第27話0027★女神サー・ラー・フローリアンの決断


 飛翔族の王都が襲われ、王族や《力》ある神官達が、その背の翼を切り落とし、女神サー・ラー・フローリアンにいのりをささげて…………。


 ビャクヤが、ある魔道書を持って、隠れ家を一生懸命処分している、その頃。




 女神サー・ラー・フローリアンは、愛しい子孫達や民達の窮地を救えない我が身をなげいていた。

 ある約定により、邪神達が復活しない限り、女神サー・ラー・フローリアンは、直接地上へ降りて《力》を使用することが出来ないのだ。


 女神サー・ラー・フローリアンは、一生懸命に考えた。

 迷い、なにをすれば、自分をほうじる遠き子孫や民達を救えるか?を………。


 最善を探す間にも、遠き子孫達は、大きな《力》を内包する翼を切り落とし、女神サー・ラー・フローリアンに、一族の安寧を求める祈りを|奉(ささげ)げられていた。


 どう 考えても このままでは

 私をほうじる飛翔族は遠からず………


 かといって この世界の者で

 あの無制限に…… 無節操に


 次々と増えつづける闇の眷属を退け

 飛翔族を護る者が欲しい


 たぐい稀なる英知と《力》

 そして 勇気を持つ者が………


 女神サー・ラー・フローリアンは、悩みに悩んだ末…………。


 そうよ この世界に居ないなら

 異なった世界から呼べば良いのよ


 とりあえず 呼びかければ

 誰か応えてくれるかもしれないもの


 とくかく 呼びかけてみよう

 できれば そう よく似た

 女神を|奉(ほう)じる世界の者を………


 女神サー・ラー・フローリアンは、愛用の杖を両手で握り、心の声を異なった世界へと放つ。



 異なる世界の女神よ


 私と同じ太陽神であり

 最高神でもある女神よ


 異なる世界の女神よ

 私に力を貸して欲しい


 私の愛しい民達が

 このままでは

 すべて滅びてしまうのです


 女神サー・ラー・フローリアンは、心の声を《力》の限り振り絞って、異なった世界の女神へと呼びかけた。


 何度目かわからない祈りの中、それまでなんの手応えもなかったのに、たしかな存在感を感じさせる者が応じた。

 そう、女神サー・ラー・フローリアンにとっては、異界の女神が。

  

 『 私に呼びかけている 異界の女神よ

   なにを そんなに焦っているのです 』







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