第61話0061★《封印》されし女神の神殿・映し出されたモノは………



 神護は、眠りの園の奥深くに入り込んだ、その頃。

 2柱の女神の助力と、飛翔族の祈りによって、異世界の《封印》されし【竜ケ峰りゅうがみね】へと、降り立っていた。


 もちろん、神護に自覚など無いが、数度目の降り立ちである。

 まだ、出会うべき者と出会っていない為に、こちらの世界に訪れる時間がとても短いのだ。


 勿論、飛翔族の祈りの《力》がいかに強かろうと、引き寄せられる時間は限られていた。

 まだ、界を渡るだけの《絆》や《約定》が結べていない為。

 どんなに2柱の女神が頑張って空間を繋いでいても、飛翔族の祈りで引っ張り込まれた神護は、世界の《ことわり》によって反発がおこり、元の場所へと戻ってしまっていたのだ。





 時を少しもどして、神護が初めて、この世界に降り立った、その頃のビャクヤはというと………。


 遠い過去に《封印》された女神サー・ラー・フローリアンの神殿の中に入っていた。


 《開封》をしかるべ手順で行ったビャクヤは、神殿の中をゆっくりと確認しながら、最深部にある祭壇の前に立っていた。

 そこには、銀水晶を磨き上げた鏡が安置されていた。


 ビャクヤは、はやる心を落ち着け祈る。


 「女神サー・ラー・フローリアン様

  我が同胞はらから 飛翔族の者達の姿を

  真の飛翔族の里に 降り立った姿を

  垣間かいま見せたまえ」


 その祈りに反応し、銀水晶の表面に、女神の祭壇に祈る、ラー・ムーン・ルリ姫の姿が映し出される。

 そして、王家に近しい血筋の女達の姿も、そこに映しだされていた。


 ビャクヤは、その映像を見た瞬間に、顔色を悪くする。


 その中で、妹姫や従兄妹姫などが、次々と自分達の翼を切り落とし、祭壇にささげて祈っていたのだ。


 自分達、飛翔族の者を逃がす為に、黒き河の国の軍勢の足止めをしにおもむいた皇子や警護の者達の為に、祈っていた。


 その中には、飛翔族を庇護してくれるという【守護者】を求める祈りもあった。


 ビャクヤは涙をこぼれ落とした。

 自分達の為に、王家の血筋を引く姫達が、その翼を切り落としたことに…………。


 なにがなんでも【守護者】を得て

 私は みなのもとへと帰還かえ

 真の飛翔族の里に かならず


 その為には 禁断の禁術

 【輪廻転生】を成功させねば


 そうビャクヤが決意した頃に、銀水晶は別のモノを見せる。

 第二皇子ラー・セイ・グレンと、その数人の飛翔族の者が、羽虫である羽虱はじらみを放たれ、苦戦する姿が映った。


 クッ……グレンっっ……なんという…………

 おぞましい…手を使うのか………


 まして、アレは血液だけじゃなく

 翼そのモノを咀嚼する種…………




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