第182話0182★一難去らずに、また一難
まるで、そこに何も居ないかのように歩き出した神護と、それに寄り添って歩くリオンに、男達が猛り狂う。
馬鹿にされた………と。
そして、まず、ブタ男が吠える。
「まてっ…このクソ餓鬼っ……こっちが優しく言ってやってるのに
無視かよっ」
イタチとネズミの中間のような、何処かひょろっとして腹だけボテッとしている男が、喜悦に満ちた声で言う。
「お頭ぁ~…よく見りぁ~この餓鬼…面が綺麗でっせ…ぐふふふ…」
その隣りで、本家本元のブルドックが可哀想になるほと、見事に醜く脂肪太り?した、ブルドックもどきも吠える。
「コイツも…王侯貴族の好きモノに…高く売れますよ……」
などと言う、あさましい妄言に、少しだけ眉を顰めたが、神護はハッとした顔で樹海側の方に視線を向け、思い切り舌打ちをする。
「お前達、たわごと言ってないで、さっさとどっか行けっ
巻き込まれても、責任は持たないからな
っと、もう来たのかよっっ…はやっ……」
神護がそう叫んだと同時に、容赦の無い火の玉や鋭い氷の刃が幾つも飛んで来る。
だが、しかし、次々と飛来するそれらは、神護の張っている《小結界》に弾かれて、届きはしなかった。
同時に、9人組みが2組現われた。
よく見れば、1人が8人に指示する形態らしい。
その纏っている衣装を見て、神護はとぉ~っても嫌そうな顔をした。
何故なら、それはかの黒き河の兵士の姿だったから…………。
うわぁ~……改めて…というか…なんど見ても可愛げないな
ネズミキャラを可愛いと思ったコトねぇ~けどさぁ
ここまで、嫌悪感を感じさせるのってすごくない?
じゃねぇ~……逃避すんな俺…つーとぉ…今の先制攻撃から考えて
こいつらの他に…魔術師系が居るな…あれ?今のって魔法?魔術?
まっ…どっちでも良いか………
しかし、全員見事にネズミ系獣人かよ、確か
貪欲な
こんなモンの相手したかねぇ~……面倒ごとはゴメンだっつーの
ここは、三十六計逃げるが勝ちだな、やってらんねぇ~わ
そう思った瞬間、神護は傍らに寄り添っていたリオウにひょいっと跨った。
神護達は最初から《小結界》の中に居るので、余程のことがなければ危険は無いのだが、流石に黒き河の正規の小隊2つの相手はゴメンだと思った。
まして、この人数に、魔術師か魔法使いが、確実に複数存在することを見て取り、神護は大きく溜め息を吐く。
ったく…マジで冗談じゃねぇ~いぞぉ…こんなヤバイ場所で
火炎系の魔法や魔術の攻撃を仕掛けてくるなんて……
下手したら、ここら一帯森林火災になるじゃん
ここは、女神様にお祈りしながら転移するか?
とは言っても、ここってファンタジー世界だろ
白夜達飛翔族が崇めている女神様の名前は、下手に祈れないよなぁ
どういう女神様か良く知らないんだから……
あっ……そうだ……大いなる意思にでも祈ろうかな
俺が思う…すべてを、創造せし万物の親に……
根源の《力》と意思の塊に願おう
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