第23話 高級コンドミニアムでイザベルと
イザベルの運転するトヨタ・イノーバで連れていかれたのは、ダイヤモンドホテルからすぐ近くのロビンソンプレイス・コンドミニアムだった。ロビンソンデパートに隣接した高級コンドミニアムだ。
繁華街の一つであるアドリアティコ通りに面している。5分も南に歩けばエリの働いているKTVに行ける。
エレベーターでイザベルに言う。
「こんな高級コンドじゃ、目立たないか?」
「ここは、外人が多いからいいの。『木は森に隠せ』って言うでしょ」
はい、恐れ入りました。
30階の部屋に入る。
ワンベッドルーム。日本的に言うと1LDK。
リビングが広い。15畳位か。もちろん畳は無い。
イザベルがコンドミニアムの設備と部屋の説明をする。
ベッドルームではクローゼットを開ける。
女物の服がハンガーに下がっている。
「あなたの服もここにしまって。右半分は私のスペース」
耳を疑う。
言葉が出ない。
「あなたのは左側に・・・分かりましたか、ミスター ナカモト」
「はい・・・分かりました。ここで俺達は一緒に?」
「そうです。今日から私達は恋人同士と言うことです」
股間が・・・少し前屈みになリ、膨らみを隠す。
「勘違いしないで。あくまでも、恋人同士を装うと言うことですから」
釘を刺された。
「もちろん分かってるよ。こう見えても、いい役者なんだよベイビー」
無視された。
俺の持ってきた服をベッドに並べ、イザベルが見ている。イマイチのようだ。
革スーツは俺の戦闘服だと説明した。
ロビンソンデパートに連れていかれる。
Tシャツ、短パン、ビーサン、スニーカー等の、外人がここで着ていそうな服をイザベルが選ぶ。いいデザインのアロハシャツが有ったが却下された。
合計で18000ペソ。
大きな袋が2個。
イザベルにも何か買ってあげると言ったが、『要らない』と言われた。
一度、荷物を部屋に置いて昼食だ。
日本と同じFRIDAYを見つけて入る。
綾香を思い出す。
スペアリブを手づかみで食べた。
イザベルがおれの口の周りに着いたソースをナプキンで拭いてくれる。
そうか。恋人同士だったんだ。
テーブル上のイザベルの手を握る。
一瞬、睨まれたが優しく握り返してくる。
会計。2200ペソ。日本と大して変わらない。高級レストランだ。
FRIDAYを出て、手を繋いでモール内のスーパーマーケットに向かう。食料品と飲み物を買って部屋に戻った。
ベッドで横になっていると、イザベルに出掛けようと言われる。
ショートパンツにタンクトップ。
健康的だが、俺の目にはセクシー過ぎる。
俺も、買ってきた短パンとTシャツ、スニーカーに着替えさせられた。
バドミントンのラケットセットを手渡される。イザベルはトートバッグを肩に下げている。
エレベーターで下に降りる。道路に出ると、そこに停まっていたトヨタ・ヴィオスの後部ドアをイザベルが開ける。
Grab タクシーか。
車で走ること10分。リサールパーク。
フィリピンの革命の英雄であるホセ・リサールの記念公園だ。
木々に、囲まれ芝生が広がる。
あちこちに、フィリピン人グループやカップルがいる。
モデルの様なイザベルと59歳のオジサンのバドミントン・・・不釣り合いなのは分かってる。街中では若いフィリピーナと年寄り外人の組み合わせは珍しくないが。
ただただ目立つ。近くにいるフィリピン人の男達はイザベルを目で犯している。
かなり短い白のショートパンツに身体にフィットしたピンクのTシャツ。
連中にバカにされた目で見下されるのも癪に触るので、ちょっと気合いを入れてバドミントンラケットを振る。
全くミスせずに、イザベルの打ちやすい所にシャトルを返す俺に、イザベルは目を見張った。
芝生の上にビニールシートを広げ、イザベルと座る。イザベルの投げ出した足が俺の横で誘っているように見える。
イザベルの太股に頭をのせて寝る。
気持ちいい。
目を開けると、俺を見下ろすイザベルの微笑み。
優しくおれの頭を撫でてくれる。
夢の様な時間・・・股間が!
誤魔化す為に横向きになる。
彼女の股間がおれの目の前!
腕を彼女の腰に廻す。
思い切り脇腹をつねられて夢は終った。
その夜、イザベルはベッドで、俺はリビングのソファーで寝た。
自分がソファーで寝ると言うイザベルに優しさを見せた。
深夜、寝室のドアはしっかりとロックされていた。残念・・・
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