおかわりをすると良いんだぞと教えた結果だったりする。
《ちかご》を《ショウ》で食べるだけ食べた一行は、少し休憩した後、再び歩き始めた。
勿論、休んだとはいえ食後なので、ゆっくりとした移動ではあったが………。
ルンルンで数歩先を歩く白夜が、急に立ち止まって、小さく呻きながら
「白夜っ」
神護は慌てて抱き上げ、白夜に問い掛ける。
「翼か?」
神護の問いに、涙目でコクコクして、震える唇が言葉を零れ落とす。
「ち…ちうえぇ…… 痛いっ……すっごく……っ… いきなり……
みしっ びしって…… 音が はっきり聞こえました」
神護は頷いて、リオウを呼ぶ。
「リオウ《転移》する」
それだけで、リオウは神護の隣りにスッと戻る。
次の瞬間には、
神護は、白夜を降ろし、マントを外して翼の確認をする。
「……っ…ふぅ~…あぁ~……こりゃ~…痛くて当然だなぁ
翼の根元が、急に大きくなったんで、何箇所も裂けてるな……
ふむ、翼自身も一回りどころじゃなく全体的に大きくなってるな」
白夜の翼は、手持ちの子供用マントで隠すの困難なくらいに大きくなってきていた。
最初の頃は、本当に小さくて、鶏の雛の翼程度だったのだが………。
一応、白夜の背中に、1対で存在していたが、飾りとも呼べないような、小さな小さな翼だった。
そう、神護の親指程度の大きさも無かった翼は、あっという間に、こぶし大になり。
神護の手のひらよりも大きくなったなぁ~……と思ったら、すぐに鳩並みの翼くらいになり……。
今は、背骨と肩甲骨の間の上部に生えている翼の根元が更に太くなり、折りたたんだ翼は、肩から上へとはみ出るほどになっていた。
「うぅ~ん…これだと、肩止めのマントじゃ…もう翼を隠せないな
どうしようか? 頭から被る…フード付きのゆったりとした……
大きなマントが必要だな、あと、新しい服も必要だな」
神護のセリフに、白夜は内心で歓喜していた。
〔あぁ… よかったぁ~ 本当に良かった 私の背にある翼は
飛翔族としての 最低限の翼の大きさにはなったんだ~………
まだ 空を自由に飛べるだけの 大きさにはなっていないが
この翼ならば 祈願成就の《力》を内包しているはずです
今度こそ 父上の願い事を叶える《力》が私の翼に備わったはず
ならば もう一度 父上の願い事を その唇から聞ければ
私の翼に潜む 祈願成就の《力》を発動できる……きっと……〕
その白夜の心情が
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