第43話 不死鳥の弱点
「ふははは! 所詮、そこまでだな! 死ねぇえ!! 『大噴火』ぁぁぁあ!!」
「っ!! しまっ──」
ホーンラビットが粉々になったことに衝撃を受け、一瞬だけ生じた隙を不死鳥は見逃さなかった。
ケイの真下。そこを一気に噴火させる。薄い土の壁は熱さによって溶け、それでも止まらない火の勢いが、ケイを襲う。
「まだだ!!」
火柱が立っている場所に、日の槍を打ち込み、爆発させる。相手を確実に、間違いなく仕留めるために。
「勝った……危なかった……」
「おい、まただろ?」
「なっ!?」
『怪力(極)』を使ったパンチが、不死鳥の背中を思いっきり殴った。幽体生物、火で出来た体には、本来当たるはずのない攻撃。無敵に近い体に、ケイは攻撃を当てたのだ。
『怪力(極)』で吹っ飛ばされた不死鳥は、自分で起こした火山にぶつかった。
「やっぱり血は出ねぇのか……」
思ってた以上に威力が大きかったのか、不死鳥は飛びそうな意識を何とか堪え、ぼやけた視界の中、質問する。
「うっ……貴様……一体……どうやってあの状況から抜けだし──! き、貴様……本当に人間か?」
「あ? そんなもん、すぐに体勢を変えたに決まってんだろ。それに人間? そんなもんとっくに辞めた。俺は復讐者だ」
不死鳥が見たのは、燃えている手。今も尚、燃え続けており、ケイの皮膚を溶かし、肉を焼き、血が流れるのを加速させている。
「抜ける時、逆立ちの体勢を取り、噴射の勢いを抑えつつ、空へ飛んだ。ここは軽い場所だからな。そして、見つけた。お前の弱点は2つ。1つは不意の攻撃。お前が攻撃する時は実体化し、やめる時は炎になる。つまり、カウンターを狙えばいい。そして、もう1つがこれだ。炎には炎。単純だろ?」
ケイが説明している間に、不死鳥は体を炎化させ、火山の中に潜った。しかし、それを見逃すケイではない。自ら小火山に突っ込み、拳でぶち壊す。しかし、不死鳥の姿は感知でず、青い炎は消えたいた。
「チッ……あと少して逃げられたか? いや、まだ居るはずだ……」
いつまでも燃えている手のひらを、勢いよく手を振ることで止め、重症を負った手で襟首に隠してある『再構築』した湖の土器を震える手で掴み、口に運ぶ。
「うぅ……やっぱり無理するのはダメだ。くそ痛てぇ……」
噛み砕いて、飲み、しばらくすると急激に回復して行く。肉が無理やり再生され、筋肉が付き、皮膚が凄まじい勢いで回復していく。
もちろん、その際には激痛が走り、尋常でないほどの痛みが伴うが、ケイには慣れたことだった。
「さて、どこに行った?……ん? なんだこれ」
見つけたのは不死鳥が消えた火山に出来た穴。ドロドロとした溶岩も漏れるのではなく、そこに吸い込まれていく。
「まさか……いや、見つけたな」
ポケットから残りのホーンラビットの角を小さな粒にしたものを10個、全てを取り出し、掌に持てる程の溶けている溶岩を一緒に持つ。
「よし、イメージはいつもより巨大で、固くて、丈夫なやつ……よし、『再構築』!」
持ち手はいつもと変わらない長さと太さ。変わったのは面の部分。大きさは冷蔵庫程あり、溶岩を一緒にしたためか、所々に赤く光っている。
肩に担いでも大きすぎるため、引きずってしまうが気にせずに、ケイは歩いた。場所はあちこちに出来ている小火山の中心。
「対角線に結んだ中心がここか……さて、そろそろ出てこいよ!」
再び『怪力(極)』を使い、今度は地面を割る。叩いた場所を中心に辺りに日々が入り、下へと落ちていく。
巨大な穴となっている1番奥には青い炎を纏った不死鳥が、地上から流れ混んできた溶けた溶岩を、お風呂替わりにするように休んでいた。
「貴様……どこまでも、どこまでも!」
「おらおらおら! 今度のやつは避けねぇーと死ぬぜ?」
振りおろしたケイのハンマーよりも先に不死鳥が脱出し、空高く飛んだ。ケイはハンマーに引っ張られ、今度は裸足の足が溶岩に触れてしまい、燃えた。
「ふん! 認めてやる。貴様は強い。だが、我以下だ!」
「ほざくな。高いところにいるのが安全だと思うなよ?」
「消えろ!」
ケイは飛んでくる火の槍よりも早く地面を叩き、大地を破壊する。
出来た大きな粒は反重力の世界では浮き、それを野球の玉のように打ち込み、火の槍を回避すると同時に足場を作る。
「行くぞ、最終決戦だ!」
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