第101話0101★ネズミーランドは危険がいっぱい?11 イベント開始2


 人数分の2リットルのアクエリアスを見て、全員が思った。


 これ……重いからって、飲んだらトイレ行き……

 そしたら、きっと使用料で課金されるよね………


 神護はひとつ嘆息してから言う。


 「とりあえず、1人1本を

  渡されたアイテム袋に入れて……


  ああ…真三郎と唯香と優香の分は………

  今ので喉が渇いたから、飲んじまおう………」


 体力の劣る神護の弟妹の負担を軽減するセリフに、全員が頷く。

 実際に、慌てたセイでなんとなく喉が渇いていたのもまた事実だった。

 全員が頷いたのを確認し、神護が指示を出す。

 

 「1本は、唯香と優香に、美姫に美亜に美鶴で

  もう1本は、俺と竜治……で、女子組みの量が

  少ないから誰か、先発で俺達の飲むか?


  残りの1本は、真三郎と水鳥と慶治かな?」


 神護が建設的にそう言えば、美姫がケロッと言う。


 「だったら、神護と竜治の1本、私が先発で飲むわ」


 美姫の答えに、竜治が手渡す。

 受け取った美姫は、にっこりと笑う。


 「じゃ…お先………」


 そう言って、遠慮なくゴクゴクと飲む。

 その間、神護と竜治は、とりあえずということで、このイベントの最初のステージがどういうものか確認する為に周囲を見回す。


 そこは、どうやら森林地帯の始まりをイメージして作られているようだった。

 年輪を経ているような大樹が、そこかしこに生えている。

 まだ入り口付近なので、少し薄暗い程度だが、奥を見ると鬱蒼うっそうとした森林地帯という感じだった。


 う~ん……なんか…すげぇ~…デジャウだな……

 はぁ~………まさか、遊びに来て、コレかよ……


 つっても…真三郎も優香も唯香も、楽しそうだな………

 他のメンバーも、かなり嬉々としているな…………


 神護は、ちょっと現実逃避も兼ねてなんとなくで上を見た。

 その視線の先には、まだまばらな大樹の樹冠じゅかんの向こうに、空が投影されていた。

 空の見た目は、抜けるような青空だった。


 たぶん、この巨大な大樹って、天井を支える為に

 あちこちに、配置されているモンだろうなぁ……


 「神護、君の分だよ」


 見回している間に、自分の分は飲み終わったらしい竜治が、ペットボトルを手渡してくれる。


 「ああ…サンキュー……んじゃ…」


 神護も焦ったことで、喉が渇いていたのでぐびぃーと飲んでしまう。

 綺麗に飲み終わった空のペットボトルは、自分のアイテム袋へと入れる。


 「で、みんな飲み終わったか?」


 神護の問いに、最後に飲んだ美鶴と慶治が答える。


 「飲み終わったわよ」


 「こっちも、終わった」


 2人の答えに頷いた神護は、周囲を見回してから、とりあえずなんの気配もないことを確認して言う。


 「とりあえず、ざっとでいいから

  アイテム袋の中身を確認しておこう」


 「そうだね…控え室では、着替えに一心不乱で……

  その後は、イベントゲートまで走って…………」


 竜治の言葉の続きを、お宝箱を開ける役割をふられた水鳥が引き取って言う。


 「そして、ゲートを越えて………

  イベントに入った途端に宝物イベントで……

  悪意を含んだお宝…………」


 それに美姫が続けて言う。


 「そうね………流石に、人数分のアクエ

  2リットルのペットボトルで困惑して……


  全然、アイテム袋の確認なんて

  出来なかったもんね」 




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