第74話0074★揺れる異空間?・迷惑な迷いの森7 アンデット飛竜のようです



 もちろん、巨大な翼タイプの飛竜?が動いた、瞬間。

 神護は、バックステップでしっかりと、飛竜との距離をとっていた。


 当然のこととして、背中を見せるのは危険なので、そのままさがったのだ。


 生前の雄々しい姿を彷彿ほうふつさせる、巨大で威厳いげんある巨大な翼タイプの飛竜は、唐突に口を開いた。


 『少年ヨ ナニヲシニ コノ 

  封印サレシ【竜ケ峰りゅうがみね】ヘト 

  ワケイッタ 我ガ狙イカ?』


 神護は、それで、今自分がいる場所の名前を知って、無意識に呟く。


 「へぇ~………この樹海モドキって…………

  【竜ケ峰りゅうがみね】って言うのか………

  じゃなくて、我が狙いって?」


 突然現れた、アンデットの飛竜?に、神護はなぜか恐怖は感じなかった。

 いや、確かに驚いたのだが、その圧倒的な姿に魅せられたのだ。


 そんな神護の言葉に、巨大なアンデット飛竜が、更に重ねて問い掛ける。


 『…? ココガ 封印サレシ【竜ケ峰りゅうがみね】ト

  知ラズニ 踏ミ込ンダノカ?


  本当ニ 我ヲ狙ッテ

  ココニ来タノデハナイノカ?』


 神護は、困った顔をしながら、素直に現状を口にする。


 「いや………それ以前なんだよなぁ………

  気が付いたら、ここに居たって感じで………


  ………じゃなくて、我を狙うって?

  なにかあるのか?」


  アンデットの飛竜は、まじまじと神護をみつめてから、首を傾げて問う。


 『少年ヨ ソナタ ソノ腹ノ中ニ

  何ヲ隠シ持ッテイル?』


 えっ? 腹? ぅん? あっ……

 もしかして、不思議な卵のことか?


 なんて言ったら…って、ありのまま言った方が良いか?

 いや、まて、とりあえず確認してからだな…………


 「とりあえず、確認するけど…………」


 『ナンダ?』

 

 「突然、俺を襲ったりしない?」


 『ソンナ 野蛮ナコトハセヌ』


 アンデットの飛竜だけど、比較的温和で知的なタイプらしいことを見て取り、神護は頷いて、先刻の問いに答える。


 「んじゃ、答えるな………つってもなぁ………

  実は、俺にもよくわからないんだけど…………

  不思議な卵を預かったンで、抱えているぜ」


 『不思議ナ卵?』


 「ああ、卵のまま少しずつ大きくなるし………

  ろくに温めてなくても、温かいままなんだ」


 上から見下ろすようにしていたアンデット飛竜が、ズイッと神護の前に顔を近づけ、首を傾げながら更に問う。


 『ドウヤッテ ソノ卵ヲ 手ニ入レタ?』


 「どうやって………って…………」


 神護は、ちょっと双眸を閉じ、頭を抱える…………。

 そっちに意識を向けた瞬間に、くらりっとした眩暈めまいを感じたのだ。




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