第83話0083★現世での神護の日常1 今日の予定は………



 神護は、ベットに座りながら、ここ最近の異常事態に悩んでいた。

 ほんの少し前、何故か異世界で戦闘をしてきたばかりなのだ。


 「はぁ~……なんとか……辛勝………」


 そう呟いて、神護は大きく伸びをする。

 ここ最近、多くなった溜め息を吐き、軽く首を振る。


 「だぁぁ~…まいったなぁ……いきなり…

  ブツンッと意識吹っ飛んで…


  はぁ~【竜ケ峰りゅうがみね】のホタルが居た

  あの場所で目覚がめたら、問答無用で

  襲い掛かって来るなんて…………」


 あれって…間違いなく獣人…だよな

 ……耳と尻尾あったし………


 神護がそうぼやくと、腕輪の中に〈ドラゴン・ソウル〉となって潜んだホタルが、心底すまなそうに言う…………勿論、心話でだ。


 [すみません マスター あの獣人達は


  私のウロコや骨などを狙って来た

  ハンター達だと思います


  飛竜の身体は…………]


 その格段に聞きやすくなったホタルの言葉と内容に、神護は頷き、心話で応える。


 [ああ、そうだったな、ホタル


  飛竜の身体は捨てるところなしの

  薬になるんだったな


  まぁ 気にしてないから気にすんな

  どっちかっつーと…イイ練習台になったな…]


 ほんの数分前の異世界の出来事を回想し、神護は肩を竦める。


 そして、そのまま部屋を出て、1階にあるリビングへと向かう。


 2階の自室から出て、下りて来た神護に、双子の妹・唯香と優香がにこにこしながら、元気良く挨拶する。


 「「あっ…おはよう…神護兄ぃ~……」」


 双子のうきうきという描写が付きそうな様子に、少し苦笑しながら言う。


 「ああ、おはよう

  珍しく早いな」


 「だって、神護兄ぃ~……今日でしょ……」


 「あたし達、楽しみにしてたんだモン」


 そう、今日は、修学旅行のレーポートで京極きょうごくさんから勝ち取った、ディ○ニーランドのパス券で、双子の妹・唯香と優香と弟の真三郎を連れて遊びに行く予定なのだ。


 当然、下の子の面倒を見たがらない真司は、参加しない。


 「あっ……それなんだけど……お父さんね」


 「緊急で、呼び出されちゃって………」


 と、大画面のテレビの中では、盛大に多重事故現場のレポートが行われていた。

 神護は、2人の言葉とテレビの内容から、父・真也しんやが不参加となったことを、瞬時に理解りかいする。


 「つーと、引率の手が足りないから

  ここは、竜治だな」


 双子に頷いて、そう呟いた神護は、スマホをぴっと押す。

 ほんの数コールで繋がる。


 『神護……ああ、さっき呼ばれてた

  ……って、今日?』


 神護からの電話で、すぐに用件がわかったらしい。


 「ああ、親父のヤツ

  今日は久しぶりに一緒に遊べるって

  喜んでたけど………


  今、テレビでやってる多重事故で

  呼び出されたんだろ…………」





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