第22話 聖母マリア・・・

「ねぇ、紗和・・・AV女優ってさ、ナマでやるじゃん?妊娠しないの?」

「うん、しないよ。だって男優さん、ちゃんとゴムつけてるからね」

「えっ?男優ってゴムつけてるの?」

「そうしないと女優さん妊娠しちゃうでしょ?」

「よくさ、男優がイク時に、女優さんの腹の上や顔射とかするじゃん?」

「あぁ、あれはね、男優さんがイく寸前でカメラの死角でゴム外してから出すんだよ」

「ふ~ん・・・そうなってるんだぁ・・・あとさ・・・」

「ん?なに?」

「よく中出しとかもあるじゃん?」

「うん、あるね~」

「でもさ、中出しするとあんな風に外に垂れてきたりしないと思うんだけど?」

「えっ?なんで一馬クンそんなこと知ってるの?」

「まぁ・・・あはははは・・・」

「呆れた~!中出ししたことあるんだ?不潔!」

「っておいおい、僕はもう46だよ?それくらいの経験はあるよ?」

「ま、いっか・・・あれはね、男優さんがイク直前に白い液体を膣の中に入れてるんだよ」

「やっぱり・・・」

「だからね、アレはウソの中出しなの」

「ふ~ん・・・そうなんだ・・・全然知らなかったよ」

「それだけじゃないよ!撮影前にはちゃんと病院で性病の検査もするんだよ」

「ふ~ん・・・」

「だって、いくらAV女優だからって、赤の他人の赤ちゃんなんていらないでしょ?病気も」

「そうだよね・・・僕には異世界だよ」

「一馬クン、AV観ないってホントなんだね」

「うん、だって他人がヤッてるところみてもおもしろくないだろ?」

「そんな理由で観ないんだ?」

「まぁね・・・」

「じゃ、私とヤる時は・・・一馬クンならナマでいいよ?」

「えっ、いいの?」

「でも・・・まだ中出しはダメだからね?」

「だ、大丈夫だよ・・・わかってるって」

「あははは、照れてる~!カワイイ~!」

「からかうなよ、ほら、もう寝よう?」

「じゃ、ヒマな時にでも私のDVD観ていいよ。テレビ台の中に入ってるから」

「あぁ、観てみるよ。『山咲みどり』の正体が気になってたんだ」

「だったらもっと早く言ってくれればいいのに」

「う~ん、紗和がAV女優ってことが、いまだに信じられなくてさ・・・」

「私がAV女優だと、何かおかしいの?」

「いや、そうじゃなくて、僕がイメージしている紗和とはまったく違うから・・・」

「バカねぇ~・・・ヒトは見かけによらないものだって言ったでしょ?」


 紗和はそう言って僕をからかうように人差し指で僕の鼻の頭をこねくりまわしながら笑った。紗和からDVD鑑賞する許可がでたから、明日、紗和が出かけてる時にでも観てみよう。「山咲みどり」と言う女性に明日、会ってみよう・・・


「でもね・・・一つだけ約束して・・・」

「なに?」

「私のDVD観ても・・・私のこと・・・キライにならないで、ね・・・?」

「うん、約束するよ・・・紗和は女優としてプライドをもっているんだろ?」

「うん・・・誰にも負けたくないよ」

「それを、明日見届けるから。紗和の『プライド』ってヤツをね」

「うん、ありがとう・・・こっちおいで・・・」


そう言うと紗和は安心したのか、僕の顔をその小さな胸の中に包み込んだ。普通のオトコならこんな状態になったら勃起して、紗和のパジャマを脱がせてセックスに持ち込むだろうけど、今の僕にはそんなことはできなかった。年の差を気にしたわけでもないし、ましてやまだインポなんかじゃない!まだまだ現役だ!前にも感じたように、僕はまだ紗和を「純粋無垢なバージン」だと心のどこかで強烈に決めつけていて、そのイメージが頭からどうしても外れなかった。だから僕はそんな紗和を大切にしたかった。それともう一つの理由は、僕は紗和と「聖母マリア」が持つ汚れなき母性愛を重ねてみていたから。僕はキリシタンではないけれど。今もし僕が紗和に手をだしたら、それは「聖母マリア」に勃起してレイプしようとするイカれた信者のように僕自身が醜くなってしまうと思えたから。僕は紗和の「バージン」にこだわっているわけじゃなくて、「純粋無垢」な紗和のイメージを壊すのが怖かった。そんなことを考えながら僕と紗和は2人一緒に眠りにおちていった・・・


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