第144話0144★ファンタジー世界のバニラはどんなモノ?



 神護は、バニラのとてもあまぁ~い香りにかれ、小川から離れて、ザクザクと樹海もどきの中を歩いて行く。


 ズンズン歩いて行くうちに、ジワジワと温度が上がり、何時の間にかジットリとした湿気が増えていた。


 まさしく、高温多湿な空間へと足を踏み入れた神護は、バニラの概要を思い出す。


 あぁ……そっか……バニラって…高温多湿を好む………

 ランの仲間だったっけ……たしか…ラン科の仲間で……


 1番小さい種類だった筈……って…そうすると…あれ?

 バニラの果実って…サヤごと発酵させて…乾燥させる?


 でも、これって……やっぱり……バニラだよなぁ………

 もしかして、自然状態で発酵して乾燥したのかな?


 あぁ…でも……マジで…イイ香りだなぁ~…………

 アイスにプリンにケーキ……って…こっちにあるのか?


 神護は、甘い匂いにつられるように、ズンズンと歩きながら、白夜に聞いてみる。


 「白夜……白夜は、この甘い香りのする、バニラを使った

  お菓子とか食べたことあるか?」


 神護の問いに、腕の中の白夜は首を振る。


 「残念ながらありません 父上

  この甘い香りは バニラと言うモノなのですか?

  初めて感じる すごく 魅力的な香りで クラクラします」


 白夜の発言で、バニラが普及していないことを知った神護は、ここで大量に手に入れることを決意する。


 そっか……かいだことの無い匂いなのか……つーと…

 世間的に流通していないってことだよな…………


 ここは、さっきの風糖ふうとう同様に、バニラも採取できるだけ

 めぇーいっぱい集められるだけ集めておこう


 買うって手段が無いんだから、ここでバニラビーンズを

 手に入れておかないと…………


 そう思った神護は、香りに誘われるまま、その空間と足を踏み入れた。


 えっとぉ………もしかして……コレ…バニラの樹?…

 いや…蔓性だから……つっても…ふってぇ~な…

 蔓の太さが、俺の腕ぐらいあるじゃん……


 ムアッとした高温多湿の温室に入ったような空間に、巨木と見紛うような極太な蔓性の茎が、大樹と大樹の間を渡り、とぐろを巻く大蛇のように絡んでいた。


 あぁ…そういえば……あっちでも…バニラって………

 普通で、10メートルぐらい伸びて……とても伸びると…


 60メートルぐらい伸びるのもあるって書いてあったな

 バニラの栽培に興味もって…調べて挫折したっけ………


 でも、こっちのバニラの蔓って規模が全然違う気がする……

 軽ぅ~く10倍以上の規模だもんなぁ……茎が太いし……


 1番小さなラン科の花だったよなぁ……花はどこだ?

 甘い香りを放つサヤは? 蕾みってあるのか?


 疑問だらけの神護は、バニラの蔓とおぼしき、とてつもなく極太な茎をたどり、数本の大樹を巻き込みながら、上に向かって行くのを確認した。


 その中に、バニラの果実であるサヤがごっそりとぶら下がっているのを見つける。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る