第27話 子供の作り方

 未だにケイとユイの父親が、ユイを巡って争っている間、当人のユイと母親はさらに親子トークならぬガールズトークに勢いを弾ませていた。


「……なら、ユイはそろそろ婚約状態かしら?」

「……? ママ、婚約ってなに?」

「そうねぇ〜。簡単に言えば、お嫁さんになる事かしら?」

「!!……お嫁さん……お、お、およ、およめ……さん!?」


 ユイは「お嫁さん」という言葉に反応し、頭の中でケイを思い浮かべる。ケイの胸の中で、力いっぱい抱きしめられるという妄想が、ユイの思考を加速させ、止まらない。

 そして、速すぎた思考は「幸せな妄想」という形でゴールを見つけ、思考が完全に停止した。


「あらあら〜顔を真っ赤にしちゃって……まだまだ初ね。これからなのよ?」

「ふぇ〜」


 ユイの母親は、妄想で幸せそうな愛娘にさらに追い打ちをかけていく。


「ふふっ……じゃあ、そろそろ子供の作り方を教えておきましょうか」

「……え? こ、こ、こ、こ、こ、子供!? ケ、ケイとの……子供……ふ、ふふふ、ふへへへ……」


 ユイの今の顔は、ニヤニヤし過ぎたのか頬が緩んでおり、はしたないという言葉が似合うほどにまでユイの顔は酷かった。


「そうよ。あなたはまだ何もしならいお子様。だから、今から子を成す術を教えるわ!」

「……ママ! そ、そんなの、まだ早い!」


 この時、結は既に茹でダコのように顔を真っ赤にさせていた。


「いいえ、聞きなさい! まずは彼の服を脱がして、雄には必ず付いてある物を暴走させるのよ!……って、ちゃんと聞きなさい! ユイ!」

「ふにゃぁぁぁ〜」


 ユイはその場で倒れた。ユイの母親は、頭が完全にショートしているユイの頬を柔らかな肉球で叩き起す。


「起きなさい、ユイ。いい? あなたはもうすぐ魔物特有の発情期が訪れるのよ? そんな時、どうすればいいかわからなかったら恥ずかしいじゃない……」

「……むぅ、た、確かに」

「だから、よく聞いてなさい。その後はユイの1番大切な場所に─────して、───してもらって、最後に────してもらうのよ」


 ユイの母親は、周りには誰もいないが念には念をと、ユイだけに聞こえるように顔を近づけて、大事な所だけをボソボソっと話す。

 それを聞いたユイは、再びショートを起こしそうになるが、2回目なのか何とか振り切る。


「!?!?!? え、そ、そんなこと!……そ、そ、そんなに激しいの?……あ、ママ! そ、その……」

「ハッキリしないわね……どうしたの?」

「……そのママとパパはしたんでしょ?……ど、どうだったの?」

「それはもちろん……そうね。内緒よ」

「…………むぅ」

「ユイもいずれは経験することなのだから、その時、あなたが感じたことが私と同じ気持ちよ」


 ユイは、体を預けるように母親に寄せる。

 母親の話を聞いたユイの目線は今、必死に戦っている1人の男に向けられている。その戦う姿に、ユイは無意識のうちに再び頬を赤くしていた。

 そして、何かを悟ったようにユイの母親は、抱きしめるように体を丸め、ユイに語りかける。


「……彼が好きなのね」

「…………うん、ケイが好き」

「そう。もう、あなたも彼もここには帰ってこないんでしょ?」

「なんでそれを!?」


 突然の発言にガバッとユイは起き上がる。だが、ユイの母親は微笑んでユイをじっと見る。


「あなたの母親ですもの。それぐらいわかるわ」

「……ママ」

「ユイ、これを食べていきなさい」


 ユイの目の前に出されたものは、赤く光るビー玉程の小さな玉だった。

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