第17話0017★閉じられた門 



 その命令と共に、勝手に躯は門へと向かう。

 その後に、東の君と呼ばれる者の妹姫が、粛々しゅくしゅくと続く。

 振りかえることもできず、東の君を迎えに行くことの出来ない我が身に歯がみする。


 「貴様…………」


 振り絞るようにいきどおりをこぼれ落とした青将軍に、先代大神官長は、くぐつをほどこした神官に頷いてから、言い放つ。


 「時間が無いのです

  さらばで御座ございます」


 青将軍は、東の君の妹姫と共に、門の奥へと消える。

 その消えた後姿を見送り、安堵を滲ませる。


 「良かった

  これで、王弟殿下の

  手足になる者が…………」


 そこに、白将軍が十数人の女性を連れて現れる。


 「西の君の妃殿とその待女達を…………」


 先刻の青将軍にてこずった神官は、手っ取り早い方法を敢行かんこうする。


 「白の将軍

  この鏡をご覧下さい」


 振り返った白将軍は、先刻の青将軍同様、躯の自由を奪われる。


 「一体……何を見せ……」


 西の君の妃様と侍女達へ、会釈をしてから、目を白黒させている白将軍を無視して、しれっと言う。


 「さあ、西の君の妃様を連れて

  門をくぐりなさい」


 白将軍は、素直に頷いて、連れてきた西の君の妃と侍女に声をかける。


 「おおせのままに、西の君…………」


 ちょっと微妙な表情をする、西の君の妃に、神官は謝る。


 「申し訳御座ございません

  催眠の術を使いました

  さらばで御座ございます」


 深く礼をとり、西の君の妃と侍女達を送り出した神官は、先代大神官長を振り返る。

 同時に、警護をになうものや、市民達がどどぉーっと押し寄せる。


 混乱しないように、市民達を守るように武を司る者達もいたので、それにテキパキと命令を出して、次々と門の中へと送り込む。


 そして、その混乱に乗じ、皇子達を迎えにと叫びそうな者達を、市民誘導の為と言って、次々と門へと無理矢理突っ込んだ神官達だった。


 「やっと、護衛官達を転移しました」


 「もう時間が無い

  彼等を送ったら門を封印する」


 「はい」


 「急げ、門の痕跡こんせきを……

  軌道きどうを消すのだ……」


 「「「はい」」」


 こうして、真の飛翔族への門は閉じられたのだった。

 


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